トロニウム
トロニウム(Tronium)とは、『スーパーロボット大戦シリーズ』に登場する鉱石。
概要
米粒大ほどの大きさながら膨大なエネルギーを引きだすことが可能で、この鉱石を用いた動力技術(トロニウム・エンジン)はEOTに指定されている。
そのエネルギー総量は一粒で宇宙戦艦30隻分とも言われているが、あまりにも出力が大きすぎるために制御は極めて困難。万が一暴走した場合は、半径50kmほどが爆発に巻き込まれ消滅すると言われる。ただし、トロニウム・エンジンを破壊された程度では、暴走爆発しない(或いは安全装置が十分機能する)ようで、劇中機体を破壊されトロニウムを奪取される事態が何度かあったが、大規模な爆発は起こっていない。全宇宙中でも現存しない惑星トロンからしか産出が確認されていない超レアメタルで、同惑星でも希少価値が高い鉱石であった。
なお、惑星トロンとトロニウムの名の由来はムートロンであった事を2023年7月16日の生スパロボチャンネルにて寺田貴信氏が明かしている。寺田氏としては反対したにも関わらずこの名前で行く事が決定した[1]ため、αシリーズ以降も意地になってトロニウムの名称を使い続けているらしい……
新スーパーロボット大戦
設定は上記の通り。過去にムー帝国が5粒をチベットに隠している。それをアルバトロ・ナル・エイジ・アスカが発見するが、4粒がマスターに奪われ、エイジが自分のシャトルのワープ機関の修理用に隠していたために無事であった1粒がSRXのトロニウム・エンジンに用いられた。核融合の触媒にトロニウムを用いることで、核融合反応が飛躍的に促進されるという原理。
ワープ航法の莫大なエネルギーを賄うにはトロニウムが必要になるため宇宙戦艦には必須で、宇宙の文明間ではトロニウムの保有量と運用できる戦力がイコール。尚、過去にムー帝国と接触した文明の宇宙戦艦はエネルギー効率が悪かった時代のものであるため莫大な量のトロニウムが使用されているという設定で、その艦は現在でもどこかに沈んでいるためバルマー帝国は莫大な量のトロニウムを狙って地球を侵略した。エンディングではその宇宙戦艦を背景に作品終了となる。続編を意識しての描写と思われるが、この設定は後の『スーパーロボット大戦αシリーズ』に引き継がれる。
なお、ムー帝国がトロニウムを所持していた事、ライディーンはムー帝国に作られている事、そして上記の寺田氏の発言からムートロン=トロニウムである可能性も考えられる。
スーパーヒーロー作戦
SRXの動力源として言及される。本篇時には既にSRXが完成しエアロゲイター(艦隊は不明)との決戦終了後であるが、ムー帝国に相当する設定が存在せず、イングラム及びヴィレッタの設定も後のα/OGシリーズとは異なるため、入手経緯は不明。トロニウム・エンジンはアールガン、R-2パワードの2基が存在するため、最低2粒が運用されている。
スーパーロボット大戦αシリーズ
『新スーパーロボット大戦』の設定を引き継ぐ形で登場。触媒として使うことで莫大なエネルギーを生み出す。惑星トロンがゼントラーディの攻撃で消滅したため、ゼ・バルマリィ帝国が過去に運用し、現在は行方不明となっている輸送艦が運んでいたものを捜索している。輸送艦は地球に落着しており6粒が地球人によって発見された。また輸送艦はマクロスと名付けられ地球人によって運用されている。そのうち1粒は未使用で、4粒はSRX(R-2パワード)、R-GUNパワード、ヒュッケバインMk-III(後のタイプL)、グルンガスト参式(1号機)の計4機のトロニウム・エンジンに利用され、残る1粒は第5使徒ラミエルとの戦いにおいてポジトロン・スナイパー・ライフルのエネルギー源の一部として使用された。このうちグルンガスト参式のものは、スーパー系主人公の場合に素晴らしきヒィッツカラルドによって機体ごと破壊されている。また、SRXのものは『第3次α』にてバンプレイオスに移植された。形としてはシリンダー内に納められているようで、人間の手で運べるほどのサイズである。
『α』の「ロボット大図鑑」では、グルンガスト改もトロニウムエンジン搭載機となっており、2機建造されたヒュッケバインMk-IIIのもう一機(後のタイプR)も同型機と同じ仕様ということになっているため、本編の台詞や設定と矛盾することになってしまうが詳細は不明。本来タイプRに搭載される予定のものをラミエル戦時にポジトロン・スナイパー・ライフルに使用し、それをタイプRが完成した後に戻した可能性はある。この影響か、ヒュッケバインMk-IIIタイプL/Rの両機は『第2次α』に登場する際に、動力炉が通常型のエンジンに改装されたという設定になっている。
スーパーロボット大戦OGシリーズ
触媒ではなく「内部に膨大なエネルギーを秘めている」という設定に変更された。第2次OGでは一種の精神感応性を有しているのではないかという仮説も考えられている。
同シリーズで地球に落下したメテオ3内から6粒が発見され、そのうちの5粒がEOTI機関から地球連邦軍やマオ・インダストリーに引き渡された。なお、現在のところ産出惑星トロンがどうなっているかは不明。このうち3粒はSRX(R-2パワード)、R-GUNパワード、ヒュッケバインMk-IIIタイプLのトロニウムエンジンに使用され、1粒はグルンガスト参式1号機に搭載予定だったが、1号機が失われたため通常エンジン搭載機としてロールアウトしていたヒュッケバインMk-IIIタイプRに搭載されることになった。そして最後の1粒は、ハガネが装備する艦首モジュールである、高出力の必殺砲「トロニウムバスターキャノン」のエネルギー源として用いられている。EOTI機関が所持していた残る1粒はDC戦争中に行方不明となっていたが、第2次OGにてシュウ・シラカワが所持していたことが判明した。このトロニウムは特異点崩壊事件の際にマサキに譲渡しており、そのままマサキは鋼龍戦隊に合流、その後エグゼクスバインに搭載されることとなる。
また、ヒュッケバインMk-III2機に搭載されていたトロニウムはガリルナガンに奪われることになるが、ガリルナガンにはトロニウム・レヴと呼ばれる動力源が搭載されている。この動力源はプラモデルS.R.G-Sのガリルナガンの解説によるとゼ・バルマリィ帝国で製造されたもので、使用されているトロニウムは先の6粒とは異なる新たに地球に持ち込まれた7粒目のトロニウムであると説明されている(劇中でもアーマラがトロニウム・エンジンが珍しいものでないと発言しており、メテオ3の6粒はユーゼスの策で送り込まれたことが判明している)。ガリルナガンのトロニウムはアダマトロンに吸収された後どうなったか不明(先述のように暴走した場合、とてつもない爆発が起きると思われるがそのようには見えない)であったが、魔装機神Fにて不調ながらも健在であることが確認された。強奪された2粒は依然行方不明のままである。
トロニウム・エンジンは非常に小型という特徴があり、複雑な変形機構を持つR-2に搭載するのも容易であった。また第2次OGでは、トロニウム・エンジンの特性やクォータードライブからハーフドライブに移行するまでのプロセスが判明した。曰く、エネルギー・ポリーライン(おそらく「出力を表す折れ線」)が常時変動し、クォーターからハーフに移行するにはこれがピークレベルのタイミングでスロットルを開く必要があるとのこと。車で言うと、エンジンの回転数が常に変化し続けるという性質がある上にピークでないとアクセルを踏んでも無意味、というようなものと思われる。さらに、ラインがボトムレベルの時に開いてしまうと最悪エンストも起こしうる。即ち、出力維持やハーフドライブに移行できるかどうかは運要素すら含まれるという難儀なエンジンとなっている(ハーフドライブ時の調整などは不明)。
また、フルドライブ以上の出力時やT-LINKシステムとのリンクレベルが高い場合、出力が安定するという特性も有している。つまり、念動力者がおらず低レベル駆動しているR-2の制御は難しくなり、念動力者2人が加わってのフルドライブ状態であるSRXは制御が楽という状態になる(その分、合体維持に必要な諸々が増えているが)。同時にフルドライブ状態では暴走の危険性が高まり、機体にかかる負荷が著しく増加するため、常時フルドライブ状態が危険であることも言及されている。それでもなお、システム等の技術向上によって以前よりはましになったらしい。
平行世界であるシャドウミラーの世界では、エアロゲイターが到来していないにも関わらず存在しており、同世界のSRXに採用されているらしいが、どのような経緯でもたらされたのかは明かされていない(そもそもイングラムがいるかも不明)。
トロニウムからエネルギーを得る機体
トロニウムを動力源として活用するトロニウム・エンジンを採用している機体が中心で、膨大な出力を要する装備や機構の扱いが可能。尤も、その分出力制御も困難を極め、通常運用の場合は敢えて出力に制限をかけていたり、トロニウム・エンジン以外の動力を用いるタイプに改修されてしまった機体も多い。
なお新スーパーロボット大戦ではワープ航法に必要なため、宇宙人の船には標準搭載。バルマー帝国第8艦隊を構成する旗艦ヘルモーズと5隻の外宇宙戦闘母艦フーレもワープ航法が可能な宇宙艦である。
- R-1改
- スピリッツにて大破したSRXに代わり、R-2のトロニウム・エンジンを移植した。
- R-2(R-2パワード、『新』地上編ではR-3パワード)⇒SRX⇒バンプレイオス
- トロニウム・エンジン搭載機の代表格。ただし、最初期のSRXには最悪の場合、敵陣で自爆する事で相討ちを狙う特攻兵器としての役割を持たされており、トロニウム・エンジン関連の技術の未完成さと危険性を示している。バンプレイオスはさらにレイオス・プランとの兼ね合いで爆発的かつ安定した力を発揮する。
- R-GUN
- RWシリーズのパーソナルトルーパーとして開発された機体。この時点ではSRXが未調整等のため使えないため、メタルジェノサイダーモードはR-GUN単独で行うが1基のトロニウム・エンジンの出力では本来の想定には程遠い火力でしか無い。
- R-GUNパワード
- R-GUNにプラスパーツを装着した形態。こちらでもメタルジェノサイダーモードへ変形し、ハイパートロニウムバスターキャノン(HTBキャノン)そのものとなる。SRXやバンプレイオスと連結して発射する。2基のトロニウム・エンジンが生み出すパワーはOGに登場する機体の中でも最強クラスの火力を誇る。
- ヒュッケバインMk-III タイプL / R
- 小型化したSRXと言うコンセプトの一環でもあるのか、搭載されているが、通常のプラズマドライブに換装されている場合も多い。OGでは後にガリルナガンに全て破壊され、トロニウムもエンジンごと持ち去られた。
- エグゼクスバイン
- 元はエンジンだけ組み立てられて肝心のトロニウムが無い状態だったが、後に先述の通りシュウからもたらされたトロニウムが組み込まれた。またトロニウムエンジンだけでなくブラックホールエンジンまで同時に搭載している、良い意味でも悪い意味でも規格外の機体。だがパイロットのイングが持つ強大な念動力のお蔭で、安定した稼働が実現されている。言い換えるとイング以外は乗る事が出来ない完全な専用機状態になっていた。
- しかしOGMDにおいてなんと乗り換え可能な「汎用機」に変化し、乗るだけならば誰でも可能になった。さすがに念動力を持つパイロットでなければ十全に性能を発揮できないが、曰く付きのエンジンを二つも持っている本機を誰でも扱えるようにした事は驚嘆に値する。
- ハガネ
- 動力ではなく、艦首モジュールのトロニウムバスターキャノンに使用している。トロニウム・エンジン開発前の装備だが、R-2パワードのハイゾルランチャー(収束)やR-GUNパワードのHTBキャノンとは規模が異なるだけとのことなので、モジュール内でトロニウムにより生成したエネルギーを直接バスターキャノンへ送って発射していると思われる。
- グルンガスト改 (α)
- トロニウム・エンジンが採用されている。OG版では原型機同様の動力のままになっている。
- グルンガスト参式
- αシリーズでは1号機に搭載。OGシリーズでは搭載前に超機人に取り込まれたため未搭載。
- ガリルナガン
- 地球製トロニウム・エンジンのオリジナル、もしくは上位存在であるバルマー製トロニウム・エンジンことトロニウム・レヴを搭載している。地球産のエンジンと比べ、極めて高い安定性を誇るのが特徴で、現にラ・ギアスでの戦いでは不調により全力が出せない状況にありつつも、最後まで問題なく戦い抜いた。
- そしてOGMDで晴れて地球に帰還し味方ユニットとして参戦、同時にエンジンが修理されたらしく(詳細は不明)、地下世界では使えなかった必殺技の『アキシオン・アッシャー』が復活した。
関連人物
- イングラム・プリスケン
- α/OGシリーズにおけるEOT研究の第一人者。扱いが難しいトロニウムの実用化は、彼の力によるもの。
- カーク・ハミル
- トロニウム・エンジンの開発者。
- ライディース・F・ブランシュタイン
- SRX(R-2パワード)搭乗時には出力調整に手間取っているが、バンプレイオス時にはその手間は軽減されている。
- テツヤ・オノデラ
- トロニウムバスターキャノンの発射時、対重力ブレーキの応用で後方加速するという離れ業を披露した。
- ユーゼス・ゴッツォ
- 『α』では全宇宙的にもトロニウムが貴重であるため、彼自身もトロニウムの入手を目論んでいた。イングラムが監察軍に復帰した際に、その記憶から存在を知ることとなる。
- シュウ・シラカワ
- 『第2次OG』にてビアン博士から最後のトロニウムを託されていたことが判明した。
- イーグレット・イング
- 強大な念動力でトロニウムをフルドライブ状態で安定化させるという離れ業を披露した。これにより、トロニウムには精神感応性があるという仮説を強くさせた。
- 東雲京香
- 「歩くトロニウム・エンジン」の異名をつけられている。
関連用語
- ↑ そもそも当初はムートロンの名称をそのまま使う案もあった模様。