10行目: |
10行目: |
| 『フルメタル・パニックシリーズ』シリーズの物語を貫く根幹設定であり、ウィスパードの謎を解き明かすことこそがシリーズの目的でもあったのだが、その種明かしがされたのは小説版の第10巻以降であり、過去のアニメ版三作では謎は解き明かされないまま終了している。 | | 『フルメタル・パニックシリーズ』シリーズの物語を貫く根幹設定であり、ウィスパードの謎を解き明かすことこそがシリーズの目的でもあったのだが、その種明かしがされたのは小説版の第10巻以降であり、過去のアニメ版三作では謎は解き明かされないまま終了している。 |
| | | |
| + | === 真相 === |
| + | ウィスパード誕生の発端は、作中におけるグリニッジ標準時の1981年12月24日11時50分、ソ連の実験施設ヤムスク11で行われていたオムニ・スフィアの実験である。オムニ・スフィアとは簡単に言えば人間の精神領域のことである。 |
| + | |
| + | この実験は、[[ラムダ・ドライバ]]にも使用されている「TAROS」に関係する。 |
| + | まず、ドミトリー・ヴァロフ博士はTAROSの理論を造り上げた。精神世界を科学的に記述・利用できると考えた博士は、実際にオムニ・スフィアの存在にたどり着き、実験を小規模ながら成功させていた。 |
| + | |
| + | オムニ・スフィアは時間にも空間にも束縛されない精神の世界である。その中で自分の精神を移動させ、物質世界に任意にアクセスできるとすれば、その利用価値は計り知れない。未来予知、情報の自在なやり取り、あるいは洗脳や記憶のハッキング、軍事的な観点だけでも凄まじい効果を発揮する。その一つの極致と言えるのが、ラムダ・ドライバである。また、レナードもTAROSによる未来予知で、太陽風を利用してアマルガムがミスリルを壊滅させる、という「予言」をカリーニンに渡している。 |
| + | |
| + | 現代のTAROSは、レーバテインならばアル、ダナンならばダーナをブースターとして、オムニ・スフィア転移反応を起こしている。しかし、理論構築当時にはそんなものはなかったため、'''生物の脳を増幅装置として大量に接続していた'''。この実験のため、脳組織を死亡させず、活動を制御するための薬物を精製していたのが、ヤムスク11のプラント群である。 |
| + | |
| + | しかし、冒頭に上げた1981年のその日、全力稼動テストの最中にTAROSは暴走を起こした。この結果、TAROSから二つの強力な精神波が放射された。一つはイオタ波で、これはヤムスク11の住民の精神を汚染し、結果全滅させることとなった。もう一つのタウ波は世界全土に波及し、放射から3分間の間に出生した新生児の脳に影響を与えた。この、脳にタウ波を刷り込まれた新生児たちが、ウィスパードである。 |
| + | |
| + | ウィスパードは「ささやかれた者」という当て字が示すとおり、ブラックテクノロジーの知識を「持っている」のではなく「教えられている」のである。誕生時にタウ波によって刷り込まれたのはこの受信能力である。 |
| + | |
| + | この「爆心地」であるヤムスク11は、中枢に存在し、被験者となって死亡した少女・[[ソフィア]]のTAROSに残留した思念波と、そのオムニ・スフィアを通じて届くイオタ波による汚染を未だ受けている。周囲に近づいたヘリのパイロットはこの影響で錯乱し、内部を進んでいたかなめも強烈な既視感に悩まされていた。 |
| + | |
| + | レモンは「太陽系は動いているのだから、時間的に言えば18年前のヤムスク11の座標は宇宙の彼方だ」と指摘したが、オムニ・スフィアは精神の存在が在って意味を成し、さらに地球と共に存在する世界であるため、絶対座標の指摘は意味を成さない。 |
| + | |
| + | ウィスパードとは正確に言うと、オムニ・スフィアの中を伝達されるある種の波により、過去と未来で情報の伝達を行える人物のことである。基本的には受け取るのみであるが、それによって「歴史の異変」が発生していた。 |
| + | |
| + | ヤムスク11のTAROS最深部にはソフィアの「遺体」がある。これは遺体そのものではなく、TAROSに残留した精神がその姿をオムニ・スフィアを通じて現出させているものである。ヤムスク11を未だ汚染している精神波はこの「遺体」を通じて別の時代から届いているもので、タウ波をイオタ波に変換・増幅するコンバーターの役目を果たしている。 |
| + | |
| + | テッサはこれを爆破するつもりだったが、「自分の生きる世界」を求めるソフィアの「ささやき」にかなめが自意識を乗っ取られてしまったために失敗に終わっている。 |
| + | |
| + | そして、ウィスパードたちに「ささやき」を与えていた「ウィスパリング(ささやく者)」の正体は、'''未来の時間軸における千鳥かなめ(に成り代わったソフィア)'''である。本編の世界においてはかなめがソフィアを拒絶したことと、世界改変の要であったTARTAROSの爆破によりこの時間には繋がらなくなっている。 |
| + | |
| + | == スパロボシリーズでの扱われ方 == |
| 本作が参戦したスパロボの二作(JとW)でも種明かしがされる前に開発が始まっていて、それゆえに原作小説版とは全く異なるスパロボ独自の「ウィスパードの真実」を設定しており、クロスオーバーの要として扱われている。原作小説版が参戦した天獄篇にてようやく原作と同様の種明かしがされた。 | | 本作が参戦したスパロボの二作(JとW)でも種明かしがされる前に開発が始まっていて、それゆえに原作小説版とは全く異なるスパロボ独自の「ウィスパードの真実」を設定しており、クロスオーバーの要として扱われている。原作小説版が参戦した天獄篇にてようやく原作と同様の種明かしがされた。 |
− | <!-- == メモ == -->
| + | ;[[スーパーロボット大戦J]] |
| + | : |
| + | ;[[スーパーロボット大戦W]] |
| + | : |
| + | ;[[第3次スーパーロボット大戦Z]] |
| + | :原作小説版が参戦したため種明かしが行われている。設定を多元世界に絡める形で改変されており、ヴァロフ博士による実験は「ADW初の人間の精神を利用した時空震動実験」ということになっている(また、テッサはこの理論を「趣と原理は違うが、発想は[[スフィア]]に近い」と述べている)。 |
| + | :さらに、原作における兵器技術の不自然さは、「アーム・スレイブだけは他のロボット兵器と異なり突然変異的に技術体系が出来ている」という形で言及されている。 |
| + | :決着後のウィスパードについては、原作ではささやかれた知識はそのまま残っているためまだ危険が去っていないとされているが、本作ではソフィアの残留思念が消滅したことで「ささやき」そのものがなかったことになり、それに依拠するブラックテクノロジーの知識も消滅しつつあることが語られている。 |
| | | |
| == ウィスパードに該当する人物 == | | == ウィスパードに該当する人物 == |
| ;[[千鳥かなめ]] | | ;[[千鳥かなめ]] |
− | :スパロボでは他作品の知識も数多く持っているという設定になっている。 | + | :タウ波の影響を最も強く受けた少女で、同時に「ウィスパリング」でもある。スパロボでは他作品の知識も数多く持っているという設定になっている。 |
| + | :;ソフィア |
| + | ::「ウィスパリング」の正体。ヤムスク11最深部のTAROSに意識が残留していた。 |
| ;[[テレサ・テスタロッサ]] | | ;[[テレサ・テスタロッサ]] |
| :ミスリルに所属。潜水艦に関する知識の所有者。 | | :ミスリルに所属。潜水艦に関する知識の所有者。 |
22行目: |
58行目: |
| ;バニ・モラウタ(SRW未登場) | | ;バニ・モラウタ(SRW未登場) |
| :[[ARX-7 アーバレスト|ARX]]、[[アル]]の生みの親。“ささやき”から更なる知識を得ようと試みた結果、精神汚染され自殺した。 | | :[[ARX-7 アーバレスト|ARX]]、[[アル]]の生みの親。“ささやき”から更なる知識を得ようと試みた結果、精神汚染され自殺した。 |
− | ;[[クダン・ミラ]] | + | ;[[クダン・ミラ]](久壇未良) |
| :原作長編冒頭で[[相良宗介|宗介]]が助けた少女。なお、直接的にはSRW未登場だが、[[W]]にて[[ヒイロ・ユイ|ヒイロ]]が彼女を助けている事を示唆する発言をしている。 | | :原作長編冒頭で[[相良宗介|宗介]]が助けた少女。なお、直接的にはSRW未登場だが、[[W]]にて[[ヒイロ・ユイ|ヒイロ]]が彼女を助けている事を示唆する発言をしている。 |
| ;[[ナミ]] | | ;[[ナミ]] |