ヴェーダ
ヴェーダとは、『機動戦士ガンダム00』に登場するコンピュータ。
概要
私設武装組織ソレスタルビーイングの行動の根幹となる量子型演算処理システム(コンピュータ)。語源はインドのバラモン宗教文書の総称「知識」に由来する。
その実態は要するに「超高性能コンピュータ」で、世界中のコンピュータを監視している。より正確に言うならば、「世界中のコンピュータ一つ一つがヴェーダの端末であり、全てのコンピュータが織りなす世界規模の並列コンピュータネットワークがヴェーダ」である。イオリア・シュヘンベルグがCBの計画を実行するため、ヴェーダの端末としての機能を持つコンピュータを世界中に普及し、その結果として世界中のコンピュータを並列したヴェーダが作られた。そのため、世界中の電子機器をハッキングする事すら可能としている。そして、内包している知識は数兆レベルを有に超えている。これにアクセスできるのは脳量子波を持つ者と、ヴェーダがアクセス権を認めた人物に限られており、閲覧できる内容もレベル7まで段階分けされて存在する。レベル7には、ガンダムマイスターとGNドライヴの情報が含まれている。また、公式外伝では特殊なアクセス権限を持つイノベイドが登場している。
レベル7までアクセスできるのは、現時点でティエリア・アーデとリボンズ・アルマークの両名。スメラギ・李・ノリエガはレベル4、アレハンドロ・コーナーを始めとする監視者達はレベル3に限られている。ネーナ・トリニティもレベル7までアクセスできると思われる(ヨハンが刹那とロックオンの過去を知っているので)。
当初ソレスタルビーイングは、ヴェーダのバックアップを受け大規模な武力介入とガンダムの操縦支援システムを用いていたが、アレハンドロ・コーナーがリボンズ・アルマークの協力でヴェーダを掌握した際には一時機能不全に陥った。また、2ndシーズン以降も殆どの擬似太陽炉搭載機はヴェーダのバックアップを受けて稼動している。
計画遂行のためにメンバーの提案を積極的に受け入れており、事実申請すれば大概の事案は通る。しかし、これはあくまで「演算装置」でしかないヴェーダが人間を理解できていないため、「下手に手を出すよりも通した方が後々の懸案が少ない」というかなり消極的な理由である。さらに、「計画に致命的な影響を及ぼすものではない」と判断すれば、ソレスタルビーイングへの反逆ですら通す。アレハンドロやリボンズがヴェーダを掌握するギリギリまで干渉されなかったのもそのためである。ヴェーダにとっての計画遂行の基準とは「人類が滅亡するほどの戦争が起きない」というものであり、恒久平和が実現したとして、それが人の意志の介在しない機械的な社会であっても問題は無いのである。
提案の承認には3段階の度合いがあり、高い順に、ヴェーダの側も必要性が高いと判断して積極的に情報公開等の支援を行う「推奨」、計画進行に悪影響は無い為実行は許可するが、支援せず提案構成員の裁量・責任で全て行わせる「承認」、計画への悪影響や問題があるとして実行自体を認めない「却下・禁止」となる。
ちなみに「世界中のコンピュータを監視している」と前記したが、その性質上ネットワークに繋がっていないスタンドアローンの端末には干渉不能という根本的な欠点が存在し、そういう場合はイノベイド達の出番となる。劇場版以降はティエリアによって管理が行われている。
本編では明かされていないが、実はアロウズ結成の遠因はヴェーダにある。詳細は以下の通り。
公式外伝『機動戦士ガンダム00F』(SRW未参戦)の主人公であるフォン・スパーク(SRW未登場)は本編の1stシーズン終盤に当たる時期、理念の違いからソレスタルビーイングのバックアップ組織であるフェレシュテから離反。ファクトリー戦艦「エウクレイデス」を奪取すると共にイノベイドと一時結託し、アステロイド群を衛星軌道で爆破して大量のデブリを作り出して太陽光を遮るという人類史上前代未聞のエネルギーテロを敢行した。フォンの目的はヴェーダの掌握で、この状況下で優先的に電力が供給される場所にヴェーダの本体があるはずと考えていた。事実、フォンが見当を付けた場所にヴェーダは存在したが、リボンズはその機能をソレスタルビーイング号に移送していた。しかし、リボンズの行動も予測の範囲内だったフォンは、抜け殻ではあるが再起動できる本体を確保し姿を消す。
このテロによって生じたデブリ処理のため、宇宙へ労働者が送り出されると同時に宇宙開発が推し進められ、対テロ政策の独立治安維持部隊が発足。これがアロウズである。
登場作品
Zシリーズ
- 第2次スーパーロボット大戦Z破界篇
- 原作通りの扱いであり、世界中のコンピュータを監視・知識を蓄積している。アレハンドロにヴェーダのバックアップが切り離された時、独自のバックアップ構築にキラとカミーユらが協力している。
- 第2次スーパーロボット大戦Z再世篇
- 作中の内容からすると、多元世界形成直後からネットワークに組み込まれていたらしい。原作通り世界の情報統制に利用されていたが、密かにエルガンによってZEXIS承認プログラムを組み込まれていたのをはじめ、物語中盤でワイズマンの干渉によって一気に機密が流出し、更にムゲ・ゾルバドスによってネットワークをズタズタにされる等、散々な状態にされてしまう。
- この様に能力を遥かに上回る者達には全くと言っていい程無力であった為、結果的にリボンズはヴェーダに依存していた事もあって地球の影の支配権を手放す羽目になってしまった。
- なお、ZEUTHの面々からはその特性から「UNに似ている」と言われた事もあった。
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- 「奥底にティエリアでさえも解読できないプロテクトがある」と言われており、続編である『第3次Z天獄篇』への伏線となっている。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- ラプラスの箱の開放に伴い、イオリアとエルガンによって封印されていたレベル8の情報…すなわち、クロノとサイデリアルによる地球人類の管理についての事実が世界中に明かされた。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦UX
- ミョルニアや北極海ミールからもたらされたデータを解析した。特に、後者については膨大なデータ量にレイチェルらが驚いている中でティエリアが機転を利かせてヴェーダに転送させている。その結果、同化現象の治療に大いに役に立つこととなった。
- なお、ヴェーダによる北極海ミールの情報解析の件は、それが出来ず、悲劇が起きた作品を意識している節もある。
- スーパーロボット大戦BX
- DLCキャンペーンマップ「目覚めの儀式」では、CBのBXとの合流に向けての仮想ミッションにあたり、集積したデータを元に仮想空間内にてBXの面々(アレルヤ達含む)を再現。
- ただし、そのデータも完全なものではないらしく、騎士ガンダムはゼータ曰く「微妙に性格が違っていた」り、ライジンオーに至ってはデータが取れなかったのか影も形もない。
- 一方で騎士ガンダム以上にデータが少ない筈の騎士アレックスやガリアン(アレルヤ達に関する会話から時期的には『BX』本編第16話~第17話の辺りと想定されるので、一応データが取れなくはない)、更にその時点ではBXにはいないはずのユニコーンやボロットも何故か紛れている。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦V
- 本作では、「ブラックノワールの存在に気付いたイオリアが彼(彼女)を打倒する為にブラックノワールのエミュレーターとして開発した」という設定となっている。
- また、本作では母艦プトレマイオス2改のメインシステムは、ヴェーダの機能を小型化した物に変更されている。
余談
- コンピュータを制御する為に、コンピュータに自我を持たせる試みは現実世界でも試みられている。
- しかし反面、自我を持ったコンピュータが暴走する可能性も有り、映画『ターミネーター』における「スカイネット」や、同じく映画『マトリックス』における統合知性体「デウス・エクス・マキナ」等、「自我を持ったコンピュータが人類に敵対する」という物語はSFものには数知れない。
- スパロボ参戦作品の一つである『無敵超人ザンボット3』や『GEAR戦士電童』にもそういった敵が存在している。
- 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』に連動して設けられた公式twitterのタイトルは、「量子型演算処理システム ヴェーダ」である。
- その具体的な内容は、劇場版本編以前および劇場版本編(ただし、本編の46分25秒の箇所まで)におけるキャラクターの台詞や心情、その時の状況が詳細に描写(かつ補足)したものである。
- ちなみに、「量子型演算処理システム ヴェーダ」もとい公式twitterの内容は、シリアスなものから読者の笑いを誘うものまで存在している。