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| 1970年代初頭、子供向けの番組として茶の間を席巻していた存在といえば、二大特撮ヒーロー『ウルトラマン』及び『仮面ライダー』である。この両者は、巨大な身体か等身大か、異星人か改造人間か…といった細かい違いこそあるものの、悪の怪獣ないし怪人に立ち向かう存在でかつ多彩な能力を有する「'''正義の万能ヒーロー'''」であるという重要な特徴が共通していた。 | | 1970年代初頭、子供向けの番組として茶の間を席巻していた存在といえば、二大特撮ヒーロー『ウルトラマン』及び『仮面ライダー』である。この両者は、巨大な身体か等身大か、異星人か改造人間か…といった細かい違いこそあるものの、悪の怪獣ないし怪人に立ち向かう存在でかつ多彩な能力を有する「'''正義の万能ヒーロー'''」であるという重要な特徴が共通していた。 |
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− | 1972年12月3日、[[日本]]で初めてのカラーロボットアニメ『アストロガンガー』(1972年10月4日~1973年3月28日。SRW未参戦)に続き、永井豪氏が原作の巨大ロボットアニメ『[[マジンガーZ (TV)|マジンガーZ]]』が放映を開始。『マジンガーZ』の作風は「様々な能力を備えた一騎当千のマシーン」が「悪の博士が繰り出す機械獣を打ち倒す」という、前述の2作品の系譜に連なる正義の万能ヒーローの物語であり、それゆえ[[マジンガーZ]]はウルトラマンや仮面ライダーといった「スーパー」ヒーローと概ね同様の意味合いで'''「スーパー」ロボット'''として認知されるようになる<ref>「スーパーロボット」という語は本作以前から『ウルトラマン』等の作中でも用いられるなどしていたようだが、自身を明確に「スーパーロボット」と呼称したのは『マジンガーZ』が初であろうと思われる(主題歌中に登場)。なお、「スーパー」という語が「スーパーロボット」のそれと同様に「凄い」「ヒロイックな」という意味合いで巷に普及するきっかけとなった重要な出来事としては「『スーパーマン』映像化(日本では1956年にTV放映開始、1978年に映画化)」「『スーパーカー』ブーム(1974年以降)」等があげられる。</ref> 。 | + | 1972年12月3日、[[日本]]で初めてのカラーロボットアニメ『アストロガンガー』(1972年10月4日~1973年3月28日。SRW未参戦)に続き、永井豪氏が原作の巨大ロボットアニメ『[[マジンガーZ (TV)|マジンガーZ]]』が放映を開始。『マジンガーZ』の作風は「様々な能力を備えた一騎当千のマシーン」が「悪の博士が繰り出す機械獣を打ち倒す」という、前述の2作品の系譜に連なる正義の万能ヒーローの物語であり、それゆえ[[マジンガーZ]]はウルトラマンや仮面ライダーといった「スーパー」ヒーローと概ね同様の意味合いで'''「スーパー」ロボット'''として認知されるようになる<ref>「スーパーロボット」という語は本作以前から『ウルトラマン』等の作中でも用いられる等していたようだが、自身を明確に「スーパーロボット」と呼称したのは『マジンガーZ』が初であろうと思われる(主題歌中に登場)。なお、「スーパー」という語が「スーパーロボット」のそれと同様に「凄い」「ヒロイックな」という意味合いで巷に普及するきっかけとなった重要な出来事としては「『スーパーマン』映像化(日本では1956年にTV放映開始、1978年に映画化)」「『スーパーカー』ブーム(1974年以降)」等があげられる。</ref> 。 |
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− | 『マジンガーZ』はTVアニメとして大ヒットを記録し、前述の2シリーズや『科学忍者隊ガッチャマン』等と並び、子供向けヒーローのジャンルで確固たる地位を築く。そして同作を皮切りとして、東映動画(現:東映アニメーション)は74年に『[[ゲッターロボ]]』『[[グレートマジンガー (TV)|グレートマジンガー]]』、75年に『[[ゲッターロボG]]』『[[UFOロボ グレンダイザー]]』『[[鋼鉄ジーグ]]』と、永井豪及び石川賢原作の巨大ロボットアニメ(即ち、今日言うところのダイナミックプロ系列の作品)を立て続けに放映、いずれもヒットを飛ばす。また、75年には東北新社が『[[勇者ライディーン]]』を、76年から79年にかけて東映が『[[未来ロボ ダルタニアス]]』を含む『[[ロマンロボシリーズ]]』、更に同シリーズと並行して『[[大空魔竜ガイキング]]』を放映するなど、ロボットアニメ作品の黄金時代を迎える。そしてこれらの一連の作品を通じて確固たるものとなった概念が「スーパーロボットが活躍するアニメ」、即ち「'''スーパーロボットアニメ'''('''スーパー系の作品''')」である 。<ref>本項では文章量の関係上、代表的な作品を記載するに止めた。ここで取り上げた以外のスーパーロボットの系譜の作品としては『ゴワッパー5ゴーダム』『UFO戦士ダイアポロン(及びII)』『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』『マグネロボ ガ・キーン』(以上76年)『[[合身戦隊メカンダーロボ]]』『惑星ロボ ダンガードA』『超合体魔術ロボ ギンガイザー』『超人戦隊バラタック』(以上77年)『宇宙魔神ダイケンゴー』(78年)『闘士ゴーディアン』(79年)等が存在する。</ref>
| + | 『マジンガーZ』はTVアニメとして大ヒットを記録し、前述の2シリーズや『科学忍者隊ガッチャマン』等と並び、子供向けヒーローのジャンルで確固たる地位を築く。そして同作を皮切りとして、東映動画(現:東映アニメーション)は1974年に『[[ゲッターロボ]]』『[[グレートマジンガー (TV)|グレートマジンガー]]』、1975年に『[[ゲッターロボG]]』『[[UFOロボ グレンダイザー]]』『[[鋼鉄ジーグ]]』と、永井豪及び石川賢原作の巨大ロボットアニメ(即ち、今日言うところのダイナミックプロ系列の作品)を立て続けに放映、いずれもヒットを飛ばす。また、1975年には東北新社が『[[勇者ライディーン]]』を、1976年から1979年にかけて東映が『[[未来ロボ ダルタニアス]]』を含む『[[ロマンロボシリーズ]]』、更に同シリーズと並行して『[[大空魔竜ガイキング]]』を放映するなど、ロボットアニメ作品の黄金時代を迎える。そしてこれらの一連の作品を通じて確固たるものとなった概念が「スーパーロボットが活躍するアニメ」、即ち「'''スーパーロボットアニメ'''('''スーパー系の作品''')」である 。<ref>本項では文章量の関係上、代表的な作品を記載するに止めた。ここで取り上げた以外のスーパーロボットの系譜の作品としては『ゴワッパー5ゴーダム』『UFO戦士ダイアポロン(及びII)』『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』『マグネロボ ガ・キーン』(以上、1976年)『[[合身戦隊メカンダーロボ]]』『惑星ロボ ダンガードA』『超合体魔術ロボ ギンガイザー』『超人戦隊バラタック』(以上1977年)『宇宙魔神ダイケンゴー』(1978年)『闘士ゴーディアン』(1979年)等が存在する。</ref> |
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| これらの作品は(勿論のことながら)それぞれが独自の個性を内包した作品であり、紋切り型にスーパー系と区分する事に対しては批判の声もある。しかしながらこれらの作品は、これまで述べた「一騎当千の正義のヒーローロボットの活躍」「最終目的は悪の侵略者である[[ラストボス|親玉]]を打ち倒すこと」という共有の下敷きを基にして生まれた要素を多く内包しているのは事実である。こんにちスーパー系的であると捉えられている、一種の「型」とも呼ぶべき要素の多くは、この時期に多くの作品が製作される中で醸成された様式美のようなものであると言える。 | | これらの作品は(勿論のことながら)それぞれが独自の個性を内包した作品であり、紋切り型にスーパー系と区分する事に対しては批判の声もある。しかしながらこれらの作品は、これまで述べた「一騎当千の正義のヒーローロボットの活躍」「最終目的は悪の侵略者である[[ラストボス|親玉]]を打ち倒すこと」という共有の下敷きを基にして生まれた要素を多く内包しているのは事実である。こんにちスーパー系的であると捉えられている、一種の「型」とも呼ぶべき要素の多くは、この時期に多くの作品が製作される中で醸成された様式美のようなものであると言える。 |
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| ==== ガンダム以降・80年代ロボットアニメ ==== | | ==== ガンダム以降・80年代ロボットアニメ ==== |
− | 上述の70年代スーパーロボットアニメ黄金期において、異色作『[[無敵超人ザンボット3]]』で業界に一石を投じたのが日本サンライズ(現:サンライズ。以下現社名で表記)である。同社は75年に『[[勇者ライディーン]]』への制作協力を皮切りにロボットアニメ業界へ参入するが、1977年、『ライディーン』で監督を途中降板した富野喜幸(現:富野由悠季)氏を監督に迎えて『ザンボット3』を制作・放映した。同作は前述の「型」の大部分を継承しつつも、「守るべき[[地球]]の人々から迫害を受け、更には地球を守る事が本当に善いことであるのか?」という点すら定かでないまま戦わざるをえない主人公を描き、'''「正義」というヒーローが拠って立つ最も根本的な戦いの動機に疑問を投げかけた'''点で衝撃的な作品であった。 | + | 上述の70年代スーパーロボットアニメ黄金期において、異色作『[[無敵超人ザンボット3]]』で業界に一石を投じたのが日本サンライズ(現:サンライズ。以下現社名で表記)である。同社は1975年に『[[勇者ライディーン]]』への制作協力を皮切りにロボットアニメ業界へ参入するが、1977年、『ライディーン』で監督を途中降板した富野喜幸(現:富野由悠季)氏を監督に迎えて『ザンボット3』を制作・放映した。同作は前述の「型」の大部分を継承しつつも、「守るべき[[地球]]の人々から迫害を受け、更には地球を守る事が本当に善いことであるのか?」という点すら定かでないまま戦わざるをえない主人公を描き、'''「正義」というヒーローが拠って立つ最も根本的な戦いの動機に疑問を投げかけた'''点で衝撃的な作品であった。 |
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− | そしてサンライズは、翌78年の『[[無敵鋼人ダイターン3]]』を経て、79年にリアルロボットというジャンルの先駆けとなった傑作『[[機動戦士ガンダム]]』を世に送り出す。同作は、前述したようなスーパー系の「型」に通ずる部分が数多く残る作品<ref>一例を挙げれば、「敵メカや[[戦艦]]を一撃で葬り去る主役機[[ガンダム]]の圧倒的性能」「ガンダム・ハンマー等の特殊武器、[[Gファイター|Gパーツ]]等の追加換装パーツの存在」「『毎週かわるがわる登場する悪の敵』というスーパー系のお約束に通じる、バラエティに富んだ[[ジオン公国軍|ジオン]]メカ」「悪の親玉としての側面が強く描かれている[[ギレン・ザビ]](当初は、[[アムロ・レイ|アムロ]]と[[シャア・アズナブル|シャア]]が独裁者ギレンを討ち大団円を迎える…という展開の予定であった)」など。</ref>であるとの指摘も多いものの、「戦いに明確な善悪のない『戦争』という舞台設定(=「地底や外宇宙からの侵略者」等の悪役と比較して、より「'''リアリティ'''」を感じさせる設定<ref>'''あくまでも演出上の「リアリティ」に留まるものである'''点には注意が必要。'''フィクション作品である以上、本当に「リアル(=現実)」に起こり得ると言っているわけではない'''。</ref>)」「戦争をよりリアルに描くために練られた、よりリアルなSF考証や軍事考証・メカニック設定。一例をあげれば、[[量産型]]や物量戦といった概念など」は、紛れもなくその後のリアルロボット勃興期を牽引する画期的なものであった。
| + | そしてサンライズは、翌1978年の『[[無敵鋼人ダイターン3]]』を経て、1979年にリアルロボットというジャンルの先駆けとなった傑作『[[機動戦士ガンダム]]』を世に送り出す。同作は、前述したようなスーパー系の「型」に通ずる部分が数多く残る作品<ref>一例を挙げれば、「敵メカや[[戦艦]]を一撃で葬り去る主役機[[ガンダム]]の圧倒的性能」「ガンダム・ハンマー等の特殊武器、[[Gファイター|Gパーツ]]等の追加換装パーツの存在」「『毎週かわるがわる登場する悪の敵』というスーパー系のお約束に通じる、バラエティに富んだ[[ジオン公国軍|ジオン]]メカ」「悪の親玉としての側面が強く描かれている[[ギレン・ザビ]](当初は、[[アムロ・レイ|アムロ]]と[[シャア・アズナブル|シャア]]が独裁者ギレンを討ち大団円を迎える…という展開の予定であった)」など。</ref>であるとの指摘も多いものの、「戦いに明確な善悪のない『戦争』という舞台設定(=「地底や外宇宙からの侵略者」等の悪役と比較して、より「'''リアリティ'''」を感じさせる設定<ref>'''あくまでも演出上の「リアリティ」に留まるものである'''点には注意が必要。'''フィクション作品である以上、本当に「リアル(=現実)」に起こり得ると言っているわけではない'''。</ref>)」「戦争をよりリアルに描くために練られた、よりリアルなSF考証や軍事考証・メカニック設定。一例をあげれば、[[量産型]]や物量戦といった概念など」は、紛れもなくその後のリアルロボット勃興期を牽引する画期的なものであった。 |
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− | 同作は1980年の劇場化、及びその後の再放送によって熱烈な人気を獲得する。サンライズはヒットの余勢を駆り、82年から84年にかけ、富野氏とのタッグで『[[戦闘メカ ザブングル]]』『[[聖戦士ダンバイン]]』『[[重戦機エルガイム]]』を立て続けにリリースした。
| + | 同作は1980年の劇場化、及びその後の再放送によって熱烈な人気を獲得する。サンライズはヒットの余勢を駆り、1982年から1984年にかけ、富野氏とのタッグで『[[戦闘メカ ザブングル]]』『[[聖戦士ダンバイン]]』『[[重戦機エルガイム]]』を立て続けにリリースした。 |
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− | そしてサンライズリアルロボット路線のもうひとつの潮流として、1981年に『太陽の牙ダグラム』(SRW未参戦)を送り出した<ref>『ダグラム』はキャラクターモデルのヒットによりポスト『ガンダム』の最右翼となった一方で「アニメック」誌を中心とした低俗なネガティブキャンペーンの的にされてしまった不遇な作品でもある。前述のスーパー系作品黄金期に比べ、この当時は必ずしもリアル系作品が優遇一色というわけでもなかった。</ref>高橋良輔氏が登場する。高橋氏は『ダグラム』終了後の83年『[[装甲騎兵ボトムズ]]』を世に送り出すが、同作は『ガンダム』において主役機に僅かに残っていたスーパー系の残滓も徹底的に排除されている点が最大の特徴で、今日「リアル系の金字塔」とも評される傑作である。元々「リアルロボット」という用語自体が、高橋氏が自身のロボットアニメ制作手法を表現するために生み出した造語であることからも明らかなように、高橋氏の作品がロボットアニメシーンのリアル化路線に与えた影響は極めて大きいものであった。その後も高橋氏は84年の『[[機甲界ガリアン]]』を経て、85年には再び異星文明との星間戦争を描いた『[[蒼き流星SPTレイズナー]]』を制作し、リアルロボットブームを引き続き牽引することとなる。 | + | そしてサンライズリアルロボット路線のもうひとつの潮流として、1981年に『太陽の牙ダグラム』(SRW未参戦)を送り出した<ref>『ダグラム』はキャラクターモデルのヒットによりポスト『ガンダム』の最右翼となった一方で「アニメック」誌を中心とした低俗なネガティブキャンペーンの的にされてしまった不遇な作品でもある。前述のスーパー系作品黄金期に比べ、この当時は必ずしもリアル系作品が優遇一色というわけでもなかった。</ref>高橋良輔氏が登場する。高橋氏は『ダグラム』終了後の1983年『[[装甲騎兵ボトムズ]]』を世に送り出すが、同作は『ガンダム』において主役機に僅かに残っていたスーパー系の残滓も徹底的に排除されている点が最大の特徴で、今日「リアル系の金字塔」とも評される傑作である。元々「リアルロボット」という用語自体が、高橋氏が自身のロボットアニメ制作手法を表現するために生み出した造語であることからも明らかなように、高橋氏の作品がロボットアニメシーンのリアル化路線に与えた影響は極めて大きいものであった。その後も高橋氏は84年の『[[機甲界ガリアン]]』を経て、1985年には再び異星文明との星間戦争を描いた『[[蒼き流星SPTレイズナー]]』を制作し、リアルロボットブームを引き続き牽引することとなる。 |
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| 更に上述の流れに呼応するように、1982年には河森正治氏ら若手クリエイターを中心として、スタジオぬえから『[[超時空要塞マクロス]]』が世に送り出されるなど、サンライズ以外の制作会社もリアル的要素の盛り込まれた作品の制作を開始。こうして80年代前半のロボットアニメシーンは、作中に何かしらのミリタリー要素やリアリティ重視が盛り込まれた作品の隆盛、所謂「リアルロボットブーム」が席巻していく事となる。70年代にスーパーロボット作品の「型」が醸成されたのと同様、リアルロボット作品の「型」の多くは、この80年代前半に形作られたものであると言える。 | | 更に上述の流れに呼応するように、1982年には河森正治氏ら若手クリエイターを中心として、スタジオぬえから『[[超時空要塞マクロス]]』が世に送り出されるなど、サンライズ以外の制作会社もリアル的要素の盛り込まれた作品の制作を開始。こうして80年代前半のロボットアニメシーンは、作中に何かしらのミリタリー要素やリアリティ重視が盛り込まれた作品の隆盛、所謂「リアルロボットブーム」が席巻していく事となる。70年代にスーパーロボット作品の「型」が醸成されたのと同様、リアルロボット作品の「型」の多くは、この80年代前半に形作られたものであると言える。 |
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| ==== 90年代以降の年代のロボットアニメ ==== | | ==== 90年代以降の年代のロボットアニメ ==== |
− | 85年の『[[機動戦士Ζガンダム]]』の放映を一つの区切として、リアルロボット系作品勃興の流れは沈静化。この頃から行きすぎたSF考証・リアリティ重視の姿勢と巨大人型ロボットというある種ロマンの産物との衝突や演出面の不便さが表面化し、現在にも続く大きな課題になっていくこととなる。80年代後半にはOVAブームが起こり、スーパー系の系譜を受け継ぐ『[[冥王計画ゼオライマー]]』や『[[破邪大星ダンガイオー]]』、リアル系寄りの『[[メガゾーン23]]』等の作品が制作される。しかし総じてこのジャンル自体が黄金期を過ぎ、新たなジャンルの勃興や世間情勢の変化に伴ってロボットアニメは緩やかに衰退を始めることになり、それでいてこの時代には大きな方向性が見られないまま緩やかな低迷期を迎え、90年代に突入することになる。そんな中でも「ロボットが日常化した近未来日本」と[[警察官|警察]]を舞台にした『[[機動警察パトレイバー]]』は人気を博した…がメディアは違えどロボットより人間模様や事件そのものが重視され、ロボットの活躍が抑え目になってしまうというリアル系の問題の極北をも示してしまった(特に主役機の活躍が背景描写に近い劇場版第2作・第3作や、ロボ同士の戦いで話が終わらなかった漫画版最終巻後半)。また『パトレイバー』での敵は現実に起こりうる犯罪・問題の延長線上にあるものがほとんどであり(たまに怪獣も出てくるが)クーデターや[[テロリスト|サイバーテロ]]から人命救助まで様々な題材が取り上げられた。
| + | 1985年の『[[機動戦士Ζガンダム]]』の放映を一つの区切として、リアルロボット系作品勃興の流れは沈静化。この頃から行きすぎたSF考証・リアリティ重視の姿勢と巨大人型ロボットというある種ロマンの産物との衝突や演出面の不便さが表面化し、現在にも続く大きな課題になっていくこととなる。80年代後半にはOVAブームが起こり、スーパー系の系譜を受け継ぐ『[[冥王計画ゼオライマー]]』や『[[破邪大星ダンガイオー]]』、リアル系寄りの『[[メガゾーン23]]』等の作品が制作される。しかし総じてこのジャンル自体が黄金期を過ぎ、新たなジャンルの勃興や世間情勢の変化に伴ってロボットアニメは緩やかに衰退を始めることになり、それでいてこの時代には大きな方向性が見られないまま緩やかな低迷期を迎え、1990年代に突入することになる。そんな中でも「ロボットが日常化した近未来日本」と[[警察官|警察]]を舞台にした『[[機動警察パトレイバー]]』は人気を博した…がメディアは違えどロボットより人間模様や事件そのものが重視され、ロボットの活躍が抑え目になってしまうというリアル系の問題の極北をも示してしまった(特に主役機の活躍が背景描写に近い劇場版第2作・第3作や、ロボ同士の戦いで話が終わらなかった漫画版最終巻後半)。また『パトレイバー』での敵は現実に起こりうる犯罪・問題の延長線上にあるものがほとんどであり(たまに怪獣も出てくるが)クーデターや[[テロリスト|サイバーテロ]]から人命救助まで様々な題材が取り上げられた。 |
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− | 90年代にもこれといって決定打となる方向性は発生しなかったが、敢えて一つ取り上げるとすれば95年に放映された『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』であろう。同作最大の特徴は、主人公が抗うべき対象が「悪の組織」でも「戦争という現実」でもなく、「隣人」と「自分自身」であったことである。この点を意識した作りになっているのが翌96年に放映された『[[機動戦艦ナデシコ]]』であるが、同作の監督である佐藤竜雄氏の見解を参考に総括すれば、70年代アニメにおける戦いの動機は「『[[正義]]』『[[愛]]』という分かりやすい概念」、80年代になると「普遍的な正義などない(=戦争での大義のように、立場によって左右されるもの)のだから、現実を自分なりに咀嚼し、納得いく立ち回りをすること」というスタンスに移行する。これに対し90年代は(佐藤氏は「決定打ではない」と前置きしているものの)「自身が周囲との関係の中で存在していることを理解し、その存在意義を見出すこと」という、一種の自己実現的な戦いの動機が新たに台頭している。このような傾向は99年に放映された『無限のリヴァイアス』(SRW未参戦)等にも見られ、新たな一つの潮流となったことは確かである。
| + | 90年代にもこれといって決定打となる方向性は発生しなかったが、敢えて一つ取り上げるとすれば1995年に放映された『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』であろう。同作最大の特徴は、主人公が抗うべき対象が「悪の組織」でも「戦争という現実」でもなく、「隣人」と「自分自身」であったことである。この点を意識した作りになっているのが翌96年に放映された『[[機動戦艦ナデシコ]]』であるが、同作の監督である佐藤竜雄氏の見解を参考に総括すれば、70年代アニメにおける戦いの動機は「『[[正義]]』『[[愛]]』という分かりやすい概念」、80年代になると「普遍的な正義などない(=戦争での大義のように、立場によって左右されるもの)のだから、現実を自分なりに咀嚼し、納得いく立ち回りをすること」というスタンスに移行する。これに対し90年代は(佐藤氏は「決定打ではない」と前置きしているものの)「自身が周囲との関係の中で存在していることを理解し、その存在意義を見出すこと」という、一種の自己実現的な戦いの動機が新たに台頭している。このような傾向は1999年に放映された『[[無限のリヴァイアス]]』等にも見られ、新たな一つの潮流となったことは確かである。 |
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| この流れはアニメ業界全体に多大な影響を与え、様々なジャンルで影響を受けた・それを模した作品が制作されることになり、ロボットアニメにおいてもそれは例外では無かったが、その流行が一段落すると衰退の現状が再認識され、引き続き新たなジャンルの方向性が試みられ続けることとなり、2010年以降の現在までその状態は続いている。ただ、いかなる方向性を前面に押し出して総括したとしても、確実に言えるのは、実際のところはこれまでに培われたスーパー、リアルそれぞれの「型」のうち、'''両方の要素をある程度ずつ含んでいる作品が相当数にのぼる'''という点である。現在ではそれらの「お約束」とも言える「型」を満たした作品がロボットアニメ扱いされるような状態になりつつあり、それらを外れたもの、特に"ロボットは出てくるがどちらかと言うとキャラクターがメインである"作品についてはまた一線を画した反応がされることが多く、ジャンルの幅を狭めるある種の制約・縛りとなっている面があるとも言える。そもそも、前述のスーパー、リアルそれぞれの「型」について、それらを全てを忠実に満たした純粋なスーパー系作品、リアル系作品というものはあくまで概念上存在するに過ぎないものであって、それぞれの黄金期以外の作品について(90年代以降は特に)スーパー系ないしリアル系のいずれかに明確に分類できる作品は多くない。 | | この流れはアニメ業界全体に多大な影響を与え、様々なジャンルで影響を受けた・それを模した作品が制作されることになり、ロボットアニメにおいてもそれは例外では無かったが、その流行が一段落すると衰退の現状が再認識され、引き続き新たなジャンルの方向性が試みられ続けることとなり、2010年以降の現在までその状態は続いている。ただ、いかなる方向性を前面に押し出して総括したとしても、確実に言えるのは、実際のところはこれまでに培われたスーパー、リアルそれぞれの「型」のうち、'''両方の要素をある程度ずつ含んでいる作品が相当数にのぼる'''という点である。現在ではそれらの「お約束」とも言える「型」を満たした作品がロボットアニメ扱いされるような状態になりつつあり、それらを外れたもの、特に"ロボットは出てくるがどちらかと言うとキャラクターがメインである"作品についてはまた一線を画した反応がされることが多く、ジャンルの幅を狭めるある種の制約・縛りとなっている面があるとも言える。そもそも、前述のスーパー、リアルそれぞれの「型」について、それらを全てを忠実に満たした純粋なスーパー系作品、リアル系作品というものはあくまで概念上存在するに過ぎないものであって、それぞれの黄金期以外の作品について(90年代以降は特に)スーパー系ないしリアル系のいずれかに明確に分類できる作品は多くない。 |
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| :**パイロットについても、機体に選ばれたり、一般人ではその性能を引き出せなかったりと、極めて限定される。 | | :**パイロットについても、機体に選ばれたり、一般人ではその性能を引き出せなかったりと、極めて限定される。 |
| :**採用技術との関連で、作中において世界標準であるエネルギーとは全く異なるエネルギーで動いていたり、作中標準の素材とは段違いの性能を誇る超金属で構成されている場合が多い(動力源については、『[[スパロボOGネットラジオ うますぎWAVE]]』第151回では「説明できる[[動力・エンジン・エネルギー|エネルギー源]]かどうか」という形で提起されている。また、寺田プロデューサーもかつて同種の見解を述べたことがある)。 | | :**採用技術との関連で、作中において世界標準であるエネルギーとは全く異なるエネルギーで動いていたり、作中標準の素材とは段違いの性能を誇る超金属で構成されている場合が多い(動力源については、『[[スパロボOGネットラジオ うますぎWAVE]]』第151回では「説明できる[[動力・エンジン・エネルギー|エネルギー源]]かどうか」という形で提起されている。また、寺田プロデューサーもかつて同種の見解を述べたことがある)。 |
− | :***ただし、電力で動く[[GEAR戦士電童]]や[[ダイ・ガード]]のように、『現実に存在し、説明可能なエネルギー源』を用いたスーパーロボットもある為、絶対的な基準ではない。これはリアルロボットにおいても同様で、現実に存在しないエネルギー源を用いたリアルロボットも存在する。 | + | :***ただし、電力で動く[[GEAR戦士電童]]や[[ダイ・ガード]]のように、「現実に存在し、説明可能なエネルギー源」を用いたスーパーロボットもある為、絶対的な基準ではない。これはリアルロボットにおいても同様で、現実に存在しないエネルギー源を用いたリアルロボットも存在する。 |
| :*一体に数多くの機能が搭載された「万能型(ジェネラリスト)」である。 | | :*一体に数多くの機能が搭載された「万能型(ジェネラリスト)」である。 |
| :**新武装や新装備の追加、新しく登場したサポートロボとの合体など、[[パワーアップイベント]]により強化が施される場合が多い。 | | :**新武装や新装備の追加、新しく登場したサポートロボとの合体など、[[パワーアップイベント]]により強化が施される場合が多い。 |