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→概要
'''ムルタ・アズラエル'''は『[[機動戦士ガンダムSEED]]』の登場人物。
'''ムルタ・アズラエル'''は『[[機動戦士ガンダムSEED]]』の登場人物。
== 概要 ==
== 概要 ==
[[ブルーコスモス]]の盟主であり、アズラエル財閥の御曹司で軍需産業の経営者。その力で国防産業連合理事の肩書きによって[[地球連合軍]]を動かす。
[[ブルーコスモス]]の盟主であり、アズラエル財閥の御曹司で軍需産業の経営者。その力と「'''国防産業連合理事'''」の肩書きによって[[地球連合軍]]を動かす。
=== 人物 ===
普段は丁寧語を使いながらも紳士的に振る舞っているが、同時に慇懃無礼とも言え、人を食ったような軽口を叩きつつ飄々とした態度を取りながらも、相手を見下した言動や不快感を与える様な遠回しな嫌味も言ったりする。また、自らの目的の為には手段を選ばず、一部の連合兵士達を平然と捨て駒として犠牲にしたり、まだ幼い子供達に[[コーディネイター]]の排斥思想を植え付けた兵士に教育させる等、地球連合内で行われている非道な所業の幾つかにはアズラエルが関与している。経営者としてはそれなりに優秀な人材で、新しく掴んだ[[ザフト]]製のガンダムタイプのモビルスーツである[[ジャスティスガンダム|ジャスティス]]と[[フリーダムガンダム|フリーダム]]の2機の動力が核エンジンであるのを見抜く等、洞察力にも優れている。
反面、器量は狭い上に自己中心的で、精神的に幼い面も見え隠れしている。特にコーディネイターが絡むとその傾向が顕著であり、精神的に追い詰められ心に余裕がなくなると狂気的で醜悪な本性を露にする。ただし、元からコーディネイターを狂的に憎悪していた訳ではなく、「戦争の狂気」というものに当てられてしまったが為にコーディネイターに対する狂気染みた憎悪に取り憑かれてしまったらしい。
本来は[[民間人]]に過ぎない彼が、軍艦に乗って指令を下す法的根拠は、本編を見る限り存在しない。現実で言えば、三菱重工業やゼネラル・エレクトリックの最高経営者が軍を指揮するようなものである。しかし、連合軍側も平然とこの状況を受け入れており、抵抗したのは(作中では)ナタル・バジルールただ一人に過ぎなかった。<ref>ただし、小説版ではオーブ開放作戦の司令官ダーレスはアズラエルの横槍をかなり苦々しく思っている。そもそも彼がアズラエルに逆らえないのは最高司令部より彼の意向に沿うようにとの命令が下されていたためである。</ref>ブルーコスモスの思想は、軍部にシビリアン・コントロールを無視させるほど浸透していたようである。
なお、アズラエルの名前の由来は、イスラムにおいて死を司る[[天使]]アズラーイールの[[英語]]読みから。劇中において、アズラエルの管轄下にあった[[ドミニオン]][[ナタル・バジルール|隊に]][[フレイ・アルスター|所属]][[オルガ・サブナック|して]][[クロト・ブエル|いた]][[シャニ・アンドラス|者]](アズラエル自身を含めて)全員が死亡した結末を考えると、皮肉めいた名前かもしれない。
設定ではこれでも妻子持ちであるが、劇中で直接登場はしない。
=== 生涯 ===
幼少時、アズラエルはコーディネイターの子供との喧嘩や競争で一方的に負けてしまい、更にはコーディネイターを忌み嫌う母親からもコーディネイターになりたかった事を激しく叱責された事で、それが彼の歪んだ性格を形成する要因となり、後にコーディネイターの排斥を唱える過激な思想団体である[[ブルーコスモス]]の盟主になるまでに至っている。アズラエルのコーディナイターを否定する思想は、ナチュラルの多数から支持される程浸透していく事になり、[[フレイ・アルスター]]の父親である連合の外務次官ジョージ・アルスターもその一人で、ブルーコスモスの幹部格としての裏の顔を持つ。
劇中では、連合の最大の拠点であったアラスカ本部「JOSHA」の壊滅後に登場しているが、ヤキン・ドゥーエ戦役では、コロニー「[[ヘリオポリス]]」の崩壊事件より以前から暗躍を行っている。その中でも代表的なのが、連合のモビルスーツ「GAT-Xシリーズ」の開発であり、ザフトのモビルスーツに対抗する手段として連合製モビルスーツの開発に利用価値を見出していたアズラエルは、[[オーブ連合首長国]]の[[ロンド・ミナ・サハク|ロンド]][[ロンド・ギナ・サハク|姉弟]]と協力関係を結び、様々な技術やノウハウを獲得する事に成功する。しかし、これによってオーブの技術力をより求めるようになったアズラエルは、第三次ビクトリア攻防戦が展開されるのと同時期に、ロンド姉弟との密約を反故にする形で、連合の艦隊や後期GAT-Xシリーズの3機、[[ストライクダガー]]の大部隊を率いる形で、オーブへの侵攻を実行する。これが[[オーブ解放作戦]]が起こる事になった切っ掛けである。しかし、オーブの指導者である[[ウズミ・ナラ・アスハ]]は、オーブの技術やマスドライバーをアズラエルの手に渡らせない為に、自爆を敢行。アズラエルの目論見は御破算と言う形で終わった。しかし、ビクトリアの奪還には成功している為、連合軍を宇宙へ送る為の手段は確保している。
オーブ侵攻時に目撃したジャスティスとフリーダムの2機に核エンジンが使用されている…つまりは[[ニュートロンジャマー]]の効果を阻害する「[[ニュートロンジャマーキャンセラー|手段]]」が存在している事実に気付いたアズラエルは、[[アークエンジェル]]を追うべく自らも宇宙へ上がる事を決め、[[ナタル・バジルール]]を艦長に選抜した[[戦艦]][[ドミニオン]]にオブザーバーとして乗り込み前線に立つ。その最中、コロニー「メンデル」での戦いでは、[[ラウ・ル・クルーゼ]]の謀略で解放されたフレイの言った言葉である「戦争を終わらせる為の『鍵』」が気掛かりになった事で回収させ、フレイから入手したデータからニュートロンジャマーキャンセラーのデータを得た事で、アズラエルのコーディネイターの排斥思想は一気に暴走する事になる。
核兵器を自由に使用できるようになったアズラエルは、エネルギー問題の解決を望む周囲の反対を押し切って[[核ミサイル]]を大量に保有した特殊部隊である「ピースメーカー隊」を結成。ボアズ攻防戦では、多数の[[核ミサイル]]の使用によってザフトの防衛部隊を殲滅に追い込む。しかしその結果、プラント最高評議会の議長である[[パトリック・ザラ]]の暴走も招く事になり、[[ジェネシス]]の投入に加え、三隻同盟の介入で[[プラント]]の殲滅作戦は失敗に終わる。これによって一気に冷静さを失ったアズラエルは、殆ど形振り構わない形で再度プラントへの核攻撃を実行に移そうとするが、三隻同盟と必死に抵抗するザフト軍によってピースメーカー隊は壊滅。手駒であった後期GAT-Xシリーズで構成された3期も失ってしまい、殆どの抵抗力を失ってしまう。追い詰められたアズラエルは、激昂してナタルの静止を振り切り、アークエンジェルをドミニオンのローエングリンで沈めようとするが、[[ムウ・ラ・フラガ|ムウ]]の[[ストライクガンダム|ストライク]]の犠牲により失敗。[[マリュー・ラミアス]]の指揮で発射されたアークエンジェル側のローエングリンによってナタルと共に最期を迎えた。
=== 評価 ===
ムルタ・アズラエルは、あくまでも大企業の経営者であり、プロの軍人や政治家ではなく、それゆえか、後のジブリールと比較すると、この争いを一種のビジネスライクなもののように、何処か醒めた捉え方をしていたようである。その彼が連合軍の[[指揮官]]になってしまったことが、戦線を拡大させてしまったことは間違いない(実際、彼のそういった意識の現れとして劇中において「(戦争とは)こちらの被害を少なく、なおかつ敵の被害を大きくするものである」という趣旨の発言をしている)。
しかしそれでいて、相手に反撃されるリスクを考えずに大量破壊兵器である[[核ミサイル|核]]を躊躇なく使用し、実際に報復を受けた途端に自らの決断の結果であるにも関わらず、他人に責任を押し付け、さらに最大の脅威であるジェネシスを放置してプラントの破壊を命じるなど彼の判断は最悪の結果を自ら招こうとしているかのようであり(仮にプラントを殲滅した場合、ジェネシスに残されたザフト司令部が報復として[[地球]]を撃つ可能性を全く考慮していない)結局は本人も知らずのうちに、前述のような過去のトラウマもあってか、言わば「合理性を超越した純度の高い狂気」に、いつの間にか取り憑かれてしまっていたという事なのだろうか(これはプラント側の[[パトリック・ザラ]]にも共通しているといえる)。
== 登場作品と役柄 ==
== 登場作品と役柄 ==