次元将ヴィルダーク

次元将ヴィルダーク(Dimention Genelal Virudhak)

新地球皇国の皇帝となった人物。ガイオウと呼ばれた男ヴァイシュラバと同じく次元将の一人であり、「アウストラリス」を名乗ってサイデリアルに属していた。

ガイオウ同様根源的災厄と戦うために力を集めて挑んだが敗走し、仲間であるウィルバーシャ、ドゥリクラーが戦死。より強い力を求めた末に、不屈の意志で御使いと戦っていた「立ち上がる射手」のスフィア・リアクターを討ち、新たなリアクターとなった。サイデリアルが蒼の地球に侵攻した後は皇帝として振る舞いつつも、御使いへ対抗するための計画を尸空エルーナルーナと共に進めていた(御使いに心酔するバルビエルには隠していた)。ラース・バビロンでの決戦後、スフィアを吸収する次元将の能力を覚醒させ、「怨嗟の魔蠍」「欲深な金牛」「沈黙の巨蟹」を自らのものとした。その力に己本来の闘気を加え、恐るべき力を持つ。ラース・バビロンでの戦いでは敗北したが、「敗北したのであれば、俺はまだその分だけは強くなれる」と捉え、地球から去っていった。

彼やガイオウのいた世界でも、人とマシンの真化による同調強化、即ち真化融合の理論は提唱されていたが、次元将たちはその域に達することが出来ず、代替品として人とマシンを強制的に融合させる……ヴァイオレイション・システムとしてリヴァイブ・セルが開発された。

内心では自らのやって来たことが正しくないと知りながらも、今まで奪ってきた命たちに報いるため、真化融合を果たしたZ-BLUEに戦いを挑むも力及ばず敗北し、アドヴェントに4つのスフィアを奪われ、死亡してしまう。しかし、生と死の狭間において、「鬼宿」の力で存在していた尸空と邂逅。「立ち上がる射手」を通じて超時空修復に力を貸した後、新たな地平へと去っていった。

次元将としての戦闘義体はガイオウことヴァイシュラバのものとはカラーリングこそ同じであるが、全体的に細身のフォルム。ヴィシュラカーラが失われているため飛行できないが、4つのスフィアの力によって圧倒的な戦闘力を誇る。ガイオウ同様、対話を選ばずとにかく力を集め続けたのは、本来の敵である御使いに対話の余地が微塵も存在しなかったためである。

名前の由来はおそらく仏教の仏神で、四天王の一尊「増長天」のインド名「ヴィルーダカ」だと思われる。仮の名であるアウストラリスは、いて座で最も明るい恒星「カウス・アウストラリス」が由来とされる。

登場作品と役柄

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
「皇帝アウストラリス」名義と「次元将ヴィルダーク」名義の2種類で登録されている。両方にパイロットデータがあるが、「アウストラリス」の方はユニットに通常武器がないため実質飾り。
序盤から何度か顔を見せるものの、実際に対決するのは2度。能力は元より乗機の攻撃力が異様に高く、加えてエースボーナスで「必中」がかかるため、エネミーフェイズでの3回行動とのコンボが激烈。さらに第57話で激突する時はなんと「鋼の魂」を装備しているため、当てる・耐える・避ける・反撃で落とすという無双振りを発揮してくる。

パイロットステータス設定の傾向

能力値

回避だけが極端に低いが、他の能力は全て高水準で、格闘・射撃・技量に至っては300越えという本物の怪物。

精神コマンド

第3次Z天獄篇
信頼直感気迫
アウストラリス名義の時は後半二つの枠が存在しない。ガイオウもそうだったが、「信頼」や「絆」といった過去を想像させるような精神コマンドを持っているのが興味深い。彼の場合、人間だった頃の仲間や共に戦った次元将達、そして尸空、エルーナルーナに対してのものという事か。

特殊技能(特殊スキル)

第3次Z天獄篇
指揮官L4、ガード気力+ (ダメージ)気力限界突破底力L6、精神耐性3回行動
サイデリアルの元締めに、そしてガイオウと同格の次元将に相応しい強力なスキルがずらり。3回行動はヴィルダーク名義になってから解禁される。

固有エースボーナス

気力130以上で、自軍フェイズ開始時に精神コマンド必中直撃が掛かる
第3次Z天獄篇で採用。ガイオウのボーナスの上位互換で、一発だけはバリアも分身も援護防御も通用しない。集まっていると相克・極を叩き込んでくるため、一網打尽にされかねない。

次元将形態

武装・必殺技

相克の陣(そうこくのじん)
次元将形態になる前のタマゴの状態で使用した攻撃。実際にはイベントのみの使用(タマゴの状態では、一切攻撃も反撃も何もしてこない)。
相克・極(そうこく・きわめ)
自機中心型のMAP兵器。闘気を解放して敵を薙ぎ払う。左右3マス目の上下と、左右2マス目から1マス飛んだマスが安全地帯。
太極・滅(たいきょく・めつ)
唯一の通常武器で全体攻撃。「立ち上がる射手」の力によって闘気を最大解放し、格闘コンボを叩き込んだ後ドロップキックで空間ごと粉砕。〆のキックの部分のポーズがどう見ても万歳をしているようにしか見えず、イラストサイトなどではネタにされることも。
ちなみにサイズ差補正無視があるが、ヴィルダークは2Lなので合体後のグレンラガンかダイバスターにしか適用されず、バリア貫通がないので場合によっては弾かれることも。

特殊能力

HP回復(中)
EN回復(大)
対精神攻撃
スフィア・アクト(立ち上がる射手)
気力140以上でスフィアの力を行使し、10マス以内のPCユニットの与えるダメージを10%軽減する。「分析」をヴィルダークにかければちょうど相殺される。

移動タイプ

ヴィシュラカーラがなくなっているので空を飛べない。とにかく強いので、だからなんだという話だが。

サイズ

2L

パイロットBGM

「夢幻の戦神」
専用BGM。ガイオウのBGM「無窮の闘神」とネーミングの形式が全く同じであり、彼の正体を暗に表している。
「無窮の闘神」が勇壮感のある曲なのに対して、こちらは57話で本人が「最早立ち止まる事は出来ない」という事か、どこか悲壮感のある曲なのが特徴。
「Reverion~反逆の戦士達~」
第48話のイベント後にこれが流れ始める。このシーンでは「新地球皇国と戦うZ-BLUE」と「御使いと戦うヴィルダーク」の二重の意味が込められている。

人間関係

ヴァイシュラバ、ウィルパーシャ、ドゥリタラー
次元将時代に共に戦った仲間。
尸空エルーナルーナ・バーンストラウス
形式上の部下。共に御使いの打倒を誓った同志。
バルビエル・ザ・ニードル
形式上の部下。御使いに心酔する彼には、御使い打倒の計画を隠していた。
ヒビキ・カミシロ
シオニー・レジス
喜びのアドヴェント
本来の宿敵である御使いの1人。最後は彼に、所持していた4つのスフィアを奪われる。
哀しみのサクリファイ怒りのドクトリン楽しみのテンプティ
本来の宿敵たる者達。尸空、エルーナルーナと共に彼らを倒す為に行動していた。

他作品との人間関係

名台詞

「確かにお前の中に宇宙の心がある!」
ヒイロとの特殊戦闘台詞。
「これまで倒した数え切れない程のガンダムに、お前の名も加える!」
ガンダムタイプとの特殊戦闘台詞。ゲルマン忍者と同じ声でこの台詞を言うのは何の因果か。
「だが、言葉では何も守れん」
謁見に来たリリーナ達を評して曰く。ヴィルダークが戦っている相手は対話が選択肢に存在しないどころか、その可能性自体が在りえない連中である。
「お前に問う……お前の戦いは何のためだ?」
第48話「燃える地球」での戦闘前会話より。実はどのキャラクターで戦っても必ずこの問いから始まる。ちなみに相手がバサラの場合会話を諦める
「お前達の存在は、俺達の世界の見果てぬ夢の結実だ」
「しかし、同時にそれは、俺達のやって来たこと……次元獣の軍団の全てを否定することでもある」
「相容れない、というべきだろう」
「お前達を認めてしまえば、これまで次元獣にするために奪ってきた生命全てを冒涜することになる」
過ちを犯した事実とZ-BLUEが真化融合を遂げてなお、敵対をやめない理由。ガイオウもそうだったが、次元将というのは融通が利かない存在らしい。
「……わかっていたのだ。俺達のやって来たことは正しくなどないと」
「最終形態に達しない次元獣ヴァルナー……これは俺のためらいの証だろう」
「それでもやるしかなかった。それしか方法はない、と思い続けてきた。……だが、全ては無意味だった」
「俺に出来ることは、彼らの生命に報いるために、この力でお前達に勝利することだ!」
ヴァイオレイション・システム……人の未来を奪い、尊厳を蹂躙して戦う力に変えるシステム。そんなものを使う次元将が未来への希望であるなど、筋が通らない。それでもこれしか方法はない……己を騙して戦ってきたヴィルダークの目に映るのは、見果てぬ夢・真化融合を遂げた者たち。己のやって来たことを無にしないため、奪ってきた命に報いるため、「立ち上がる射手」はZ-BLUEに挑む。何の意味もない、それでもせずにはいられない、戦いのために。
「思えば俺は、犠牲を強いることで今日まで戦ってきた」
「事情も知らされないまま、命令に従って戦い続けてきたサイデリアルの兵士達……父親の命とハイアデスの自由を奪われた復讐を誓ったエルーナルーナ……一族の使命を歪める者の存在を討とうとした尸空……同胞の全てを滅ぼされながらも奴らに服従を誓い、その憎しみを歪ませたバルビエル……怒りと諦めの狭間を漂っていた己を恥じ、生きる気力と誇りを取り戻したガドライト……そして、不屈の意志で御使いに戦いを挑んでいた、俺の前の立ち上がる射手のリアクター……奴らの生命を奪い、俺は4つのスフィアの力を得た」
「だから、俺は戦わなければならん……そして、勝たなければ!」
次元将は冷酷な存在ではない。命の意味を知り、その重さを知っている存在。だからこそ、奪った命を無駄にしないために、歩む道を変えることが出来ない。例えもっと良いやり方を知っても、己のやり方が過ちだと気づいても。
「その名で呼ぶな! 俺は……次元将ヴィルダークだ!!」
アドヴェントから射手座のリアクターの洗礼名である「アドナキエル・ザ・ジェネラル」と呼ばれた際の最期の台詞。最後の最後まで御使いへの反逆の戦士として、最後の次元将はカオス・コスモスに消え去った。
(許せ、ドゥリタラー、ウィルパーシャ……そして、ヴァイシュラバよ)
(俺は……次元将の役目を果たすことは出来なかった……お前達に会っても詫びることしか出来ん……)
死に行くヴィルダークの魂は、役目を果たせないまま終わることへの失意に囚われていた。しかし、その目の前に現れたのは、反逆の同士の一人たる「沈黙の巨蟹」であった。そして……。
「何も思い残すことはない。俺達は精一杯生き、そして宇宙は救われた」