ザナルド・ベイハート
ザナルド・ベイハート(Zanald Beihart)
フェザール・イゼルカントの側近を務める男。ドラゴンを模った兜と義眼の左目、そして2mを超す肥満体が特徴。一人称はアニメでは「私」、小説では「オレ」。
衛星軌道上より地球侵攻作戦を指揮し、自らも専用機「ザムドラーグ」を駆って前線に立つ。戦功を第一に考える武闘派で指揮官としても優秀だが、私情から故意のフレンドリーファイアを頻繁に行い、時には友軍を躊躇なく殺害するなど人の上に立つ人間としてはいささか疑問が残る。
ヴェイガンの中でもタカ派的な思想を持ち、手緩い指令を下すイゼルカントに対して、内心苛立つこともある。若くしてイゼルカントに重用されているゼハートとは折り合いが悪く、彼の監視役としてフラムを差し向ける。ゼハートとのディーヴァ挟撃作戦では自ら出撃し、ゼハートの手柄を奪う形でガンダムAGE-3ごとキオを捕獲し、キオの監視をイゼルカントに進言する一方で、鹵獲したAGE-3のデータを基にガンダムレギルスの開発を進める。
その後、プロジェクト・エデンの全権を任されたゼハートに反発し、ゼハートをイゼルカントの後継者として認めないことを告げ、ついに謀反を起こす。ラ・グラミス攻防戦では大破して漂っていたディーン・アノンのジルスベインをゴミ扱いして撃墜するが、それに激怒したキオのFXバーストモードの攻撃を受けてザムドラーグを撃墜され、からくも脱出する。
最後は乗艦のファ・ガンタに戻って指揮を執っていたところを、味方を巻き込むことも厭わないゼハートの命令で背後から発射されたディグマゼノン砲の光に飲み込まれ、彼への恨み言を叫びながら戦死した。
小説版では「暴力的ではあるが粗暴ではない」と評され、兵士たちのことを思う良将でもあり、アニメ版以上に高潔な人物として描写されている。また、息子をコロニーの事故で喪った過去を持つという設定となっている。こちらではアニメ版と違ってゼハートに造反する事も無く、最終決戦ではゼハートやオクラムドと共謀しイゼルカントへのクーデターを決行、シドとの最終決戦も生き延び最後まで生存しており、戦後は火星と地球の双方の平和の為に戦い続けたことが語られている。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦BX
- 初登場作品。プロローグから登場し、第5話でザムドラーグに乗って登場して以降、度々自軍部隊と交戦する。本作ではランカの歌を利用してバジュラをヴェイガンの生物兵器として利用するなどアニメ版同様(キオ篇以降の)ヴェイガンの人物の中でも最も敵役らしい面を見せるが、ヴェイガンの民の事を真剣に案じていたり同盟組織である木連にも同情を寄せると共に理解を示すなど、キャラクター設定はアニメ版をベースとしながら随所に小説版を彷彿させる面も覗かせている。最終的にはプロジェクト・エデンの真相を知った事でイゼルカントへの叛意が決定的となり、草壁と結託しイゼルカントとゼハートに対しクーデターを決行するが、無理に操ろうとしたヴェイガンギア・シドに機体のコントロールを奪われ、最期は法術士ニュー(生存フラグ成立時はゼハートとアセム)に引導を渡された。地球への憎悪を捨てきれなかった様やその最期は法術士ニューからも哀れまれ、オクラムドからも悼まれており、その最期はアニメ版よりも悲哀を感じさせるものとなっている。
パイロットステータス設定の傾向
人間関係
地球連邦
- キオ・アスノ
- ガンダムのパイロット。搭乗機ごと彼を鹵獲する。後にディーンを眼前で殺害したことで怒り狂った彼に機体を撃墜される。
- 小説版では彼に「実直で優しい男」とも評されている。
宇宙海賊ビシディアン
- キャプテン・アッシュ
- キオ救出作戦時に敵として相見える。
- 小説版でも敵対するが、戦後は共にEXA-DBを狙う者たちと戦い続けたことが語られている。
- BXではゼハートの生存フラグを満たした場合、彼とゼハートの連携により引導を渡される。
ヴェイガン
- フェザール・イゼルカント
- ヴェイガン指導者であり、主君。ゲーム版にてかつて孤児だった境遇を彼に取り立てられて救われた過去を持つことが明かされており、感謝の念を抱くと共に忠誠を尽くしてはいるものの、彼のやり方については懐疑的な一面も。小説版ではそれが特に顕著。
- ゼハート・ガレット
- 年下の同僚だが、彼の存在を快く思っておらず、折り合いが悪く、最終的には造反するも、彼に粛清される。
- 小説版でも当初は彼のことを快く思っていなかったが、彼の覚悟と決意を知ったことで、彼の事を認めるように。
- BXでは彼を事故に見せかけて殺そうとし、生存フラグを満たしていない場合は謀殺に成功するが、満たしていた場合は逆に法術士ニューの転移魔法で失敗、アセムとの連携で返り討ちにされる。
- フラム・ナラ
- ゼハートの監視役として彼女を送り込む。
- ディーン・アノン
- ヴェイガンの新兵。機体を大破され戦えなくなった彼を「ゴミ」と呼び、あっさりと殺害する。
- ダラス・レギン
- ザナルドの部下。SRW未登場。
その他
- ウェンディ・ハーツ
- 小説版ではディーンを殺害した事で怒りに全てを委ねたキオに殺されそうになったところを、彼女がキオを制止しキオが理性を取り戻したことで、結果的に彼女の言葉によって命拾いしている。
他作品との人間関係
- 白鳥九十九、月臣元一朗、高杉三郎太、秋山源八郎
- BXでは同盟関係上、度々共同戦線を張る。
- 彼らのゲキ・ガンガー愛と熱血にも少なからず理解を示し、実力も認めている。
- 草壁春樹
- BXでは同盟組織の指揮官で、彼と結託しイゼルカントとゼハートに対してのクーデターを決行し、地球への徹底抗戦を企てる。
- ミスマル・ユリカ
- BXではプロローグにて火星で彼女が指揮するナデシコを追い詰めており、その後もビッグリング陥落の際に再び対峙し、その後も度々交戦する相手である。
- ランカ・リー
- BXでは彼女の歌を解析し、バジュラを操るために利用する。
- 早乙女アルト
- BXではバジュラを生物兵器として操ったことで、彼からは激しい怒りを向けられる。
- オズマ・リー
- 同じく、バジュラを生物兵器として操ったのみならず、妹ランカの歌を悪用した事に、彼からも激しい怒りを向けられる。
- アンドレイ・スミルノフ
- BXでは第18話(宇宙ルート)冒頭にて彼の率いる部隊と交戦し、彼の決死の反撃により撤退に追い込まれる。
- 法術士ニュー
- BXではゼハート死亡時、シドに制御を奪われ暴走していたザムドラーグを撃墜される形で彼に引導を渡される。ニューからは形はどうあれ祖国のために働いていたことを評価されていた。
名台詞
- 「イゼルカント様、まもなく始まります」
- 第29話の初登場シーン。ホログラム映像でイゼルカントに作戦準備の完了と作戦開始を報告。直後に連邦軍総司令部ビッグリングは陥落、激戦の幕開けとなった。
- 「奴等にはイゼルカント様直属部隊の名に恥じぬ働きを期待したいものだがな・・・」
- 第31話。ゼハートの部隊をあまり信用していないことが伺える。
- 「違う。ここはヴェイガン「そのもの」だ」
- 第37話。捕虜のキオを首都コロニーセカンドムーンに連行した際、キオが物々しい警備と異様なコロニー外見から「ここがヴェイガンの基地・・・」と呟いた事に反応して。ヴェイガンは軍政一体の軍事国家という点を端的にあらわしている。
- 「うぬぼれるなよ!私は貴様をイゼルカント様の代わりなどと認めておらん!ディグマゼノン砲ももう撃てんのだ。我々は戦況に合わせて独断専行する!」
- 第47話。ザナルド配下のMS隊がガンダムAGE-FXもろともゼハート、フラムに対して砲撃を仕掛けた件を開き直り、さらにゼハートに対して従わないことを公言する始末。だが、ディグマゼノン砲は再チャージの手段を残しており・・・
- 「戦えぬモビルスーツなどゴミも同然・・・それを排除しただけだ。むしろ貴様を倒す役に立ったのだから、ゴミとしても本望だろう」
- 第47話。ガンダムを仕留める為自ら出陣。戦闘不能のジルスベインごとAGE-FXを葬り去ろうとして、なぜ味方を撃ったと怒るキオに反論。挑発もかねてるのだろうが、もはや悪役ここに極まれりといった物言いである。が、この一言はキオの逆鱗に触れてしまうことに・・・
- 「ゼハート!?貴様アアア!!」
- ディグマゼノン砲に飲み込まれながらの最期の台詞。既にゼハートに対して言動と行動で叛意を現していた為、彼に粛清される形でヴェイガンの暴将はこの世から退場した。
小説版
- (どうもな……ガレットの兄弟は兄も弟も、ガンダム捕獲に幾度となく失敗している連中だ。こんな得体の知れないXラウンダーとやらいう輩を重用するイゼルカント様の考え、理解できぬ……)
- 自身の旗艦でロストロウランでの戦いに敗れたゼハートと対面し、今後の作戦について話し合いながらの心中での呟き。この直前には彼の要求に思わず「青二才め、でしゃばりもいい加減にしろよ」と口を滑らせかけており、この時点ではアニメ版同様、ゼハートに対して少なからず嫌悪感と不信感を抱いているが…。
- また、この呟きからもわかる通り、ザナルドはデシルに対しても快くない感情を抱いていたことも伺わせられる。もっとも、デシルについては少年だったフリット編の頃から陰で「あのガキ」呼ばわりされ、精神を病んだアセム編では人望ゼロと言ってもよいぐらい誰からも厄介者と見られていたが。
- (キオ・アスノが死んだ息子に似ているからといって、あれほどに甘いとするなら、イゼルカントというのは度し難い老害だ……! EDENの理想も何もあったものではない! 稚児趣味の老人め!)
- 前線の将兵に多大な混乱と苦労をかけながら達成したガンダムAGE-3とキオの拿捕の結果が、イゼルカントによるキオの厚遇という有様に、イゼルカントに対し強い不信感を募らせる。
- 「あの老人のためではない! 若造のゼハートのためでもない! ヴェイガンのためだ! あの過酷な地に生きる人々に光をもたらすために、オレは戦っている!」
- ディーンを「裏切り者」として殺害した直後、激昂するキオとの戦闘にて、キオにイゼルカントの企てるプロジェクト・エデンについて問い質された際の反論。小説版のザナルドが何よりも祖国のために戦いに身を投じていることを露にしている場面の一つ。
- 「やらせはせん! やらせはせんぞ! 我らの故郷を! 我らの家族を……! そして、あの青い地球を、水の星をやらせはせん!」
- 最終決戦、部下を全て撃墜された中、シド・スレイブの大軍を相手に独り奮戦し叫んだ台詞。言うまでも無く、過去のガンダムシリーズのあの人物の台詞が元ネタ。
- (そうでなければ、地獄に行って、ゼハート・ガレットにどんな顔で会えるものかよ)
- シド・スレイブの大軍をザムドラーグごと自爆して道連れにする覚悟を決めながら。アニメ版とは異なり、ゼハートの真意と覚悟を知った事で彼への認識を改めており、祖国のために命を散らした彼の死を悼んでいた。
- 「恨みや憎しみを捨てられるとは思わん。 人はAGEシステムのように便利にはなれない。 だが、理性や希望を信じて、それを乗り越えられると信じよう。 あの少年たちが示してくれたように」
- 窮地を連邦軍の部隊の救援に救われ、心胆から感謝の言葉を述べ、連邦軍の部隊と共闘し、再びシド・スレイブの大軍に立ち向かう際に。散っていった戦友達や、自分達に人の心の希望を見せてくれた少年達に想いを馳せつつ、ヴェイガンの闘将は、戦いを終わらせるために、再び立ち上がる。
搭乗機体
- ザムドラーグ
- ザナルド専用機。ザナルド本人に似た肥満・短足体型が特徴。
- ファ・ガンタ
- ザナルドの座乗艦である新型戦闘艦。