マウンテンサイクル(Mountain Cycle)
概要
『∀ガンダム』の劇中において、黒歴史の遺産が埋没している地を指す用語。
「黒歴史」とは、同作中においてかつて存在した戦乱の時代(詳細は同記事を参照)を指し、その戦乱の時代の文明はかつて∀ガンダムが搭載している広域ナノマシン散布装置「月光蝶」により葬られた。しかし、月光蝶は文明の全てを分解に至らしめたわけではなく、兵器の一部についてはその機構が分解されないまま、ナノマシンの残滓により構成された大地の中に埋没した状態となった。以上の過程を経て兵器が埋没・保存された地形を、現代ではマウンテンサイクルと呼んでいる。
その事実は長い時を経て半ば忘れられた状態となっていたが、アメリア大陸に住む者の間などでは「先史文明の遺産が埋没している大地がある」とする伝承が伝えられていた。実際にビシニティの石像の中から∀ガンダムが発見されたことでこの説は俄かに現実味を帯び、また以前からこの伝承を元に調査を続けていた山師のシドらによって、各地から実際に兵器が発掘されるに至り、マウンテンサイクルの実在が実証されることとなった。
主な埋没物
前述の経緯から、マウンテンサイクルには過去の戦乱の時代に活躍した多くの兵器が眠っている。これらの兵器は長期間大地に埋没していたとは思えないほど良好な状態で発掘されており、即座に起動することも可能であった。これは兵器を埋め尽くしていたナノマシンの残滓が、兵器にとっていわば保管剤の役割を果たしていたことによるもので、宇宙戦艦ウィルゲムの発掘に携わったムーンレィスの技術者・ホレスらによってその事が明らかになっている。
発掘された兵器がそのまま戦力として転用可能であったため、ムーンレィスに比べて大幅に技術が遅れていた地球人にとってマウンテンサイクルは貴重な戦力供給源となった。このためミリシャはマウンテンサイクルの発掘に力を注ぎ、イングレッサ・ミリシャではカプルが、ルジャーナ・ミリシャではボルジャーノンが、それぞれ主力としての地位を得るに至っている。それ以外にも多くの兵器が発掘されており、中には前述のウィルゲムのように大型の戦艦が発掘されるケースもある。
劇中で発掘されるモビルスーツは概ね以上のようなものであるが、黒歴史とは「過去のガンダムシリーズの(諸説あるものの、概ね)全作品の時代」を包含する概念であるから、その設定からすれば、過去シリーズにおいて登場したあらゆる兵器について、マウンテンサイクルから発掘され姿を現す可能性は否定できない。発掘されたモビルスーツが過去に存在した機体(カプール、旧ザク、ザク改等)に酷似しているのもこの点を意識しているためであるが、この点は柔軟に解釈可能な余地が非常に大きく、コミックス版では『ガンダムW G-UNIT』に登場するガンダムアスクレプオス(SRW未登場)と思しき機体が登場していたりもする。また、後述のようにスーパーロボット大戦シリーズでもその柔軟性を活かした大胆なアレンジが行われている。
ロストマウンテン及び月面のマウンテンサイクル
マウンテンサイクルの埋没物は単なる量産機動兵器や戦艦だけではなく、中には極めて危険性の高い兵器も存在する。これらの存在は伝承の中でも示唆されており、それらが埋没している可能性の高い地域は「ロストマウンテン」と呼ばれて通常のマウンテンサイクルとは区別され、山師さえも近づかない禁忌の土地として忌み嫌われていた。
埋没物については恐らく何種類かのパターンがあったものと思われるが、劇中で特に取り上げられたのは「核兵器」であり、ギャバンはロストマウンテンの核兵器処理の中で命を散らすこととなった。
また、劇中の後半では月面にも地上同様にマウンテンサイクルが存在することが明らかになっており、そこからはバンデットなど、地上のマウンテンサイクルより数段性能の高いモビルスーツが発掘されている(この理由について、ファンの間では「アナハイムやグラナダが月面に存在していたことに起因する技術力の差」であるとする俗説も存在する)。更には∀ガンダムの兄弟機・ターンXも月面のマウンテンサイクルで発見され、ギム・ギンガナムの野望を実現するための道具として、地上で猛威を揮う事となった。
スーパーロボット大戦における扱い
スーパーロボット大戦α外伝
設定は概ね原作通りだが、黒歴史で語られる戦乱の時代とは「バルマー戦役」(初代α)以降の時代を指しており、α時代に活躍した兵器を中心に発掘されている。
埋没物は基本的にはα時代に活躍したモビルスーツや戦艦が多く、イノセント及びミリシャ、ムーンレィスの双方が盛んに発掘を行い、前線に投入を行っている。その一方、機械獣の製造プラント等もマウンテンサイクル化しているため、必ずしも安全な場所とは言い難い。また本作では∀ガンダムによる文明埋葬と第七次宇宙戦争(『ガンダムX』世界における文明崩壊の直接の原因となった最終戦争)が一体化した設定となっているため、∀時代のモビルスーツと同様にGX系列のモビルスーツも数多くマウンテンサイクルに埋没している。主人公機であるガンダムエックスの他、イノセントの最終拠点・Xポイントでは大量のパトゥーリアが発掘されたりもしている。
また、ロストマウンテンについては特にオリジナル設定が色濃く、原作通り核兵器が埋没している他、核兵器搭載機であるガンダム試作2号機もロストマウンテンの埋没物として登場する。更に、スパロボ世界におけるオーバーテクノロジーの密集地域である旧日本地区は特に危険なロストマウンテンとして認知されており、実際にマジンカイザーや真ゲッターロボといった核兵器以上に物騒極まりないメカが埋没している。作中ではこの2大兵器を巡り、恐竜帝国との死闘が演じられることとなる。
隠し要素の埋没
α外伝ではマウンテンサイクルが地形として再現されており、該当のマス上に移動することで強化パーツや隠しユニットなどを発見・入手できる場合がある。これは同作において採用されているコンテナ、及び『新スーパーロボット大戦』まで採用されていた強化パーツ埋没のバリエーションとして捉えてよいであろう。
最も分かり易いケースは「地形『山』の一帯の中で、1マスだけ洞穴が存在している」というもので、中盤までのマップではこういった地形が登場する場合、ほぼ確実に何かが埋没していると考えてよい。しかし後半に差し掛かって来ると、そういった見た目のヒントに乏しい、所謂「隠しマウンテンサイクル」が増加。その分、埋没物が効果が高く貴重なものにグレードアップするようになる。
マップ毎の埋没物数と詳細については「隠し要素/α外伝」を参照。
スーパーロボット大戦Z(スペシャルディスク)
基本的にはα外伝と同じだが、中核的存在であるモビルスーツやオーバーマンの他、多元世界を構築するあらゆる世界の機動兵器が埋没しているため、発掘されるメカのバリエーションはより豊富である。尚、これらのメカ群はエグゼクターと呼ばれるシステムの下で一律に制御されており、マスターコアであるXANの指令の下で無人のまま行動を起こすことが可能となっている。