フューリー

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フューリー(Fury)

スーパーロボット大戦J』に登場する異星人種族。ズィー=ガディンの皇帝機という名称や、シャナ=ミアの皇女という身分、フューリア聖騎士団の存在などから、どうやら皇族を頂点とする帝政国家であったようである。また、フューリーと地球人類の姿形は同一であり、統夜のように種族を越えた遺伝的交配で生まれた人物も存在するあたり、肉体構成などは地球人類のそれとほとんど異なることは無いものと思われる。

40億年以上前の宇宙で栄えていたが、フューリー同士の内戦が勃発。その中の一派は戦いに敗れ、原始の地球へとたどり着いた。[1]そこで地球を新たな住み処とすべく生命の種を撒き、その一方で人々と所有兵器にラースエイレムによる時間停止処置を施し、地球の環境が整うまでの長きの間にわたって眠りに着いていた。だが目覚めてみれば、地球では「人類」という、彼らにとっては想定外の種族が誕生し、繁栄していた[2]

地球移住の障害となる人類を完全に排除しようと策動を開始したフューリーは、軍事企業アシュアリー・クロイツェル社に兵器のデータを持ち込み、月支社で機動兵器を製造させている。ジュア=ムのセリフから推測するに、これは連合軍に売り込むためのものと称して行わせていたらしく、アシュアリー・クロイツェル社側はフューリーの策謀を何も知らなかったと思われる。また、ここでジュア=ムを始めとする戦闘経験のない準騎士・従士たちは操縦技術を学んだ。[3]

一方、この計画を阻止しようとしたエ=セルダ・シューンは密かに、自身のラフトクランズに搭載されているラースエイレムを核にした「ラースエイレムキャンセラー」を開発。加えてアシュアリー・クロイツェル社で友人となった開発者フランツ・ツェッペリンとともに主人を開発し、対フューリーの唯一の切り札を生み出す。[4]この主人公機はナデシコ、そして第3特務分艦隊の手に渡り、特務分艦隊に対してラースエイレムを使用できなくなった騎士団は彼らの前に敗退を繰り返すことになる。また、前線指揮官を務めていたアル=ヴァンはこの頃に計画の再考をグ=ランドンに上申したために、騎士団を放逐されている。

業を煮やしたグ=ランドンは自らズィー=ガディンに乗り込み特務分艦隊へ決戦を挑むが、敗北。軍事的敗北を悟ったグ=ランドンは、最終手段として月の中心部に埋もれたフューリーの超巨大宇宙船ガウ・ラ=フューリアを始動させ、それによって砕かれたの巨大な地殻を地球に落とし、全ての生命を抹殺して移住計画をゼロからやり直そうとする。が、それをも特務分艦隊によって防がれる。残されたフューリーはシャナ=ミアを中心として、人類との共存の道を歩むこととなった。

登場作品

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦J
敵組織。ゲーム中ではかなりの箇所において説明が不足しており、殆どの人物・用語に推測を付加せざるを得ない点が多い。

OGシリーズ

第2次スーパーロボット大戦OGスーパーロボット大戦OG ダークプリズン
第2次OG終盤においてガンエデンが砲撃を行った際、何も無い月面に着弾したことからOGシリーズでも月にフューリーとガウ・ラ=フューリアが存在する可能性が高まっている。
この時、狙われたのはヘブンズゲートの艦隊、コロニーと月面だったが、月にはマオ社の工場やムーンクレイドルがあったにも関わらずまったく関係ない場所に被弾しており、オリジナルの敵勢力で月を拠点としているのはフューリー以外にいない事や、メタ的には任天堂携帯機シリーズがA~Dまでストーリーが消化されており、順当に行けば次はJの再現になる事から、ファンの間で話題になったことがある。
その後、OGDPで再度、わざわざ月面に着弾する場面まで見せたうえで、何も無い場所に落ちたのは偶然か故意か、という台詞まで登場したため、疑惑が一層強まっていた。そして…
スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ
ディザーPVにてリュンピードナ・リュンピー、その後のPV後にはガンジャールラフトクランズが対戦相手として登場。今回如何なる経緯でフューリーが現れるのかが注目される。

人物

シャナ=ミア・エテルナ・フューラ
皇女。名目上の地位では最高位にあると思われる人物。地球人排除には否定的でエ=セルダに協力していたようだが、フューリーの未来を案じて迷ったのか、思い切った行動をとることができなかった。
グ=ランドン・ゴーツ
フューリア聖騎士団のトップに立つ総代騎士で、フューリーの実質的な指導者。威厳と傲慢を等しく兼ね備えたような人物で、そのためか最後まで地球人類を対等な存在として認めなかった。
エ=セルダ・シューン
聖禁士長。フューリーにおいては英雄であったようだ。ラースエイレムキャンセラーの開発はフューリーの存亡を危機に陥れる可能性をも秘めていたわけだが、彼をそこまで踏み切らせた内心の想いは結局明かされないままであった。地球人の妻子を持つに至ったことも関係があるのだろうか。
アル=ヴァン・ランクス
騎士。エ=セルダの弟子であったが、同胞のために計画を遂行することこそ自らの使命と思い定め、裏切った師を追撃し手にかける。しかし、以前からあったと思われる使命への迷いを抑えられなくなったのか、グ=ランドンに異議を唱えるようになり、騎士団を放逐される。
フー=ルー・ムールー
騎士。アル=ヴァン更迭後は前線指揮官となる。戦を至上とする女傑であるためか、ラースエイレムの使用を嫌がっていた。
ジュア=ム・ダルービ
準騎士。軽薄かつ冷酷な性格で、地球人を含めた他の異星種族を徹底的に見下している。後にアル=ヴァンの更迭に伴い騎士に昇格するが、この時点で精神に異常をきたしており、欠点が更に顕著になる。
ソ=デス・ズォー
『OGMD』にて追加された人物。諜士。
カロ=ラン・ヴイ
『OGMD』にて追加された人物。諜士長。

関連人物

紫雲統夜
父エ=セルダがフューリー。
カルヴィナ・クーランジュ
アシュアリー・クロイツェル社で教官をしており、フューリーの企みの被害者となる。
カティア・グリニャールフェステニア・ミューズメルア・メルナ・メイア
フューリーに拉致され、サイトロン感覚器の適応手術を受ける。そもそもいかなる目的があって拉致し、手術を施したのかは不明。
フランツ・ツェッペリン
アシュアリー・クロイツェル社の開発者。事情を薄々理解した上でエ=セルダに協力する。

他作品の関連人物

木原マサキ
恐れる物のない彼もフューリーにだけは警戒心を見せていた。彼が生きていた頃、一度接触したことがあるようである。
ラウ・ル・クルーゼ
全ての破滅を望むクルーゼと、人類の排除を望むフューリー側の思惑が一致。クルーゼにニュートロンジャマーキャンセラーの技術を渡し、ナチュラルコーディネイターの共倒れを目論んだ。

関連用語

フューリア聖騎士団
フューリーを守護する騎士団。
ラースエイレム
フューリーが用いる、「局地的に時間を停止させる」というとてつもない兵器。地球側やグラドス軍は一切の防御策を持ち合わせておらず、その一方的な有様はもはや虐殺。相手は何が起こったのかわからないまま死んでいく。
ラースエイレムキャンセラー
エ=セルダのラフトクランズに搭載されていたラースエイレムを使って開発された。時間停止の効果を無効化するため、ラースエイレム搭載機と渡り合うためには必須の装置。
オルゴン
フューリーの機動兵器で使用される物質あるいはエネルギー。様々な用途に応用が可能であり、宇宙世紀で言うミノフスキー粒子に相当する。
オルゴン・クラウド
彼らの使用する一種のバリア。そのほか空間転移も可能。
オルゴン・マテリアライゼーション
オルゴンを結晶化させる機能。剣や槍といった近接武器を使用する用途がほとんどだが、射撃武器に用いる機体もある。結晶化したオルゴンは「オルゴナイト」とも呼ばれる。
オルゴナイト・ミラージュ
上記の結晶化を応用した分身技。結晶の分身は本体と同等の戦闘能力を持つ。
オルゴンエクストラクター
動力源とみられる装置。
サイトロン
なんらかの性質を持つ粒子。フューリーのメカはサイトロン・コントロールによって動くようだが、そのフューリーも未だに人体実験を続けていることから、彼らにとっても未解明の部分が残っているものと思われる。また、サイトロン適応者同士の意志を交信させることができるほか、完璧ではないが適応者に未来の情景を垣間見せることも。
ニュートロンジャマーキャンセラー
Jではフューリー由来の技術のようである。
真の死
ステイシス・ベッドの冷凍睡眠による仮初の死ではない、本物の死のこと。
ヴォーダの闇
フューリーの思想でいう「あの世」のようなものらしい。劇中での使われ方からすると、どちらかというと仏教でいう無間地獄に近いようである。
なお「ヴォーダ」とはフューリー語で「地獄」を意味する言葉であり、「ヴォーダの闇へ還る」とは完全な存在の消滅を意味する。
ル=クク・ヴォーデュ
クロスゲートをフューリーの言葉で表したもの。「ヴォーダの門」とも呼ばれている。

脚注

  1. 軍部「フューリア聖騎士団」の総代騎士グ=ランドンや騎士アル=ヴァンなどはそのことを重荷として深く背負っている節があり、同胞の犠牲に報いるために何としてでも再び繁栄を取り戻すことを至上命題としている。
  2. 数十万年目覚めるのが遅かったわけだが、40億年の長さからすれば誤差の範囲とも言えそうである。
  3. その際に使用したテスト機はラフトクランズヴォルレントを元にしていたらしく、カルヴィナはアフリカで彼らの部隊と遭遇したとき、アル=ヴァンとジュア=ムの機体がテスト機を改修したものであることに気づいている。
  4. これには長らく排除計画を憂えていた皇女シャナ=ミアの意向もあったようである。