ゼロシステム

2017年3月19日 (日) 11:48時点における哪吒太子 (トーク | 投稿記録)による版

ゼロシステム(Zoning and Emotional Range Omitted System)とは、『新機動戦記ガンダムW』に登場するシステム。

英語の直訳は「領域化及び情動域欠落化装置」。

概要

ウイングガンダムゼロに初めて搭載された、戦闘サポートシステム。

全神経と五感をシステムが支配することで、「機体の各種センサーの情報を直接脳内に伝達することで、『全周囲を同時に見る』など高度な認識能力を得る」「脳内物質の操作によって痛覚を麻痺させ、通常は耐えられないような加速Gなどを伴う高機動を可能にする」「これから行いうる様々な行動とその結果をシステムが予測し伝達することで、搭乗者に勝利のための最適な行動を取らせる」といった効果をもたらす。

ただし、このシステムが予測する行動は、勝利のためであれば「友軍や民間人を巻き込んだ攻撃」「相討ちによる搭乗者自身の死亡」といった非倫理的なものまで含まれているため、そのような行動と結果予測が常に脳内に送り込まれる精神的苦痛は計り知れない。また、システムが想定する「勝利」は基本的にシステム搭載機単独での勝利であり周囲への被害を考慮しないため、予測の結果最適な行動として周囲を巻き込む行為を強要されることもあり、それを拒否、あるいは無視できるような強い精神力がなければシステムに従うままに無差別破壊を引き起こす可能性がある。こうした点は開発者である技師たちからも欠陥と看做され、彼らの手による実機の製造は行われなかった。ただし設計図は破棄されておらず、後にカトル・ラバーバ・ウィナーが完成させることとなる。

ウイングガンダムゼロを鹵獲したOZの技術士官トラント・クラークはこのシステムを独自に研究し、「ゼロシステムが人間の意識を改変する」という独自の理論を打ち立てている。実際ヒイロ・ユイゼクス・マーキスはシステムを経験・克服することで、鋭敏な感覚を掴んでいる。

原作では5人のガンダムパイロットとゼクス、前述のトラントがシステム搭載機に搭乗し、最初は全員がシステムに翻弄されている (トラントは発狂して死亡)。ドロシー・カタロニアリーブラ内でシステムを体験しているが、彼女は一発で使いこなしている。

ガンダムエピオンには同様のシステムである「システムエピオン」が搭載されている。基本理論は同じだが、プロセスが微妙に違う。ヒイロがゼクスと機体を交換したのはこれが理由の一つ。

また、システム搭載機同士が戦闘に陥った場合、相手を上回ろうと勝利への試行を際限なく繰り返し、最終的にはパイロットごとオーバーフローを起こしてしまう。最終戦でこれが起きなかったのは、ゼロにヒイロが、エピオンにゼクスが搭乗していたからこそである(ただし、ときた洸一による漫画版ではオーバーフローこそ起きなかったが、「この戦いは無意味」と判断してゼロシステムが停止してしまった)。

ゼロシステム(特殊能力)

α』以降のSRWでは特殊能力として、ゼロシステムの能力を上手く再現しており、パイロットの各能力格闘射撃技量防御命中回避。一部作品では防御の代わりに反応)を上昇させる特殊能力になっている。

ただし、原作の再現としてイベントで暴走する時のカトル以外は、SRWではそもそも暴走が起こらないため、乗り換え可能な作品ならヒイロとゼクス以外でもゼロシステムを使いこなすことができ、暴走するなどと言ったデメリットも特にない。中でも『第2次Z再世篇』ではシステムを使いこなしたヒイロにデュオが「ヒイロが使いこなせたのだから俺たちにも出来るはず」といった旨の発言をしており、他のパイロット達も乗り換え出来るように訓練を積んでいることが示唆されている。

作品 効果 気力条件
αα外伝COMPACT3 全能力値+10 140以上
ARD 130以上
第2次α第3次α 命中・回避+20 他能力+10 140以上
W 130以上
第2次Z再世篇 全能力値 気力によって変動 130以上(ヒイロのみABで110以上)
第3次Z 全能力値 気力によって変動(上限200) 130以上(ヒイロのみABで110以上)
OE 全能力値+19+lv×1(最大9) 140~120以上(レベルによって変動)

ゼロシステム搭載機

ウイングガンダムゼロ / ウイングガンダムゼロ(EW版)
「ゼロシステム」を搭載した『新機動戦記ガンダムW』世界における最初の「ガンダム」。紆余曲折を経てヒイロ・ユイが搭乗することとなる。
ガンダムエピオン
トレーズ・クシュリナーダが自ら開発した機体で、「システムエピオン」を搭載している。最終的にゼクス・マーキスミリアルド・ピースクラフト)が搭乗する。

ゼロシステムに関連する機体

トールギスIII
「システムエピオン」の試作型OSを搭載。SRWでは未実装。ちなみに「G GENERATION CROSS DRIVE」ではルート次第で本機のコピー機がゼロシステムを搭載。
ガンダムサンドロック改
ゼロシステムによる連携攻撃をしてくるMDに対して、ガンダムチームの指揮を執るため一時的に本システムのコピーをヒイロによって搭載された。コピーであるためか、機体が対応していないせいかは不明だが、一部機能がオミットされているようである。その後はガンダムチームの連携がうまくいくようになり、カトルによって不必要とされ取り外されている。SRWでは未実装。
ビルゴII
直接搭載しているわけではないが、本システムを応用し従来のモビルドールより柔軟な操作ができるようになった。操作したのはドロシー

スパロボシリーズでの関連

ソレスタルビーイング
第2次Z再世篇』においては「ゼロシステムがイオリア計画の一環としてソレスタルビーイングによって製造され、ツインドライヴと共に同じ機体に積み込まれる予定だった」という驚愕のクロスオーバーがある。
元々はゼロシステムとヴェーダをリンクさせ、その予測能力を極限まで引き出すことで搭乗するイノベイター候補者への試練とすることを目的としていたが、候補者がゼロシステムに飲まれてしまった場合ゼロシステムの見せる悪夢がGN粒子によって周囲に無差別に伝播し、錯乱状態になってしまうこととなり、またゼロシステムそのものが悪用された場合の危険度も高かったため、完成後にソレスタルビーイングから離脱したコロニー博士によって計画から引き離されたという設定である。
結果としてこの世界のウイングガンダムゼロダブルオーライザーは兄弟機のような関係となり、作中ではヒイロ刹那の二人がそれぞれのガンダムのパイロットとなり、戦いの中でイオリアが待ち望んだ革新者として成長していった。
そしてZシリーズ完結編である『第3次Z天獄篇』では、これまでの総仕上げと言わんばかりにELSとの対話において、原作におけるティエリアの代役に近く、ヴェーダと共にELSからの膨大な情報の処理をサポートさせ、ヒイロは刹那と共に対話を成功に導いている。
ビリー・カタギリ
『第2次Z再世篇』で鹵獲したウイングゼロの調査をしている最中にゼロシステムを起動し、その結果として可能性の一つである「スメラギが自分を裏切った」という場面を目にしてそれに取りつかれてしまう。また、ゼロシステム起動による思考能力の拡大の影響で、自力でトランザムの理論に辿りつき、それをマスラオに実装している。なお、今作のビリーは「ガンダムW」におけるトラント特尉の役回りを受け持っている。
シャア・アズナブル
第3次Z時獄篇』において新世時空振動の影響により特異点となった自分が成すべきことを見出すために使用する。先述のビリーとは違い、ゼロシステムに飲まれることはなかった。
ガウルン
W』においてゼロシステムを沈黙まではさせていないが、現状では確実にヴェルター全滅という未来をヒイロに見せた。
千鳥かなめ
上記のガウルンの件における唯一の不確定要素。ヒイロはゼロシステムの予測を超えるために彼女の力に全てを賭ける事になる(つまりこの時点でかなめは不確定要素ではあるが、それで勝利出来る事まではゼロシステムも予測できていない。ゼロシステムの予測が変わるのはかなめがその力を発揮した瞬間である)。
ゼロ
ゼロシステムで彼の予測された未来を見て、ヒイロは彼の殺害を決意し、彼の拠点とも言えるアッシュフォード学園および協力者たちを襲撃した後、実際に彼と戦う。ステージ名はずばり「ゼロvsゼロ」である。
マサキ・アンドー
α外伝』で道に迷ったマサキをゼロシステムで捜し出すというおそらく空前にして絶後になるであろうしょうもない使われ方をされた。むしろ、ゼロシステムを使わないと探せないと言われてしまうマサキって…(ちなみにサイバスターには未来予知が可能なラプラスデモンコンピューターがあるのだが、マサキの方向音痴はそれがあっても尚道に迷うほどなので、そんなマサキを探し出せたゼロシステム>マサキが使ったラプラスデモンコンピューターとなるはずである。方向音痴でない普通の人間がラプラスコンピュータを使った場合は不明)。
なお余談だが、迷子になったマサキと、ゼロシステムを使って彼を捜したヒイロの声優は、共に緑川光氏である。
アシュクリーフ
この機体に搭載されているDPSをアストナージはゼロシステムみたいなものと説明した。
シュウイチロウ・ユキムラ
史上初かつ唯一、ゼロシステムを沈黙させた(=勝利出来る可能性が一切存在しない)人物。

余談

  • SRWにおいて、勝利出来る見込みがない相手が現れた際のゼロシステムの対応は、「ゼロシステムが沈黙してしまった」『SC2』、「敗北する未来しか見せず、パイロットが個人で抗うしかなかった」『64』、「勝利出来ないとしながらも、不確定要素を予測した」『W』と作品によって異なっている。

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