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フロンタルの存在を一言で表現するなら「スペースノイドが理想として持つ『赤い彗星』像の体現」であり、本人もその理想に自らを合わせる形で振舞っている。
 
フロンタルの存在を一言で表現するなら「スペースノイドが理想として持つ『赤い彗星』像の体現」であり、本人もその理想に自らを合わせる形で振舞っている。
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OVAの外伝作品『戦後の戦場』では、シナンジュの原型であるシナンジュ・スタイン強奪時における経緯が語られている。誰もフロンタルが戦う姿を見た事がなかった為に、当初はアンジェロや親衛隊からも本当に「赤い彗星の再来」と呼べる力を持っているのか疑念を抱かれていた。
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そんな中、想定外の襲撃がありながらも<ref>この時、襲撃を行ったプロト・スタークジェガンに搭乗していた中央情報局のカルロス・クレイグ大尉は、[[ジオン公国軍#旧ジオン軍の残党|ジオン残党軍]]の起こしたテロによって妻子を失っており、連邦の上層部とアナハイムがUC計画の為の『敵』を欲して[[袖付き]]に新型モビルスーツを強奪に見せかけて譲渡する事実を知った事で、ダコタ・ウィンストンに協力を頼み、越権行為を承知の上で、新たに起ころうとしていた戦争を未然に防ぐべく取引をぶち壊しにしようとしていた。</ref>、赤く塗装された[[ギラ・ドーガ]]でジェガン隊を翻弄しつつ、予め立てられていた予定通りにクラップ級宇宙巡洋艦「ウンカイ」へと取り付き、シナンジュ・スタインを強奪。更にはウンカイとそれに同行していたクラップ級であるラーデルスの2隻を共に撃沈し、これによってフロンタルは「赤い彗星」としての信頼を得るに至り、特にアンジェロからは「棄民の王」として崇拝されるまでに至っている。
    
=== その素性 ===
 
=== その素性 ===
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しかしフロンタルはシャア本人にしか知りえない独白や経験を知っていると思しき一面も見せており、当人は「アクシズ・ショックを経てもなお変わらなかった人類に絶望した、[[サイコフレーム]]に宿るシャアの意思がその模写である自らに宿ったゆえである」と語っている。どういった経緯でシャアの思念が宿ったのか、またそもそも彼の主張の真偽も判然としないが、宿っているとしてもそれはシャアの思念の一部分でしかなく、しかしフロンタルはその背景からシャアとは全くの別人でもない。[[バナージ・リンクス]]がフロンタルの中に見た「虚無」の正体がまさにこれで、肉体を動かしているのはフロンタルでありながら、その根幹にあるのはシャアという別の人間の記憶や経験、という不協和音である。
 
しかしフロンタルはシャア本人にしか知りえない独白や経験を知っていると思しき一面も見せており、当人は「アクシズ・ショックを経てもなお変わらなかった人類に絶望した、[[サイコフレーム]]に宿るシャアの意思がその模写である自らに宿ったゆえである」と語っている。どういった経緯でシャアの思念が宿ったのか、またそもそも彼の主張の真偽も判然としないが、宿っているとしてもそれはシャアの思念の一部分でしかなく、しかしフロンタルはその背景からシャアとは全くの別人でもない。[[バナージ・リンクス]]がフロンタルの中に見た「虚無」の正体がまさにこれで、肉体を動かしているのはフロンタルでありながら、その根幹にあるのはシャアという別の人間の記憶や経験、という不協和音である。
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OVA版においては、特にEP7で小説版と違う人物像になっている。行動自体は小説版と大きく違わないが、意思は明確にシャアそのものであるような描写がされており、また器と自称しながらも彼自身の意思で行動しているようにも見える。最終決戦でもバナージを説得することにこだわった結果、対話によって敗北するという結末を迎える。モナハン・バハロは登場せず、誰がフロンタルを作ったのか最後まで明らかにならないため、小説版の設定が残っているのかも不明である。また、劇場限定版BD付録の脚本では、器であるフロンタルに本物のシャアの残留思念の一部が宿ったと明言されている。
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OVA版においては、特にEP7で小説版と違う人物像になっている。行動自体は小説版と大きく違わないが、意思は明確にシャアそのものであるような描写がされており、また器と自称しながらも彼自身の意思で行動しているようにも見える。最終決戦でもバナージを説得することにこだわった結果、対話によって敗北するという結末を迎える。また、劇場限定版BD付録の脚本では、器であるフロンタルに本物のシャアの残留思念の一部が宿ったと明言されている。
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なお、モナハン・バハロは登場せず、誰がフロンタルを作ったのか最後まで明らかにならないため、小説版の設定が残っているのかも不明であったが、後に外伝作品である『戦後の戦争』において、シナンジュ・スタインを奪取したフロンタルと[[アルベルト・ビスト]]との通信によるやり取りで、アルベルトからモナハンの名前が出ている為、原作と同様、フロンタルの裏にモナハンの存在があったのは確かなようである。
    
=== 結末 ===
 
=== 結末 ===
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;モナハン・バハロ
 
;モナハン・バハロ
 
:原作小説ではフロンタルをネオ・ジオンの残党に送り込んだ張本人であり、黒幕の1人。OVA版では未登場。
 
:原作小説ではフロンタルをネオ・ジオンの残党に送り込んだ張本人であり、黒幕の1人。OVA版では未登場。
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;[[アルベルト・ビスト]]
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:OVAの外伝作品である「戦後の戦争」では、通信でのやり取りをしており、フロンタルがジオン共和国のモナハン・バハロによって用意された存在である事実を知っていた。
    
== 他作品との人間関係 ==
 
== 他作品との人間関係 ==
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「シャアの再来」と言われるだけあって、「[[赤い彗星]]」[[シャア・アズナブル]]と似ている(が、よく考えると彼本人とは違う意味合いの)台詞が多い。
 
「シャアの再来」と言われるだけあって、「[[赤い彗星]]」[[シャア・アズナブル]]と似ている(が、よく考えると彼本人とは違う意味合いの)台詞が多い。
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;クレイグ「貴様…何者だ!?」
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;フロンタル「他の誰とも変わらない。与えられた役を演じる者…それだけだ」
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;クレイグ「与えられた役だと…!?」
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;フロンタル「そうだ。全ての人間には与えられた役回りがある。それを拒めば、今のあなたの様になる…」
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;クレイグ「連邦とネオ・ジオンの出来レースを黙認して軍の雇用と経済を維持する役回りか…。そんなもの…くそ食らえと言いたいな…!」
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;フロンタル「では…その対価を支払って頂く…」
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:シナンジュの強奪事件が語られるOVAの外伝作品『戦後の戦場』にて、新たな戦争を防ぐべくプロト・スタークジェガンにダコタと共に搭乗して介入したクレイグと、シナンジュ・スタインを奪い取ったフロンタルのやり取り。新たな戦争を防ぐべく奔走したクレイグやダコタに対し、フロンタルは自らがシャアの悪を演じる事に何の疑念も抱く事無く、彼らの搭乗するプロト・スタークジェガンを撃墜。戦争を止めようとした男達の願いは、その命と共に無残にも砕け散る事になった…。
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;「テスト機と言うだけあって、この機体は操作系が硬い。磨く前の原石の様な物だ。改良すれば、もうお前に苦労をかけることも無いだろう」
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;「お前はただ見ていれば良い。それが私の力になる」
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:シナンジュ・スタインを強奪し、帰投するフロンタルがアンジェロに言った言葉。一見すると、今まで苦労をかけたアンジェロに対し気遣っているかのように見えるが、見方によれば、アンジェロ望む様な自分を演じる事で、彼がより自分に依存するよう手懐けているようにも見える。
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;アルベルト「お前は…何だ?」
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;フロンタル「フル・フロンタル…名前の通り、隠し立てするものは何も無い…。人が望む通りの役を演じる者…それだけです」
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:シナンジュ強奪直後、グラナダから直接連絡を入れてきたアルベルトが、予定よりも暴れすぎていた事態に「『後始末』が大変だ」と言った言葉に対し、'''クラップ級二隻を撃沈(と、その乗員達全員も抹殺)して証拠を隠滅させた'''フロンタルが言った言葉。この言葉を聴いたアルベルトは、フロンタルの中に言いようのない禍々しさを感じ取っていた。
 
;「過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ」
 
;「過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ」
 
:OVA版第2巻より。シャアの名台詞「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを…」と対を成している。
 
:OVA版第2巻より。シャアの名台詞「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを…」と対を成している。
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