ペインキラー

2016年3月13日 (日) 12:48時点におけるXE (トーク | 投稿記録)による版

ペインキラー(PAINKILLER)

  • 登場作品鉄のラインバレル
  • 分類:マキナ
  • 頭頂高:18.6m
  • 全高:18.6m(装甲離脱時17.3m、有機統一体時全長118.9m・全高43.2m)
  • 重量:48.7 t(装甲離脱時40.9t、有機統一体時1056.8t)
  • 動力:電力
  • 装甲材質:ナノセラミック・ニューロカーボン
  • MMI:電脳
  • 開発者:城崎天児
  • 所属:JUDA
  • 意匠:九枚笹に蛇の目
  • ファクター:九条美海
  • メカニックデザイン:清水栄一

JUDA特務室所属・九条美海の搭乗機。機体名は英語で「鎮痛剤」を意味する「painkiller」から取られている。

原作漫画版

単機での拠点強襲を目的としたマキナであり、アパレシオンと同時期に製作された最新鋭の機体であるとされている。「パルド」と「ロック」という獣型随伴機を従え、随伴機が運搬する武装を適宜選択・運用することで絶大な戦闘能力を誇り、本機のファクターは実質的に単独で複数のマキナを操っているも同然と評される。随伴機の制御にはプリテンダーの無線ナーブクラックの発展系である技術が使用されており、多数の武装を搭載・選択することによる汎用性というコンセプトはヴァーダントのマルチパーパスユニットを彷彿とさせる。これらの特徴より本機は他のマキナを参考にそれらを発展昇華させた機体であることが伺える。ただし、この機体は実験機であるとのこと。マキナの製造には一定のガイドラインがあるのだが、この機体はそれを拡大解釈し、原則に抵触しないギリギリの線で作られている。

初期状態では増加装甲を纏っていた(この時はアニメ版同様の外見)が、鎌を武器とするなど細部に違いがある。また、増加装甲を排除すると紺を基調とした本体が現れる。なお、本体を露見してしまった場合、「敵の完全殲滅」を意味する事態となる。製造元を秘匿する目的もあったようであるが、「やり直された」世界ではその必要はなく、初陣にて美海の「演出」に使われた。

ラインバレルとは別の意味で他のマキナとは違う特徴が多いらしく、色々と『怪しい』マキナ。美海の戦い方もあって、アニメ版のタリスマンよろしく名前の由来とまったく噛み合ってない機体である。美海の戦い方を見るに、「精神的な痛みを麻痺させてブレーキがかからなくする」というマイナスの意味合いが強いようだ。98話でのイズナによれば、これは美海の「正義に対する無理解への苛立ちや悲哀」を取り除くため=ファクターである美海を苦しみから守るために選択している最善策であるらしい(既存の作品で言うとゼロシステムが近い)。言ってしまえば、アニメ版のペインキラーが他者の「鎮痛剤」であるのに対し、こちらは搭乗者の「鎮痛剤」と言える。イズナからは獰猛な戦い方はペインキラーの影響ではなく美海本人が力に飲まれた結果であると指摘されている。

心神喪失状態で近くを彷徨っていた美海を誘導してファクターとしたが、これは森次の推測によると、「自身が動くため、近くにいた美海を『精神的な生命の危機にある=放っておくと死んでしまう=ファクターとして生かす必要がある』と判断した、『マキナの原則』を都合よく曲解した結果である」とのこと。この一件により、特務室の面々はマキナの存在に少しずつ疑問を抱き始めることになる。ただし、上記のようにこの機体はパイロットを暴走させる特性は無いようであり、ファクターの苦しみさえも死への接近と認識し和らげようとしているため、苦しみに対して敏感なだけである可能性もある。

イズナを不本意に手をかけた美海と一緒に姿を消して沢渡のもとにたどり着いたが、ロストバレルに両腕と両足をもがれた挙句、支配下に置かれたパルドとロックによってトドメを刺されて機能を停止した。

遺されたパルドとロックはニューヨークにて中破したラインバレルの確保に向かったハインド・カインドに沢渡が襲わせているが逆にヴァーダント、タリスマン、ハインド・カインドによって破壊された。

ペインキラー有機統一体(エニグマシステム)

ペインキラー本体と2体の随伴機と展開・接続した姿。上半身にパルド、下半身にロックを武装した巨大な四足獣という怪物然とした外見となる。この形態になれば途轍もない戦闘力を発揮するが、ペインキラー本体のみならずファクターである美海自身にも多大な負荷をかける両刃の剣である。上記の通り随伴機は合わせて1000t強

設定資料によると、主要基部を破壊しそれをナノマシンで再生させて有機的に結合しているとのこと。要はトンデモロボの代表格グレンラガン」とほぼ同等の合体機構である。ただし、あちらは合体時に破壊・変形した部位は修復されるが、こちらは副作用でしばらく戦闘不可能になる。また、ある程度の機能拡張はあるものの「現実的とは言えない」「飛躍的な性能向上はない」などと語られるようにおよそそのデメリットに不相応であり、姿こそ判明したがその真価は未だ不明である。もっとも、1000tもの猛獣が襲いかかってきたらそれだけで凶悪ではある。しかし、その真価を発揮することなくペインキラーは退場となってしまった。

合体要素は作者の片割れが本機のデザインをする時点でもう片割れの要求で加えられた物。デザインを担当した方は人型にはしないという条件を出して本形態が登場する事になった。

アニメ版

拠点防衛用のマキナであり、丸みを帯びた機体フォルムが特徴。単体での戦闘能力はそれほど高くなく、後方支援や防衛目標の確保を主な任務とする。防御能力が高いので、漫画版とは逆にその名称にふさわしいと言える。

漫画版同様、装甲の下に本体があるのかは不明。

登場作品と操縦者

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦L
初登場。アニメ版設定なので支援型。
バリアフィールドと修理装置持ちなので受けて耐える機体のサブとして優秀。本体もファクター技能と修理装置の相乗効果によるHP回復があるためかなりタフだが、HP・装甲は普通程度なので、盾として前に出すならば改造は必須。
武装は充実しているとは言えないがそこそこ射程の長いレールガンに有射程P武器の短剣があるので、誰と組ませても仕事は無くならない。中盤過ぎに射程1の必殺技が加わるもののメイン火力にするには物足りないので、引き続きサポート役だろう。
防御面の脆さと燃費の悪さという欠点をカバーしやすく、武装の特性も似ているラインバレルとは非常に相性がいいが、あまりバリアに頼りすぎて強化をおろそかにすると強制出撃ステージで困るためそこだけは注意。
スーパーロボット大戦UX
原作漫画版設定であるため、真の姿である「増加装甲解除形態」で戦う。装甲装備状態はアイコンのみ。もちろん修理装置も無く、うって変わって完全に戦闘型。攻撃面では充実したP武器に長射程も備えバランスが良く、燃費も非常に良好。さらにはロック以外の全てにスペック低下効果がついていると、とても使い勝手がいい。その代わり防御面はかなり手薄で、自己修復を加味してもかなり落とされやすい。運動性はマキナの中でも高い方なので回避能力はまあまあだが、特殊回避を持たないので連続ターゲット補正がかかると事故を起こすこともままある。幸いHPの高いユニットを先に狙う敵AIの性質上、突出しなければ集中攻撃を受ける危険性は少ない。
性能は大きく変わったが、飛べないので空適応ボーナスが欲しくPUにENボーナスを与えられるため、本作でもラインバレルとの相性は抜群。武装の傾向も似ている。今回は原作再現が20巻までであるため、合体形態は未登場。
なお、サヤやアーニーは勘違いしているが、ペインキラーが眠っていた黄泉比良坂と地獄は宗教からして別物である。乗機のオルフェスは由来・武器などが地獄にまつわるので、そう間違えるのは仕方ない。マキナ達がいた世界は『UX』の世界の前世に当たることを考えると、黄泉比良坂の奥に眠っていたというのも何気に意味深である。

単独作品

スーパーロボット大戦Card Chronicle
原作漫画版設定であるため、「増加装甲解除形態」で戦う他、「有機統一体」が初登場。「有機統一体」形態では、グルルの繰り出した大量の獣士を一瞬で蹴散らした。

装備・機能

武装・必殺武器

アニメ版

短剣投げ
ナイフを3本投げつける。ナイフは手に持っての使用も可能。これを使う美海本人も投げナイフの腕前は相当なもの。
レールガン
主武装。両腰にマウントしている。単射・速射を使い分けることができるが、スパロボでは単射のみ。
ペインキラーフルパワー
タリスマンに追いつめられる浩一を救うべく、美海がペインキラーのDソイルを意図的に暴走させて行った攻撃。アポトーシス(自死)臨界までエネルギー代謝率を高め、全身の装甲を展開させ、肩の装甲は展開後エネルギーを放出して翼を形成。猛スピードで突撃する。原作ではラインバレル mode-Bを発動させた浩一によって途中で止められて事なきを得たが、本来ならば自爆に等しい危険な技である。

原作漫画版

ムチ
基本武装。切断力を備えており、どちらかというと「蛇腹剣」とでも言うべき。
本来はロックが保持しているのだが、『UX』では本体が備えている。移動力低下の特殊効果を持つ。
パルド
随伴機の片割れで狼型。地上・接近戦を担当する。単体であってもアルマを軽く蹴散らすほどの戦闘力を持つ。
装甲低下の特殊効果を持つ。
ロック
随伴機の片割れで鳥型。下部にミサイルポッド、頭部にレールキャノンを搭載しており、空中・爆撃戦を担当する。
パルド・ロック連続攻撃
随伴機2機を同時に呼び出し、ロックが爆撃⇒バルドが突撃⇒本体が追撃⇒バルドが突撃と続く。フィニッシュデモではロックに乗って離脱する(これは19巻でシャングリラに佇んでいるロストバレルに接近するシーンが元になっている)。照準値低下の特殊効果を持つ。
大鎌
ムチと同じく随伴機が保持している基本武装の一つだが、20巻時点では最終章に向けたイメージ画像でのみ登場しており、実際に使用されたのが22巻のディスィーブ戦であるため、スパロボ未登場。
ヨモツヘグイ

特殊能力

L』ではファクターの効果で、実質HP回復持ち。

UX』ではファクターの効果で、ダメージを受けた時、ステータス画面の「活性率」に応じた割合で即座にHPが回復する。

修理装置
「痛み止め」の名の通り、ダメージを回復する。アニメ版準拠の『L』のみ。
HP回復と同じ効果も持ち、ファクターと重複する。
剣装備
切り払いを発動。『UX』で所持。
HP回復L1
『UX』で所持。ファクターの仕様変更に伴い追加された。

移動タイプ

L』。飛行可能。
UX』。原作漫画版準拠の『UX』では空は飛べない。

サイズ

M

機体ボーナス

L
  • 初期:資金+10% EN+50 バリア1000
  • 5段階:資金+20% EN+100 バリア1500
  • 10段階:資金+30% EN+150 バリア2000 地形適応:空A
スーパー系ユニットのパートナーに欲しい物が一通り揃った優秀なラインナップ。
UX
  • 初期段階:資金+10% EN+50
  • 第二段階:資金+15% EN+75 格闘武器+100
  • 第三段階:資金+20% EN+100 格闘武器+150
  • 最終段階:資金+30% EN+150 格闘武器+200 運動性+5
バリアの代わりに格闘武器強化のボーナスがつき、より攻撃的になった。資金+を活かしやすくなった反面、空適応が雀の涙程度の運動性ボーナスに置き換わってしまったのは少々痛い。

機体BGM

「鬼帝の剣」
主題歌。
「Linebarrel」
次回予告。『UX』ではこちらを採用。

対決・名場面

タリスマン
痛み無きモノ
美海がペインキラーのファクターとなった直後、加藤機関がペインキラーを狙って襲撃してくる。ラインバレルを呼ぼうとする浩一だったが、それに先んじて美海はペインキラーを召喚し、戦闘に突入。
過剰なまでの防衛本能によって二番隊隊長・真田の名乗りが終わらぬうちに鎌を投げつけてアルマを1機沈黙させ、圧倒されそうになるとパルドとロックを呼び寄せて逆に圧倒すると、初陣とは思えぬ猛然とした戦いぶりを見せる。その直後にパルドが撃墜され、集中砲火を受けて倒れたかに見えたその時、爆炎の中から姿を現したのは、増加装甲を排除したペインキラーの姿だった。
地面に降り立ち、最後に残った頭部増加装甲をヘルメットを脱ぐようにゆっくりと離脱。丸みを帯びた増加装甲の中から現れたのは、闇を纏ったかのような機体色を持つ鋭利な機体。ロックから渡された蛇腹剣を振るい、アルマの首をねじ切って見せ、それでなお「演出」と言い切る美海の姿は、見る者を戦慄させる。
ペインキラーに秘められていた凶悪な力と姿は、奇しくも美海が秘めていたそれと重なっていた。どこか穏やかな姿の中にあったのは、それとは真逆の凶悪性。敵対者を遍く黄泉へと誘うイザナミは、こうして覚醒の時を迎えた。
ロストバレル
本編における最後の戦い。ロストバレルの一撃で両腕をもがれた挙句、猛攻を受けて手足を失い美海自身も首から下を破壊され、トドメに随伴機にも見限られて電脳を破壊される、という惨憺たる結末であった。

スパロボシリーズの名場面

痛み消すモノ
CC』「帝国の陰謀」にて、ザンバジルに消されようとしていたハイネルを救出するため、カイルスの前に立ちはだかるジャンギャルを説得するも失敗に終わってしまう。膠着状態となった場を動かしたのは美海だった。
彼女にとっての『正義』とは、許せない物事や人を正すための『力』だった。だが、かけがえのない親友と出会ったコトで、それだけではダメだと知った。「例え異なる考え方だとしても、例え敵として現れても!心が通じ合えるコトを、その子が教えてくれた!」親友が教えてくれたのは『対話』の道。
「…私は信じている。彼女の思いを守っていれば…私の想いがいつか彼女への道につながるコトを!だから、私は戦う!人の痛みをなくすために!」
自分を変えた者の思いを守り、『人の痛みをなくす』ために、その道を塞ぐ者と戦うと美海が決意したその瞬間―ペインキラーが輝き、随伴機と合体、新たなる力となった。真の力を覚醒させた巨獣は、機械の獣を一蹴。美海とペインキラーは『真の正義の味方』となった。

余談

  • 原作者でメカデザイン担当である清水栄一氏はペインキラーの装甲解除形態がある事を誰にも教えていなかったらしく、相方の下口智裕氏も登場直前まで知らされていなかった様子。
  • ファンの間では原作漫画版の方を「イタい女が操る殺人機械だからペインキラー」などと揶揄されることも。