ベーオウルフ
概要
「OGシリーズ」における地球連邦軍特殊任務実行部隊シャドウミラーが存在する平行世界(「あちらの世界」)の「キョウスケ・ナンブ」の異名。シャドウミラーの面々は、彼の率いる隊の名前から「ベーオウルフ」と呼んでおり、「こちらの世界」のキョウスケもそう呼ばれることがある。
地球連邦軍特殊鎮圧部隊『ベーオウルブズ』の隊長で、OGの主人公であるキョウスケが中尉なのに対し、彼は大尉。正式に採用されたアルトアイゼンことゲシュペンストMk-IIIを乗機にしている。
GBA版『OG2』までベーオウルフが直接顔や台詞を見せるシーンはなかったが、ラミア・ラヴレスの話では、特に「こちら側」のキョウスケと違うといった描写はなかった。しかしPS2版『OG2』(『OGs』)に登場する際にアクセルの性格変更(主にキョウスケを狙う理由の変化)に合わせるためか設定が変更され、性格や表情は凶悪かつ無慈悲なものとなり、顔にはアインスト・アルフィミィのような紫のペインティングが浮かんでいて、台詞もアインストのそれに近いものになっている。乗機のゲシュペンストMk-IIIはキョウスケと感覚が繋がっているらしく、自己再生及び進化・巨大化するなど、異様な変貌を遂げており、プレイヤーからは乗機と共にアインストに取り憑かれているものと推測されており、『ジ・インスペクター』にて公式に確定した。また『衝撃騎士団』でのアルフィミィ同様、下半身が機体変貌時にコクピットに融合している。
「こちら側」でアインストにコントロールされたエクセレン・ブロウニングに近い状態となっているが、彼女に比べると精神的に破綻が進んでおり「破壊」や「創造」などの断片的なキーワードを片言に話す他、キョウスケ本来のものとアインストの意志が入り混じった行動をするなど複雑なものである。これは、エクセレンが一度完全に死亡した後にアインストによって蘇生したため、本人の意識とレジセイアの意志が完全に独立していたのに対し、キョウスケは(「こちら側」の彼と同じであれば)持ち前の悪運によって生き残った所を引っ張られたためにこのような状態になったと考えられる。そもそも悪運の強いキョウスケ・ナンブという男だが、「向こう側」ではその悪運が完全に裏目に出てしまったことになる。
「こちら側」のキョウスケは士官学校時代にエクセレン共々シャトル事故(士官候補生が乗っていたシャトルにアインストが激突した)に遭遇したことから、アインストの声を聞くことができる数少ない存在であり、それは「あちら側」でも同様なのだが「あちら側」ではエクセレンがアインストに再生されることなく事故死している。このことから「ベーオウルブズ」の前身である「ATXチーム」の構成も異なっており、そのことが何かしらの影響を与えているものと推測されるが、現時点では変貌を遂げた詳細な経緯については不明。
ちなみに「あちら側」の世界におけるエクセレンは後にレモン・ブロウニングとして不完全な形で復活を果たしアクセル・アルマーの恋人となっているが、アインストによる彼女のコピー(「こちら側」でのアルフィミィに該当する存在)が作られたかは不明。
なお「こちら側」の彼に相当する状態となったエクセレンはアインストに洗脳された時は自身の意識がほとんどなくノイ・レジセイアの意志を受ける端末として動いていたが、ベーオウルフはアインストの影響を受けて変貌しつつも自我を保ちつつ、それらの行動律がすべて「己自身の目的」となっている。これは「向こう側」においてはノイ・レジセイアに相当する存在が何らかの理由で存在しておらず、変貌したキョウスケがその立ち位置を担っていたためと思われる。つまり彼はアインストによって操られたというよりも「その影響で暴走した」というべきだろう。
登場作品と役柄
- スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2
- 冒頭で転移作戦に移行したシャドウミラーを追ってテスラ・ライヒ研究所に登場。ゲシュペンストMk-IIIのアイコン(データ上ではノーマルのアルトアイゼンで代用)が表示されるだけで、アクセルとの戦闘が始まる直前にシーンが切り替わるためベーオウルフ本人は未登場に留まった。
- この当時はアインスト化していた描写はなく「疾風、そして流星の如く」におけるラミアのモノローグからすると「こちら側」のキョウスケとさほど変わらない人物だった模様。
- スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATIONS
- 『OG2』第3話「蒼い追跡者」でGBA版同様シャドウミラーを追って登場。今回は登場直後に台詞やグラフィックが表示されるが、GBA版から大幅に設定が変更され、アインストの影響を受けていると思われる描写が存在し、異様な変貌を遂げている。GBA版と同様にアクセルとの戦闘を開始するがその決着は描かれなかった。
- 無限のフロンティア
- ゲーム本編には未登場だが予約特典のドラマCDに登場。『OGs』の設定を引き継いだ上でアクセルとの戦闘が描かれている。
- アクセルの駆るソウルゲインに部下の量産型ゲシュペンストMk-IIを先に戦わせ殲滅された後に戦うが、最終的にはゲシュペンストMk-IIIを再生・巨大化させたのが仇となって機体は大破。そのままリュケイオスの自爆に巻き込まれた。
- 戦闘前にレモンとの会話でアクセルの口から「以前戦った時よりも悪化している…」との発言がある。
- スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター
- ゲーム及びドラマCDとほぼ同様の経緯で登場し、テスラ・ライヒ研究所で敗北するも最終話で「こちら側」へ転移。言動・外見共にほとんど怪物と化しており、自ら全生命の種としてアインストの意志に沿った行動を取るが、最期は自らの異次元同位体「キョウスケ・ナンブ」に敗れ去る。なお、エンドロールでも「ベーオウルフ」となっている。
人間関係
- アインスト
- ベーオウルフ変貌の引き金。「こちら側」のアインストの頂点はノイ・レジセイアだが、「向こう側」のアインストの頂点はべーオウルフであるかのような描写がなされている。
- アクセル・アルマー
- 宿敵。あちら側での最終決戦では彼に敗北した。しかし…
- キョウスケ・ナンブ
- 並行世界の同一人物。間接的にではあるが、ベーオウルフのおかげで大災難に遭うハメに。『OGIN』では彼に引導を渡された。
- エクセレン・ブロウニング
- 「こちら側」の彼女に近い存在となっている。
- アインスト・アルフィミィ
- 「こちら側」のエクセレンのコピーだが『OGIN』では不完全な存在と判断して彼女を見捨てた。
- リュウセイ・ダテ
- 『OGIN』第1話冒頭にて「向こう側」の彼を撃墜、殺害するという衝撃的なシーンが描かれた(「向こう側」ではヒュッケバインの暴走事故で死亡した事が示唆されているライ、および詳細が語られていないアヤがパイロットだったかは不明だが、R-2とR-3のパイロットも死亡したと思われる)。
名台詞
- 「逃がさん…憎み合う…世界を…広げる者達…」
「おれは創らなければならない…世界を…静寂でなければならない…」
「おまえ達は…望まれぬ世界を…創る…」
「だから…撃ち貫く…のみだ」
「お前は…純粋な生命体にはなり得ん。おれが…そう、おれこそが…」
「創造する…望まぬ世界を、破壊…」
「ククク…フフ、フフフフ…創造は破壊、破壊と創造…創造と破壊、破壊の創造…」 - OG2にて、アクセルの前に現れた時の台詞。キョウスケの面影を残しつつも、アインストの影響によって支離滅裂な言動となっている。
OGSではこれらの台詞を喋っている時は顔にシェードがかかっており、シルエットからキョウスケと推察できるが、表情はうかがい知れない。 - 「お前達は純粋な生命体には成り得ん……俺が……そう!! 俺、こそがぁっ!!」
- ドラマCDとジ・インスペクターではこちら。どアップで叫んでおり、森川氏の熱演も相まって異様に恐ろしい。
- 「……噛み砕け……!」
- 僚機への攻撃開始の指示。
OGSではアクセルとの戦闘開始前の最後の台詞。この台詞と共に顔のシェードがなくなり、今まで謎に包まれていた「ベーオウルフ」の素顔が露わになる。 - 「部下? 同じもの……同じ体……異なる変化……フフ、フフフフ……」
「創造する……また再び……いつも……創ればいい……!」 - 僚機をアクセルに全滅させられて。この時点ではアインストの意志が優勢らしく、2行目の台詞から察するに人間でなくなったのはベーオウルフだけではなかったようだ。
- 「勝利……敗北……そこに意味は無い……破壊されるか……創りだされるか……そして…お前は…死ね!」
- アクセルとの交戦前の台詞。支離滅裂な言動な上に、自身は敗北しないと言い切っている。
- 「押せよ……Mk-III!!」
- 至近距離で押し合いになった際、ソウルゲインをこの言葉とともに押し返した。そして、ここから怒涛の展開が……。
- 「破壊…創造…巡る者…フ、ハハハハ……」
「形に意味は無い……有るのか…無いのか…右が有るのか…左が有るのか…」 - 青龍鱗によって機体の右腕を破壊された直後の台詞。この最中にアインストヴォルフへと機体が変化する。
- 「静寂なる世界…創造する為に…創り直す為に…」
- アインストヴォルフに変化した直後、光線(エアヴァルトゥング?)を放つ際に。
- 「うっ……何も…無い……静寂を乱す方舟は……どこだっ!」
- テスラ・ライヒ研究所地下ドック内にシャドウミラーの戦艦が無い事に動揺して。そしてここからソウルゲインの怒涛の反撃が始まる。
- 「アクセル……アルマァァァァッ!!」
- 無限のフロンティアの予約特典ドラマCDより、最終局面での台詞。『ジ・インスペクター』第1話でも同じ台詞がある。
転移を開始したソウルゲインに襲い掛かるも至近距離から玄武剛弾を喰らって押し返され、鋼鉄の孤狼は崩壊するテスラ研に消えた…。 - 「新たな世界に必要なのは……始まりの地より生まれ……知恵の実を喰らった人間ではなく……物を考えず……対にならず……互いに争わぬ生命体……だが……生まれ出たのは不完全な物……故にお前は、先程の消滅を免れた」
「お前達は新たな命に成り得ん……だが、再生した俺が……そう……俺こそが!!」 - 『ジ・インスペクター』最終話で地球を目前にして現れたキョウスケ達に対して。この時点では既に機体・本人ともMk-IIIとキョウスケの名残を留めておらず、一瞬誰だかわからなかった視聴者も多い。
またその場に居合わせたアルフィミィにとって、ベーオウルフの台詞は存在の完全否定であり、ペルゼイン・リヒカイトのコクピットの中で大粒の涙を零していた。 - 「さあ、始まりの地よ……俺を受け入れろぉっ!!」
- 地球に向かって接近しながら。完全にアインストと化している。
- 「馬鹿な!? 未来が…過去にぃぃぃぃっ!!」
- キョウスケにトドメを刺された際の断末魔。
ツークンフト(未来)たる己がアルト(過去)に敗れた事を受け入れられないまま、呪われし孤狼は異形の騎士と共に大気圏に消えた…。
また、この戦いの決め手となったのは第1話でソウルゲインに撃ち込まれ、アインストヴォルフに埋め込まれた形になっていた玄武剛弾、すなわち過去からの一撃であり、キョウスケにトドメを刺そうとした時それを身を挺して庇ったアルフィミィは、ベーオウルフに切り捨てられた過去の存在だった。逆に自身へとトドメを刺したのはアインスト化する事無く己を保ち続けたキョウスケ、すなわちベーオウルフが捨ててしまった過去の自分であった。
搭乗機体
- ゲシュペンストMk-III / アインストヴォルフ / ノイヴォルフ
- 「向こう側」のアルトアイゼンに該当する存在。ベーオウルフ自身のアインスト化に合わせ、「こちら側」のライン・ヴァイスリッターに相当する存在と化している。ゲシュペンストMk-IIIの時点ではまだしも再生・巨大化したアインストヴォルフの姿形は全くの別物。