虚憶
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虚憶(Vanishing memory)
第2次スーパーロボット大戦OGの最終盤においてユーゼスが語った事象。「きょおく」と読む。一言で説明してしまえば「前世の記憶」である。
ユーゼスの言によれば、スパロボ恒例の並行世界論では、一つの魂が宇宙の死と新生を超えて転生する事例が多く存在し、この時前世の記憶がイメージとして引き継がれることがある。この「宇宙の死と新生を超えた転生」を「再有生(さいゆうしょう)」、「引き継がれた記憶」のことを「虚憶」と呼称する。つまり、OGにおいて「虚憶」を持つ人物は異世界同位体ではなく、過去作品で登場した後、OG世界において同一人物として生まれ変わった存在であるということになるようだ。これが成されるきっかけは過去生における因縁の深さ、要するに関わりの深い人間の存在である(マサキならシュウ、リュウセイならイングラムやSRXチーム)。
虚憶の鮮明度や認識の度合いについては、それぞれの持つ因縁や業が深ければ深いほど大きくなる。これはユーゼスやシュウ、ギリアムが顕著。ユーゼスは劇中、自身が持つナシム・ガンエデンやクロスゲートに関する記憶を認識し、それが前世の記憶だと知った上で、なぜ自分にそんなものがあるのか、何に対して因縁を持っていたのかを知ろうとしていた。そのための手段としてクロスゲートを手に入れ、ナシムを乗っ取る計画を立てた……というのがOGシリーズの戦乱の始まりとなっている。
再有生を行っている存在については、ユーゼスは「神だとでも思え」と述べている。また、その条件は運命や宿命だとされている。結局詳細は明らかでないが、現状のOGシリーズはZシリーズとの関連が濃厚になって来ており、この「神」とは、ガイオウ達次元将が敵と定めている存在と同一である可能性がある。
虚憶にかかわりのある人物
- ユーゼス・ゴッツォ
- 「虚憶」におけるSHOとαの経験を踏まえてナシムを乗っ取る計画を立てたのだが、記憶の引き継ぎは虫食い状態らしく、しかも肝心の部分――作中判明した限りでは自分にとって都合が悪い記憶ばかり――が一部抜け落ちている(現にαのユーゼスは自分が倒されても目的の一つが達成されるように一種の保険を掛けていたが、第2次OGのユーゼスは保険を掛ける事で、その目的の一つについては事実上達成出来たのにも関わらず、掛けていなかった)。また、CPSの完全な動作にラプラスデモンコンピューターが必須であることなども覚えてないらしく、その影響か鋼龍戦隊をCPSで消滅させられないという失態を犯している(鋼龍戦隊の存在が消えてしまうとアダマトロンも存在出来ないためと思われる)。
なにより最大の問題は、今までにSHOの「全てを良しとして終わった」結末に関しては一度も思い出していない事だろう(でなくば調停者となる野望にしがみ付くはずがない)。
- シュウ・シラカワ
- ルオゾールによって蘇生させられた際に再有生が発生しており、また死亡⇒蘇生の間隔が短かったため、記憶の欠落こそあったものの概ねかつての人格を保持していた。また、この際に「α」における自身の記憶を認識したらしく、クロスゲートを知っていた。
- マサキ・アンドー
- 実はOGシリーズでこの「虚憶」らしきものの兆候を一番最初に見せた人物。OG1にて初対面のギリアムに対して「どこかで会わなかったか」と尋ねている(ギリアムのリアクションを見るに「ヒーロー戦記」の虚憶である可能性が高い)。さらにマサキは「ヒーロー戦記」においても、初対面のアムロに対して以前からの知り合いであるかのような態度を取っている。また、未だに詳細が明かされていない、マサキの中にある「LOE第一章以前にシュウをどこかで見た記憶」もこれである可能性もある(両者の初登場は第2次。ただし、LOEは第2次とストーリー上の繋がりがあるのでそれ以前の別世界である可能性もある)。お遊び的な要素と見られていたが、後述の再有生も含めて、彼の存在の根幹に関わる重大極まりない事実に至ろうとしている。
- ギリアム・イェーガー
- 彼も虚億の兆候を見せている。恐らく兆候を見せている人物の中でも完全に近い状態で保持している模様でゼゼーナンの結末が同じ事になると会話していた。だが、肝心要の記憶は抜け落ちているようだ。ついでに言うとロアに対しても同じような現象が起きている(バトルドッジボールの記憶らしいがダークブレインについては知らなかった)。
- リュウセイ・ダテ、マイ・コバヤシ、クスハ・ミズハ、ブルックリン・ラックフィールド
- OGシリーズでファブラ・フォレースにあるクロスゲートを、「見たことがあるような気がする」というデジャヴを感じる。共通するのは第3次αで銀河大戦に参加しており、かつ念動力者であること。これに関してはアヤ・コバヤシも当てはまるはずだが、当の彼女は特に台詞がなく不明(念動力が弱いという点も考慮する必要があるかもしれないが)。彼女に関してはリュウセイやマイ程クロスゲートに関わっていないためかも知れないが。
- アムロ・レイ
- サイバスターの出自に聞き覚えがある事やギリアムの名前に酷く動揺する事。どちらも「ヒーロー戦記」の虚憶と思われる。逆に「ヒーロー戦記」ではマサキに対して「どこかで会った気がする」と反応を示しており、こちらは「第2次」の虚憶と思われる。
虚憶に関わる台詞
- 「一大劫を経て再有生し、受け継がれる記憶……いわば、前世の記憶だ」
「お前達の中にも虚憶を持っている者がいるだろう? 見聞なきはずのクロスゲートやガンエデン、その名や姿に覚えがある者が」
「記憶を辿ろうとも明確な答えは出ず、おぼろげに存在している知識……きっかけがなければ、自覚せぬまま一生を終える」 - 「一大劫」とは仏教の言葉で、宇宙の誕生から消滅までの過程を成劫、住劫、壊劫、空劫の四劫に分け、それら全ての時間を一大劫と呼ぶ。つまり、ユーゼスの「虚憶」にある「SHO」や「α」は、OGから見ると「前の宇宙の出来事」となる……。ちなみにこれに対してシュウとギリアムが反応しているが、一度は確定で死んでいるシュウはともかく「放浪者」であったギリアムが反応したとなると、イングラム同様「何度も同じ存在として再有生している」ことになる(ただ、そうであるならばヘリオス要塞崩壊後も彼が存在している説明が出来る)。
- 「虚憶の有無、内容については個体差がある。その要因となるものは縁……一大劫前からの因縁だ」
「別の形で生まれ変わる者もいれば、一大劫を経て再有生する者もいる。虚憶の持ち主のほとんどが後者だ」
「そして、再有生とは一大劫を経て同じような姿、気性、能力を保つことだ」
「たとえば、マサキ・アンドー……そしてシュウ・シラカワ。お前達も再有生を遂げ、互いに因縁で結ばれている」
「そう……並行世界だけでなく、一大劫を経てもなお、お前達は強固な縁で結ばれているのだ」 - 「再有生」について。つまりは前の宇宙、前の世界で強い因縁を持った者達は、互いに同じ人物として次の宇宙、次の世界へ転生するが、この時互いを結ぶ因縁が同時に引き継がれていく(要するに同じような関係となる)。現にマサキとシュウの場合、初登場となる第2次以来、何度も宿敵として戦って来ている。ちなみにシュウはこれを「願い下げだ」と切り捨てたマサキに「同感ですね」と同調したが、当人もまた虚憶を持つだけになおさらうんざりしているのだろう。
並行世界も含まれているという点だが、マサキやリュウセイ達があの世界に転移した際に前の宇宙での同胞だった彼らの異世界同位体と出会ったのはその縁が因子として働いた為なのかもしれない。 - 「再有生という言葉の意味を知っただけであれば、そうであろう。四劫は宇宙の真理……それを知らずとも破界と再世は繰り返される」
「再有生を遂げなくとも、虚憶がなくとも、それらに気づかずとも、人は生まれ……死んでいくのだ」
「ただ……仮に再有生の実感があるとすれば、お前はそのような姿ではいられぬ」 - マサキに対して。要するに「何度でも同じ人間として生まれ変わっている認識があれば、同一人物としての己を保ってはいられない」ということだろう。マサキに言っている辺り、下手をすると本当にこの男の事かもしれない。OGのマサキが「ああなる」とはさすがに考えにくいが、少なくともまた一つ関係性が示唆されたことになる。
なお、この台詞にまたもギリアムが反応している。本当にスフィアに関わっていたとでもいうのか?また、ペルフェクティオの断末魔にも出てきた単語「破界」がここでも、さらに「再世」という単語までもでてきており、ますますZシリーズとの関連を疑いたくなってくる。 - レーツェル「ユーゼス・ゴッツォ。再有生を可能とする条件は何だ?」
ユーゼス「運命、宿命とでも言っておこうか」
レーツェル「ならば、それを定めたのは?」
ユーゼス「神だとでも認識するがいい」
レーツェル「もう一つ聞こう。再有生は、自らの意志で行えるものなのか?」
ユーゼス「希にそれを知り、四劫の超越を試みる者……いや、そうせざるを得ない者達がいる」
ライ「……お前の事か、ユーゼス」
ユーゼス「そう……そして、我と深き因縁を持ち、幾度も我の前に現れるイングラム・プリスケン」