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小型戦闘機[[ブレーンコンドル]]及び、[[グレートマジンガー]]の専任[[パイロット]]。
 
小型戦闘機[[ブレーンコンドル]]及び、[[グレートマジンガー]]の専任[[パイロット]]。
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TV版『[[マジンガーZ (TV)|マジンガーZ]]』最終回に先駆けて公開された劇場映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』のクライマックスで、衝撃的なデビューを飾る。
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TV版『[[マジンガーZ (TV)|マジンガーZ]]』最終回に先駆けて公開された劇場映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』のクライマックスで、衝撃的なデビューを飾っている。
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7歳の時に孤児院から[[兜剣造]]に引き取られ、グレートマジンガーのパイロットになる為に育てられた。厳しい訓練の結果、生身での戦闘やバイクの操縦にも習熟している'''[[戦闘のプロ]]'''。ちなみに、ロケットパンチ付きのバイク(「ジェットバイ」とも呼称)を愛車にしている。
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[[兜甲児]][[マジンガーZ]]が倒れた後、愛機・グレートマジンガーと共に地上侵略に乗り出した[[闇の帝王]]を首魁とする[[ミケーネ帝国]]との過酷な戦いへ身を投じる事になる。
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元来優しい[[性格]]だが、その生い立ちとニヒルな物言いの為、周囲には冷たい印象を与え、衝突する事も多い。また、プロフェッショナルとしての自覚は強いものの、そのプライドの高さ故に窮地に陥る事も多く、劇場版『グレートマジンガー対ゲッターロボ』では[[ゲッターチーム]]と功名を争って苦戦するなど、精神面の未熟さも目立つ。
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=== [[性格|人物]] ===
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非常に大人びた武骨な表情が特徴的だが、年齢はまだ10代後半の18歳と若い。
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自分を育ててくれた兜剣造には、肉親の情のようなものを感じていたが、[[兜甲児]]がアメリカから帰国すると、甲児と剣造の親子の間柄に嫉妬し、自分の居場所が失われかねないことへの危惧から甲児に対する敵愾心を募らせていく。甲児に対する挑発的な言動やスタンドプレイが目立ち、[[マジンガーZ]]との連携を拒否するなど戦線に重大な悪影響を及ぼす行動を繰り返すようになる。その後、甲児達の仲間を思いやる様を見て考えを改めるが、その際の戦闘でピンチに陥り、彼を救おうとした剣造が[[特攻]]の末、命を落としてしまった。甲児とシローの父を奪ってしまったことへの深い後悔と罪悪感の中、剣造を弔うかのように奮戦し、[[ミケーネ帝国]]に対して勝利を収めた。そして自分に対し一切遺恨を残すまいとする甲児を前に改めて和解した。
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前作の主人公の甲児が江戸っ子気質でやや軟派であったのに対し、硬派で激戦を繰り広げてきた一流の格闘家の様な佇まいをしている。普段はクールでニヒルな雰囲気が強いが、パートナーの[[炎ジュン]]と比べても好戦的でプライドの高い気質の持ち主で、何かと競争意識が強く常に一番優秀である事を望んでいる。この負けず嫌い振りは育った環境で醸成されたのではなく元からだった様で、小学生時代に友人のサブローがカナリアを飼っていたのに対抗してそれよりも大きく強い鷹を飼っていたりもしている。しかし、プライドの高さが足枷になってしまう事もしばしばで、劇場版『グレートマジンガー対ゲッターロボ』では、同じく正義の為に戦うスーパーロボットのパイロットである[[ゲッターチーム]]とも功名を争って苦戦する展開を演じている。ただ、年下の子供である[[兜シロー]]には気さくな兄貴分と言える一面を見せる事があり、敵戦闘獣を抑えているジュンと[[ボス]]の二人が自分達ごと攻撃しろと言った際には躊躇も見せて謝罪しながら攻撃を行う等、仲間思いな面も持ち合わせる。年齢よりも子供っぽい面も時折見せる他、嗜好等に関しても意外と子供で、甘いお菓子が好きだったり、ネズミとニンジンを苦手としており<ref>放映当時の書籍「決定版大あばれロボット図鑑」参照。</ref>、原作では月2000円のお小遣い(給料)<ref>現代の観点で見れば、ブラック企業も真っ青なトンデモ安月給となるが、放映当時の物価や貨幣価値と照らし合わせれば、結構な額となっている。</ref>でお菓子を買ったり、漫画を読んだりする等意外と普通な一面も持つ。戦闘以外の普段着の服装に関しては青いショートトレンチにズボンと大人っぽくなっているが、紫のマフラーを身に着けている。愛車は、ロケットパンチ付きのバイク(「ジェットバイ」とも呼称)。
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スパロボでは彼は特訓ばかりしてるように思えるが、原作では月2000円のお小遣いでお菓子を買ったり、漫画を読んだりするなど意外と普通な一面も持つ。
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7歳の時に孤児院から[[兜剣造]]に引き取られて、マジンガーのパイロットとしての使命を宿命づけられる形で英才教育を受けた経験から、元から天賦の才能に恵まれたその肉体は超人的な身体能力を獲得するまでに至っており、徒手空拳の戦いは勿論、武器を用いた戦闘術やあらゆる銃器を縦横無尽に使いこなす射撃能力、高性能の戦闘用ロボットやバイクを始めとする乗り物の操縦技術をベテランの域にまで身につけている。パイロットとしても戦士としとも、あらゆる能力において甲児を完全に凌駕し<ref>甲児の場合は、成り行きでマジンガーZのパイロットとして戦わざるを得なくなり、常に手探り状態でDr.ヘル率いる機械獣軍団と戦う事になっていた為、これらに関しては仕方の無い部分もある。</ref>、鉄也自身も「'''[[戦闘のプロ]]'''」を自負している。肉体面だけでなく勘や洞察力にも優れており、科学要塞研究所で引き取る事になった甲児の弟である[[兜シロー]]が、剣造と血縁関係にある事も密かに気付いていたが、剣造がそれを明かさないのには何か理由があると察してたのか、敢えて話題に出そうとはしなかった。
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一方、剣造から戦闘関連の訓練や教育を受けていたのに対し、コミニュケーション能力関連の教育はあまり受けられなかったらしく、プロフェッショナルとしての自覚や責任感は強い反面、自分にも他人にも厳しく、シローがガールフレンドのハルナをいじめっ子達から守る為に負けた際も、身の程を弁えないシローの方が悪いと突き放してしまった事もある<ref>この結果、悔しさからシローはボス達に特訓してもらうのだが、自分に強くなる協力をしてくれなかった癖に負けて悔しがる鉄也の姿に反発した結果、動物を虐める等してすっかり暴力的になってしまい、彼を諭してくれる牧師の存在が無ければ、完全に道を踏み外してしまう所だった。</ref>。剣造以外の目上の人間に対しても高圧的で失礼な言動や態度に出てしまう事も少なくない等、礼節や配慮に欠けてしまっており、その都度ジュンやボス、シローといった周囲の人間達が謝罪する等してフォローを入れる事になっている。また、自分とミケーネの戦いに巻き込まれた少女・カオリの愛犬であるジョンが死んでしまった際は、自身のせいでジョンが死んだと責められ、「あんたなんかジョンの百倍も千倍も苦しめばいいのよ!」とまで言われたっショックから出撃拒否する程苦悩する等、精神面において脆さを見せる事もあった。ちなみに、日常的に戦闘訓練を受けていたのと同時に学校通学による義務教育もちゃんと受けており、少なくとも中学校は卒業している。しかし、自分を育ててくれた剣造には肉親の情の様な物を感じている一方、小学生の頃より学校以外の時間では孤島で過酷な訓練を強制的に受けさせられ、学生らしい思い出もロクに作れなかった事等から、やはり当時は剣造を冷たい人間と思って恨んでいた事をシローに明かしている。
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その内側には「孤児」である事へのコンプレックスを内包しており、これはパートナーのジュンも少なからず抱いていると言えるのだが、鉄也の場合は「孤児=家族のいない身で生きてきた」という自らの境遇に対し、強烈なプライドや自尊心、自己憐憫、存在意義等が非常に複雑に絡み合っており、そこにマジンガーのパイロット、そして戦闘のプロとしての自負心や承認欲求等も加わる事で、結果的に「孤児では無い者=家族を持つ者」に対する根強い羨望や差別意識が生じる事になってしまっていた。また、時には同じ「孤児」の境遇の者に対しても心無い事を言ってしまう事があり、自身のサポートをしてきたジュンに対し「戦闘獣の撃破に貢献していない」と馬鹿にして喧嘩になったり、自分と違って支えてくれる人物が誰もおらず自暴自棄にしか生きられなかった[[生田信一郎]]の事を「若さを浪費しているだけ」と見下した発言をした事もある。
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=== 劇中の様相 ===
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前作『マジンガーZ』の最終話にて、新たな侵略者であるミケーネ帝国の[[戦闘獣]]の前に瀕死の重傷を負わされた甲児とマジンガーZが危機的状況に陥る中、[[科学要塞研究所]]の無重力空間内での待機していた鉄也は、剣造からのスクランブル要請を受け、グレートで出撃。初の実戦でありながらも、マジンガーZでは全く歯が立たなかった戦闘獣[[グラトニオス]]と戦闘獣ビラニアス(SRW未登場)の2体を難無く撃破して見せ、その圧倒的な実力を見せつけた。
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続編『グレートマジンガー』の第1話より本格的にミケーネ帝国との戦いが始める事になり、[[闇の帝王]]の傘下となる[[7つの軍団]]に属する多種多様な戦闘獣を前に、鉄也は「戦闘のプロ」と呼ぶに等しい戦闘力とタフネス精神により幾度もの窮地を切り抜けていく。途中でパートナーのジュンの搭乗する[[ビューナスA]]や前作で甲児達と共に戦ったボスの搭乗する[[ボスボロット]]、更にはシローが搭乗する[[ロボットJr.]]等も参戦。戦いがより混迷と熾烈を極めていく中、ミケーネの大幹部である[[暗黒大将軍]]自らが[[ミケロス]]で戦闘の指揮を執る形で修理作業中であった科学要塞研究所を襲撃し、敵の戦闘獣ジュランの腐食弾によって一時撤退せざるを得なかった隙を突かれ、科学要塞研究所のグレート発射口を潰されてしまう。暗黒大将軍から剣造とグレートの引き渡しを要求され、止む無く剣造が従おうとする中、一か八かの賭けに出る形で出撃に成功<ref>描写されていないが、腐食弾で融解した発射口をブレーンコンドルで破壊したと思われる。</ref>し、反撃。スクランブルダッシュを破壊されながらも戦闘獣ジュラン、バニガン、ダンザニアを次々と撃破し、遂に死を覚悟して自ら出撃した暗黒大将軍と一騎打ちを演じ、満身創痍の状態になりながらも撃破する事に成功した。
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しかしその後、ミケーネでは、前作で甲児とマジンガーZに敗れて死亡した[[Dr.ヘル]]を改造して復活させた[[地獄大元帥]]が新たな大幹部となり、狡猾で天才的な頭脳を持ち合わせた地獄大元帥の生み出したより強力な戦闘獣と狡猾な策略の前に苦しめられ、ファイヤーオン時の隙を突かれてグレートを奪われてしまったり、十字架に磔にされて戦闘獣ラミレスで痛めつけられる、戦闘獣バトラーズによってグレートの内臓コンピューターを狂わされ味方へ攻撃させられるといった展開もあり、戦闘獣ソルゴスの計器破壊光線によって動きを封じられた時には、初めて「死」への恐怖を覚えた程であった。単純な力任せな戦い方だけでは勝てない地獄大元帥の冷酷非情で容赦無いやり方の前に、次第に鉄也とグレートだけでも苦戦を繰り返す展開となっていく中、被害や犠牲の拡大化を恐れた弓教授によって、遂にアメリカにいた甲児が呼び戻され、マジンガーZが復活する事になった。
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だが、グレートとマジンガーZのダブルマジンガーが揃い周囲が喜ぶ中、甲児の帰国記念パーティーで親子での再会を素直に喜ぶ事になった甲児と剣造の姿を目の当たりにした鉄也は、兼ねてより心の中に燻っていた「孤児」という境遇にある事へのコンプレックスが表面化。パーティー時に襲撃してきたミケーネとの戦いでは何の問題も無く協力し合って敵を撃破しているのだが、自分の居場所が失われかねないことへの危惧から甲児に対する敵愾心を募らせていく事になってしまう。その後、まるで別人の様に豹変してしまった鉄也は、飛行訓練中に故意の妨害行為を行ったり、ミケーネ対策の作戦会議中にも甲児の提案をとにかく反対する等、ジュンや剣造、弓教授から見ても不安を隠せずにいる程、甲児との確執を深めていく。そして、遂には剣造の判断によって決まった「敵戦闘獣を敢えて撤退させ、ミケーネの本拠地を突き止めて決戦に挑む」という作戦でさえも、甲児の提案である事が気に入ら無いのを理由に無視。甲児と共闘する形で戦闘獣[[ゴールドフェニックス]]にダメージを与えるはずが、スタンドプレイに走った鉄也は、彼を囮にして危機に陥らせるだけでなく、エネルギーを消耗したゴールドフェニックスも逃がさず撃破してしまう。自分が甲児よりも優れた存在である事を周囲に見せつけて得意気になっている姿に、同じ境遇のジュンでさえも殴って叱責される程であったが、鉄也は一向に考えを改めない所か、ひたすら甲児に勝つ事ばかりに執着し、聞く耳を持とうとしなかった。この結果、監視していた地獄大元帥によって鉄也と甲児の不和に気付かれてしまう事になり、ミケーネ側は残る戦力全てを投入して総力戦を挑む事を決定。地上側は完全に後手に回った事態となってしまう事になる。
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[[光子力研究所]]の元で一人孤立していた甲児の元へ[[ミケーネス]]やキャットルーが襲撃し、更には戦闘獣グレート・マンモスまでもが襲撃する中、シローの懇願委も利く耳持たず見捨てようとする鉄也であったが、甲児達の仲間を思いやる様や剣造の言葉を聞いて自分の過ちを悟った鉄也は出撃。しかし、時既に遅く、出撃直後に太陽を背にして現れた戦闘獣[[バルカニア]]の攻撃をコックピット付近で受けてしまった鉄也は、鍛えられた肉体のおかげで致命傷にはならなかった者の重傷を負ってしまい、何とか撃破したものの、爆風に吹き飛ばされた影響で気を失ってしまう。その結果、鉄也の危機を救おうと剣造は分離した科学要塞研究所で地獄大元帥の指揮する[[無敵要塞デモニカ]]へ[[特攻]]してしまい、彼は息子の甲児に看取られながら死亡。死神によって死へと誘われる悪夢に襲われながら、覚醒した鉄也はジュンから剣造が落命してしまった事実を聞かされ、奮起した鉄也はボスに協力してもらう形で甲児達の元へと向かい、甲児のマジンガーZに支えられながら総力を挙げて地獄大元帥の撃破に成功。遂にミケーネの勢力を壊滅させるのだった。
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全てが終わり病院で療養を送る中、自らの身勝手さが原因で剣造を死なせてしまい、甲児とシローの二人を本当の孤児にしてしまった事を後悔していた鉄也は、自らを気遣うジュンの前で、これまで見せる事のないまでに弱気となっていた。しかし、ジュンからの励ましを受けたジュンは、剣造が命懸けて見せた自身への「[[愛]]」に応える為にも、必ず再起する事を誓うのだった。
    
TV版最終話で前作のヒーロー・兜甲児に主役ポジションを奪われ、本来の主人公としては報われぬまま幕引きを迎えた印象が強いが、スタッフも引け目を感じていたのか、後に制作された劇場版『決戦!大海獣』では彼の活躍にかなりのウェイトを置き、主役の[[デューク・フリード]]さえ霞むほどの存在感を見せ付けた。
 
TV版最終話で前作のヒーロー・兜甲児に主役ポジションを奪われ、本来の主人公としては報われぬまま幕引きを迎えた印象が強いが、スタッフも引け目を感じていたのか、後に制作された劇場版『決戦!大海獣』では彼の活躍にかなりのウェイトを置き、主役の[[デューク・フリード]]さえ霞むほどの存在感を見せ付けた。
    
後日談である小説『スーパーロボット大戦』(著・団龍彦)においては、後述の『ゴッドマジンガー』の焼き直し的な一面や弓教授や早乙女博士不在の状況もあってマジンガーチーム・ゲッターチーム全体の指揮官的な立場になっている(再起不能にはなっていないので、当然グレートに乗る)。なお、ここでは甲児との関係は「兄弟のようなもの」と評されている。
 
後日談である小説『スーパーロボット大戦』(著・団龍彦)においては、後述の『ゴッドマジンガー』の焼き直し的な一面や弓教授や早乙女博士不在の状況もあってマジンガーチーム・ゲッターチーム全体の指揮官的な立場になっている(再起不能にはなっていないので、当然グレートに乗る)。なお、ここでは甲児との関係は「兄弟のようなもの」と評されている。
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=== [[劇場版 マジンガーZ / INFINITY]] ===
 
=== [[劇場版 マジンガーZ / INFINITY]] ===
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