差分
. .
しかし、指導者や政治家として優れている反面、人間的には冷酷どころか感情が無いのではないかと思わせる程の徹底的なデジタル思考の人物で、同時にそれがダイクンとの決定的な違いとなっている。自身の利に繋がるのなら、身内を利用したり切り捨てる事も厭わず、末弟の[[ガルマ・ザビ]]の死や葬儀をジオン軍の戦意高揚に使い、同じく弟の[[ドズル・ザビ]]も時間稼ぎの捨て駒として扱い、挙句の果てには邪魔になるという理由で実父の[[デギン・ソド・ザビ]]すら謀殺に追い込んでいる程。
しかし、指導者や政治家として優れている反面、人間的には冷酷どころか感情が無いのではないかと思わせる程の徹底的なデジタル思考の人物で、同時にそれがダイクンとの決定的な違いとなっている。自身の利に繋がるのなら、身内を利用したり切り捨てる事も厭わず、末弟の[[ガルマ・ザビ]]の死や葬儀をジオン軍の戦意高揚に使い、同じく弟の[[ドズル・ザビ]]も時間稼ぎの捨て駒として扱い、挙句の果てには邪魔になるという理由で実父の[[デギン・ソド・ザビ]]すら謀殺に追い込んでいる程。
スペースノイドを至上とした選民意識が強く、ダイクンの人類の革新を促す為の[[ニュータイプ]]思想を「'''スペースノイドは選ばれた民であり、更にその中の優良種がジオン国民である'''」という選民主義的な思想へと故意に捻じ曲げた上でジオン国民を始めとするスペースノイドの中に浸透させ、形を変えつつ後世にも残り続けることになっている。ただし、ギレン本人はニュータイプ自体についてはさほど理解を示した様子は無く、実際デギンに対しても「ニュータイプ思想はジオン軍が勝つための『方便』である」と言い切っている。
スペースノイドを至上とした選民意識が強く、ダイクンの人類の革新を促す為の[[ニュータイプ]]思想を「'''スペースノイドは選ばれた民であり、更にその中の優良種がジオン国民である'''」という選民主義的な思想へと故意に捻じ曲げた上でジオン国民を始めとするスペースノイドの中に浸透させ、形を変えつつ後世にも残り続けることになっている。ただし、ギレン本人はニュータイプ自体についてはさほど理解を示した様子は無く、実際デギンに対しても「ニュータイプ思想はジオン軍が勝つための『方便』である」と言い切っている。また後述する「名台詞」のように、その「選民」とはスペースノイドというよりもジオン国国民=自分に従う者のみを指しており、スペースノイドでもジオン側に与していなければ平然と虐殺する。
さらに場合によってはこのジオン国のコロニーを強引に徴発して兵器にすることも辞さない。さすがに自国民を虐殺することはせず疎開という措置を執ったが、その疎開計画とはどこかのコロニーに無理やり送り込むのみで、家族でも一度はぐれてしまえば再会は絶望的とまで言われるほどの極めて強引かつ杜撰なもので、スペースノイドを「連邦により宇宙に追いやられた棄民」としながら、自国民をも平気で棄民とするような政策を敷いたことは、三年後の紛争で[[シーマ・ガラハウ|新たな遺恨を産んだ]]。
選挙工作の上手さ、国威発揚・[[士気]]向上を目的とした演説の上手さなどからして、第二次世界大戦時において最も有名な独裁者であるアドルフ・ヒトラーを彷彿させ、実際にデギンからも「ヒトラーの尻尾」と揶揄されている。しかしその一方で、己の才能に絶対の自信を持つ故か、一年戦争末期には不利な状況を軽視する傾向も見られた。また、ジオン国民からも全面的な支持を受けていた訳ではなく、既に地球での戦況が不利となって地球連邦との和平交渉に転じる事も考慮しなければならない状況でありながら、あくまでジオンの優勢を断じて国民を扇動する方策に、難色を示す者も少なからずいた。
選挙工作の上手さ、国威発揚・[[士気]]向上を目的とした演説の上手さなどからして、第二次世界大戦時において最も有名な独裁者であるアドルフ・ヒトラーを彷彿させ、実際にデギンからも「ヒトラーの尻尾」と揶揄されている。しかしその一方で、己の才能に絶対の自信を持つ故か、一年戦争末期には不利な状況を軽視する傾向も見られた。また、ジオン国民からも全面的な支持を受けていた訳ではなく、既に地球での戦況が不利となって地球連邦との和平交渉に転じる事も考慮しなければならない状況でありながら、あくまでジオンの優勢を断じて国民を扇動する方策に、難色を示す者も少なからずいた。
人間の感情について共感が乏しい故に、ガルマの死を利用した事に憤りを見せていたデギンや、そのデギンを自身の陰謀で殺された妹の[[キシリア・ザビ]]の明確な怒りと殺意にも無関心な様子を見せ、結果的にその事がジオン公国の滅亡およびキシリアによる自身の死に繋がってしまったのは皮肉としか言いようがない。死の寸前、自身を射殺するキシリアとのやり取りである「'''フッ…冗談はよせ…'''」「'''意外と兄上も甘い様で…'''」という台詞からも、いかにギレンが人間の感情に対し無頓着であったのか推察出来る。
人間の感情について共感が乏しい故に、ガルマの死を利用した事に憤りを見せていたデギンや、そのデギンを自身の陰謀で殺された妹の[[キシリア・ザビ]]の明確な怒りと殺意にも無関心な様子を見せ、結果的にその事がジオン公国の滅亡およびキシリアによる自身の死に繋がってしまったのは皮肉としか言いようがない。死の寸前、自身を射殺するキシリアとのやり取りである「'''フッ…冗談はよせ…'''」「'''意外と兄上も甘い様で…'''」という台詞からも、いかにギレンが人間の感情に対し無頓着であったのか推察できる。
=== 生涯 ===
=== 生涯 ===
:シャアからはザビ家の一員という事で憎まれているが、原作では直接は関わらない。
:シャアからはザビ家の一員という事で憎まれているが、原作では直接は関わらない。
:ギレン自身、シャアの正体に気付いていた様子はなく、彼に[[ジオング]]を与えようとするキシリアに「またシャアか? 拘り過ぎるな」と呆れて見せている。
:ギレン自身、シャアの正体に気付いていた様子はなく、彼に[[ジオング]]を与えようとするキシリアに「またシャアか? 拘り過ぎるな」と呆れて見せている。
:一方『ORIGIN』においては、[[ア・バオア・クー]]での決戦時に自分の元に直接訪れたシャアに対し正体を見透かしたような発言をしているものの、「ダイクン家の再興を図ること自体は構わない」と言い放ち、
:一方『ORIGIN』においては、[[ア・バオア・クー]]での決戦時に自分の元に直接訪れたシャアに対し正体を見透かしたような発言をしているものの、「ダイクン家の再興を図ること自体は構わない」と言い放ち、[[ジオング]]を使わせて欲しいと言うシャアの依頼を受け入れている。
:SRWにおいては[[クワトロ・バジーナ|クワトロ]]時代のシャアと対決する事になる他、『[[スーパーロボット大戦COMPACT|COMPACT]]』ではキシリア共々彼に暗殺されてしまう。
:SRWにおいては[[クワトロ・バジーナ|クワトロ]]時代のシャアと対決する事になる他、『[[スーパーロボット大戦COMPACT|COMPACT]]』ではキシリア共々彼に暗殺されてしまう。
;[[シャリア・ブル]]
;[[シャリア・ブル]]
:なお、後述するようにTV版第12話でのガルマ追悼演説はぶっつけ本番に近い代物だった為、劇場版で手直しされている。
:なお、後述するようにTV版第12話でのガルマ追悼演説はぶっつけ本番に近い代物だった為、劇場版で手直しされている。
:また、この演説の冒頭部分は『[[機動戦士ガンダム 第08MS小隊]]』第1話のラストにおいても聴くことができる。
:また、この演説の冒頭部分は『[[機動戦士ガンダム 第08MS小隊]]』第1話のラストにおいても聴くことができる。
;「せっかく減った人口です。これ以上増やさずに、優良な人種だけを残す。それ以外に人類の永遠の平和は望めません。そして、そのためにはザビ家独裁による人類のコントロールしかありません」/「せっかく減った人口です。これ以上増やさずに優良な人種のみを残します。人類の永遠の存続のために、地球圏を汚さぬためにです。そのコントロールには船頭は少ない方がよろしいかと……」
:前者はテレビ版、後者は劇場版。父[[デギン・ソド・ザビ]]から「この戦争に勝ったとして、その後はどういうプランを持っているのか」と尋ねられて披露したギレンの真意。劇場版では「船頭」という表現にしてややぼかされているが、これの指すところも「ザビ家による独裁」であろう。
:ギレンにとっては新しい時代を担う男としての政策披瀝であり自信もあったのだろう。しかしデギンからは「世界を読み切れなかった旧世代の独裁者、ヒットラー」になぞらえることで、新時代の指針どころか古くさい独裁主義に過ぎないと否定されてしまった。そのときのデギンの発言が有名な'''「ヒットラーの尻尾」'''である。
:ギレンとしてはこのような批判は甚だ心外だったようで、テレビ版ではさほどの変化はなかったが、劇場版では突然BGMの調子が切り替わり、舌打ちまで聞こえるようになり、ギレンの内心の苛立ちが演出されている。[[漫画]]『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でのギレンは顔を引きつらせ、書類を持つ手が震えるほど激しい怒りを見せている。
:なお「優良種たるジオン国国民だけを残すことで人類を永遠に存続させる」と言う発言は上記のガルマ追悼演説や後述のア・バオア・クーの戦闘前演説にも見ることができ、彼が普段から表明していた思想でもある。
;「私とて、ジオン・ダイクンの革命に参加したものです。人類がただ数を増やすだけでは、人の軟弱を産み、軟弱は人を滅ぼします。」<br />「地球連邦の絶対民主制が何をもたらしましたか? 官僚の増大と情実の世を作り、あとはひたすら資源を浪費する大衆を育てただけです。今次大戦のような共食いを生んだのも、連邦の軟弱故です。もう……人類は限界を超えましたよ……」<br />「私はア・バオア・クーで指揮を執ります」<br />「まっ……勝ってみせますよ。その上で、真の[[ニュータイプ]]の開花を待ちましょう。ヒトラーの尻尾の戦いぶりをご覧ください」
;「私とて、ジオン・ダイクンの革命に参加したものです。人類がただ数を増やすだけでは、人の軟弱を産み、軟弱は人を滅ぼします。」<br />「地球連邦の絶対民主制が何をもたらしましたか? 官僚の増大と情実の世を作り、あとはひたすら資源を浪費する大衆を育てただけです。今次大戦のような共食いを生んだのも、連邦の軟弱故です。もう……人類は限界を超えましたよ……」<br />「私はア・バオア・クーで指揮を執ります」<br />「まっ……勝ってみせますよ。その上で、真の[[ニュータイプ]]の開花を待ちましょう。ヒトラーの尻尾の戦いぶりをご覧ください」
:ギレンに対し「貴公はヒトラーの尻尾だな」と評した父[[デギン・ソド・ザビ|デギン]]に対する台詞。ギレン・ザビという人物の[[性格]]を実によく現した台詞だろう。
:ギレンに対し「貴公はヒトラーの尻尾だな」と評した父[[デギン・ソド・ザビ|デギン]]に対する台詞。ギレン・ザビという人物の[[性格]]を実によく現した台詞だろう。
:デギンは「ヒトラーは失敗したのだぞ(劇場版では「身内に殺されたのだぞ」)」と独白するように言ったが、これは後に親子双方に降りかかった最期でもあった。
:デギンは「ヒトラーは失敗したのだぞ(劇場版では「身内に殺されたのだぞ」)」と独白するように言ったが、これは後に親子双方に降りかかった最期でもあった。
;「我が忠勇なるジオン軍兵士たちよ、今や地球連邦軍艦隊の半数が、我がソーラ・レイによって宇宙に消えた」<br/ >「この輝きこそ、我らジオンの正義の証である!」<br />「決定的打撃を受けた地球連邦軍に、いかほどの戦力が残っていようとも、それはすでに形骸である」<br />「''あえて言おう、カスであると!''」<br />「それら軟弱の集団が、このア・バオア・クーを抜くことは出来ないと、私は断言する!」<br />「人類は、我ら選ばれた優良種たるジオン国国民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る!」<br />「これ以上戦い続けては、人類そのものの存亡に関わるのだ!」<br />「地球連邦の無能なる者どもに思い知らせ、明日の未来の為に、我がジオン国国民は立たねばならんのである!」
;「我が忠勇なるジオン軍兵士たちよ、今や地球連邦軍艦隊の半数が、我がソーラ・レイによって宇宙に消えた」<br/ >「この輝きこそ、我らジオンの正義の証である!」<br />「決定的打撃を受けた地球連邦軍に、いかほどの戦力が残っていようとも、それはすでに形骸である」<br />「''あえて言おう、カスであると!''」<br />「それら軟弱の集団が、このア・バオア・クーを抜くことは出来ないと、私は断言する!」<br />「人類は、我ら選ばれた優良種たるジオン国国民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る!」<br />「これ以上戦い続けては、人類そのものの存亡に関わるのだ!」<br />「地球連邦の無能なる者どもに思い知らせ、明日の未来の為に、我がジオン国国民は立たねばならんのである!」
:第42話より。[[ア・バオア・クー]]攻防戦において、[[ソーラ・レイ]]によって大損害を被った[[地球連邦軍]]を「烏合の衆」と非難した演説の中で。
:第42話より。[[ア・バオア・クー]]攻防戦において、[[ソーラ・レイ]]によって大損害を被った[[地球連邦軍]]を「烏合の衆」と非難した演説の中で。