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| *メカニックデザイン:清水栄一 | | *メカニックデザイン:清水栄一 |
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− | [[鉄のラインバレル]]の主人公機。[[マキナ]]の一つで、本編の世界に転移した際、落下地点にいた浩一を死なせてしまう。その際、[[ファクター]]である城崎絵美の願いによって浩一をファクターとして蘇生させ、己が主とした。 | + | [[鉄のラインバレル]]の主人公機。二本の角と牙のような顔面という「鬼」を想起させる外見が特徴。 |
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| + | 城崎天児によって造られた[[マキナ]]の一つで、本編の世界に転移した際、落下地点にいた浩一を死なせてしまう。その際、[[ファクター]]である城崎絵美の願いによって浩一をファクターとして蘇生させ、己が主とした。 |
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| 当初は本来のファクターである絵美による外部制御が優先されており、新たなファクターである浩一はラインバレルを動かすためだけの存在、という側面が強かった。しかし、彼が友人である矢島の死をきっかけにファクターとして完全に覚醒した瞬間、絵美の制御を離れた上に封印されていた武器を解放、名実ともに浩一の半身となった。 | | 当初は本来のファクターである絵美による外部制御が優先されており、新たなファクターである浩一はラインバレルを動かすためだけの存在、という側面が強かった。しかし、彼が友人である矢島の死をきっかけにファクターとして完全に覚醒した瞬間、絵美の制御を離れた上に封印されていた武器を解放、名実ともに浩一の半身となった。 |
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| この、ラインバレルの制御系統を受け持つファクターを特に「真のファクター」と呼称する。本来マキナとは、電脳による自立思考・行動を行う一種の機械生物なのだが、電脳の無いラインバレルは純然たる機械。そのため、他のマキナが限定的ながら自ら思考・行動できるのに対し、ファクター=電脳のラインバレルは意思決定・行動内容の全てをファクターに依存する。いわばラインバレルとは、ファクターとなった人間の戦闘用ボディ、あるいは「マキナの特性を備えただけの機械」であるとも言える。これは、後に登場したヒトマキナ・真来梓とラヴバレルの関係に似ている。またこれにより、ラインバレルはコクピットからの操縦のみならず、ファクターの思考をノータイムで反映して行動を補正するため、他のマキナ・アルマに比べて極めて柔軟かつ的確(無論、ファクターの熟練度にもよる)な動きを可能としている。 | | この、ラインバレルの制御系統を受け持つファクターを特に「真のファクター」と呼称する。本来マキナとは、電脳による自立思考・行動を行う一種の機械生物なのだが、電脳の無いラインバレルは純然たる機械。そのため、他のマキナが限定的ながら自ら思考・行動できるのに対し、ファクター=電脳のラインバレルは意思決定・行動内容の全てをファクターに依存する。いわばラインバレルとは、ファクターとなった人間の戦闘用ボディ、あるいは「マキナの特性を備えただけの機械」であるとも言える。これは、後に登場したヒトマキナ・真来梓とラヴバレルの関係に似ている。またこれにより、ラインバレルはコクピットからの操縦のみならず、ファクターの思考をノータイムで反映して行動を補正するため、他のマキナ・アルマに比べて極めて柔軟かつ的確(無論、ファクターの熟練度にもよる)な動きを可能としている。 |
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− | ファクターが通常一人なのは「そのようにプログラムされているから」であり、ファクターの思考=自身の思考であるラインバレルはこれを無視出来る。絵美をファクターとしたのは彼女を生かすためであり、浩一をファクターとしたのは絵美の願いに応えたことと、長時間戦えない絵美、休眠状態の天児の代わりにラインバレルを動かす存在が必要だったためである。カウンターナノマシンを絵美だけが使えたのは天児の意向によるものであり、浩一の時に起動しなかったのは天児に取って彼はあくまで「間に合わせの操縦者」であったため。
| + | ファクターが通常一人なのは「そのようにプログラムされているから」であり、ファクターの思考=自身の思考であるラインバレルはこれを無視出来る。絵美をファクターとしたのは彼女を生かすためであり、浩一をファクターとしたのは絵美の願いに応えたことと、長時間戦えない絵美、休眠状態の天児(彼が目覚めると「アマガツ」が起動し消耗が激しくなる)の代わりにラインバレルを動かす存在が必要だったためである。カウンターナノマシンを絵美だけが使えたのは天児の意向によるものであり、浩一の時に起動しなかったのは天児に取って彼はあくまで「間に合わせの操縦者」であったため。 |
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| 後に天児が死を迎えた際、「真のファクター」は彼の意志により、天児から現在のファクターである浩一へと再設定されている。ただ、浩一自身はこの事実を知らない。これにより、ラインバレルの制御系統は浩一が自ら担うこととなり、カウンターナノマシンによる「オーバーライドモード」の発動も自力で可能となった。 | | 後に天児が死を迎えた際、「真のファクター」は彼の意志により、天児から現在のファクターである浩一へと再設定されている。ただ、浩一自身はこの事実を知らない。これにより、ラインバレルの制御系統は浩一が自ら担うこととなり、カウンターナノマシンによる「オーバーライドモード」の発動も自力で可能となった。 |
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| これに付随し、最終章に突入した今もなお明かされていない謎が存在する。それは、「ラインバレルを現在の姿に改造したのは何者であるか」「肉体を失った天児の脳を誰がラインバレルに搭載したのか」ということである。この中には、ラインバレルのさらに原型となった機体の存在がわずかに記されていたが、これは後にロストバレルであったことが判明する。 | | これに付随し、最終章に突入した今もなお明かされていない謎が存在する。それは、「ラインバレルを現在の姿に改造したのは何者であるか」「肉体を失った天児の脳を誰がラインバレルに搭載したのか」ということである。この中には、ラインバレルのさらに原型となった機体の存在がわずかに記されていたが、これは後にロストバレルであったことが判明する。 |
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| + | 他に常のマキナと異なる点は、目。ファクターアイを象った「瞳」を持っている場面がところどころで確認できる。これは「真のファクター」の意志に同調しているらしく、8巻では「ここに在る以上既に俺のモノ」と言った桐山を睨みつけるシーンがあった(この時浩一は森次に意識が向いていた)他、16巻の冒頭では対峙した浩一を目線だけで見下ろしていた。ただ、この瞳は常時見えるわけではなく、普段は通常のマキナ同様のカメラアイに見える。ちなみにアニメ版ではmode-C発動時に確認できる。 |
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| ちなみに、「ラインバレル」とは「境界・可能性の枝」を意味する「Line」と「多くの」を意味する「Barrel」を合わせた造語である。また、アニメ版のファイナルフェイズ発動時にモニターに表示された文字列は、上部に「LINE~」、下部に「'''B'''iogenous '''A'''rmament '''R'''evivity '''R'''avager '''E'''nergized '''L'''ifeform Sustainer」となっている。 | | ちなみに、「ラインバレル」とは「境界・可能性の枝」を意味する「Line」と「多くの」を意味する「Barrel」を合わせた造語である。また、アニメ版のファイナルフェイズ発動時にモニターに表示された文字列は、上部に「LINE~」、下部に「'''B'''iogenous '''A'''rmament '''R'''evivity '''R'''avager '''E'''nergized '''L'''ifeform Sustainer」となっている。 |
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| ===武装・[[必殺武器]]=== | | ===武装・[[必殺武器]]=== |
| ;太刀 | | ;太刀 |
− | :両腕に装着された日本刀。ラインバレルの「マキナ」としての力である。 | + | :両腕に装着された日本刀。ラインバレルの「マキナ」としての力である。なお、原作漫画版10巻では[[プリテンダー]]を撃墜する際にヴァーダントから投げ渡された太刀を使用している。 |
| ;エグゼキューター(射撃) | | ;エグゼキューター(射撃) |
| :テールスタビライザーに搭載されたビーム砲。ラインバレルの「マキナ殺し」としての力である。本来はビームを放つ射撃武器なのだが、実際にこの用法で使用されるケースは当初浩一が知らなかった事もあって少ない。 | | :テールスタビライザーに搭載されたビーム砲。ラインバレルの「マキナ殺し」としての力である。本来はビームを放つ射撃武器なのだが、実際にこの用法で使用されるケースは当初浩一が知らなかった事もあって少ない。 |
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| === スパロボシリーズの名場面 === | | === スパロボシリーズの名場面 === |
| ;「正義の味方」ここに誕生す | | ;「正義の味方」ここに誕生す |
− | :L37話「鋼鉄の華」より。死闘の果てにセントラルを破壊した[[LOTUS]]だが、その影響により次元回廊が歪み始めてしまい、このままではこの世界と[[高蓋然性世界]]が量子レベルで崩壊し、一つに混ざり合ってしまう。何としてもそれを防ぐために浩一が[[ラインバレル]]で回廊の穴の破壊を引き受けるが、それだけを破壊するだけの膨大なエネルギーに加え、成功したとしても時空の狭間に彷徨うという無謀な賭けだった。しかし、浩一は言う。「それでもこの世界とみんなを守りたい」と。 | + | :L37話「鋼鉄の華」より。死闘の果てにセントラルを破壊した[[LOTUS]]だが、その影響により次元回廊が歪み始めてしまい、このままではこの世界と[[高蓋然性世界]]が量子レベルで崩壊し、一つに混ざり合ってしまう。何としてもそれは防がねばならない。浩一が[[ラインバレル]]で回廊の穴の破壊を引き受けるが、それを破壊するだけの膨大なエネルギーが必要であるコトに加え、成功したとしてもラインバレルは時空の狭間に彷徨うという無謀な賭けだった。しかし、浩一は言う。「それでもこの世界とみんなを守りたい」と。 |
− | :その覚悟を見た森次はレイチェルにある提案をした。「'''ファイナルフェイズを発動しろ'''」。それはマキナの全エネルギーをラインバレルに送り込む緊急プログラムだが、その直後にDソイルが枯渇してマキナの機能は停止――それは「ファクターの死」を意味するのであった。それでも森次たちは発動をする。「早瀬だけではない。みんなこの命をかけても守りたい」と。 | + | :その覚悟を見た森次はレイチェルに指令を下す。曰く「'''ファイナルフェイズを発動しろ'''」。それはマキナの全エネルギーをラインバレルに送り込む緊急プログラムだが、その直後にDソイルが枯渇してマキナの機能は停止する――取りも直さず、それは「ファクターの死」を意味していた。それでも彼らに躊躇はない。「早瀬だけではない。みんなこの命をかけても守りたい」と。 |
| :そしてファイナルフェイズは発動したが、最後の悪あがきをするかのように[[量産型マキナ]]が大量に出現した。[[LOTUS]]は浩一たちを絶対に守ると決意を固めたが、それでも重力波の脅威にさらされ、傷ついていくマキナ。そしてエネルギーが収束しないことに焦燥を露わにするが、謎の声が戦場に響いた。「'''ならば私の命を使ってください!'''」。そこに現れたのは破壊されたはずの[[タリスマン]]、そして[[マキナ人間]]となって落命したはずの[[中島宗美]]だった。彼は言った「浩一のおかげで正義と理想を思い出す事が出来た」と。ならば、「妻が愛した世界を守る」と決意を固め、[[LOTUS]]もそれを受け入れた。 | | :そしてファイナルフェイズは発動したが、最後の悪あがきをするかのように[[量産型マキナ]]が大量に出現した。[[LOTUS]]は浩一たちを絶対に守ると決意を固めたが、それでも重力波の脅威にさらされ、傷ついていくマキナ。そしてエネルギーが収束しないことに焦燥を露わにするが、謎の声が戦場に響いた。「'''ならば私の命を使ってください!'''」。そこに現れたのは破壊されたはずの[[タリスマン]]、そして[[マキナ人間]]となって落命したはずの[[中島宗美]]だった。彼は言った「浩一のおかげで正義と理想を思い出す事が出来た」と。ならば、「妻が愛した世界を守る」と決意を固め、[[LOTUS]]もそれを受け入れた。 |
− | :そしてエネルギーは収束したが、その間際に発生した大きな重力波が[[量産型マキナ]]を粉砕し、ラインバレルを飲み込もうとしたが、EVAが[[A.T.フィールド]]を張ることで守ってくれた。シンジはかつて周りに流された自分を浩一が助けてくれた。今度は自分たちが助けると意思を示し、アスカやレイも手を貸した。 | + | :そしてエネルギーは収束したが、その間際に発生した大きな重力波が[[量産型マキナ]]を粉砕し、ラインバレルを飲み込もうとする。だが、それを瀬戸際で防いだのはEVA3機が全力で展開した[[A.T.フィールド]]。シンジはかつて周りに流された自分を浩一が助けてくれた、だから今度は自分たちが助けるという意思を示し、アスカやレイもそれに手を貸した。 |
− | :皆の命と願い、そしてこの世界を守らんと、浩一は次元回廊に突入し、その一撃で次元回廊を破壊した。だが、そこにラインバレルの姿はなく、マキナの全ては機能停止した…。その事実に[[LOTUS]]は悲しみにくれたが、次元の狭間からラインバレルは帰還し、全てのマキナも機能が回復した。 | + | :皆の命と願い、そしてこの世界を守らんと、浩一は次元回廊に突入し、全開のエグゼキューターで次元回廊を破壊した。だが、そこにラインバレルの姿はなく、マキナの全ては機能停止。その事実に[[LOTUS]]は悲しみにくれたが、謎のマキナともう一人の浩一の導きにより、次元の狭間からラインバレルは帰還し、全てのマキナも機能が回復。かくて、テルミノ・クレメンティアは成功を収めたのであった。 |
| ;未来を紡ぐ「可能性」 | | ;未来を紡ぐ「可能性」 |
| :UX46話「麗しのディストピア」より。死闘の末にデウスエクスマキナを追い込んだUXだが、「機械仕掛けの神」はなおも立ち上がる。「全ては人類を滅びから救うため、そのために死を想像させねばならない」と。だが、UXに集った戦士達は「そんなコトで滅ぶほど、人類は弱くはない」と反論した。未来を守るという意志を同じくしながらも、その方法が決して相容れない両者。だが、「正義の味方」は「自分達がそれを変えて見せる」とデウスに宣言した。 | | :UX46話「麗しのディストピア」より。死闘の末にデウスエクスマキナを追い込んだUXだが、「機械仕掛けの神」はなおも立ち上がる。「全ては人類を滅びから救うため、そのために死を想像させねばならない」と。だが、UXに集った戦士達は「そんなコトで滅ぶほど、人類は弱くはない」と反論した。未来を守るという意志を同じくしながらも、その方法が決して相容れない両者。だが、「正義の味方」は「自分達がそれを変えて見せる」とデウスに宣言した。 |
| :―――始まりは一つの可能性だった。一人一人の想いは、小さな点でしかなかった。だが、それは互いに繋がり、結び合い、可能性という名のラインを描いた。そして、数多のラインは一つに重なり、運命すら変える意志となって具現した。重なり合いカタチとなった、数多の可能性―――その名は、ラインバレル。 | | :―――始まりは一つの可能性だった。一人一人の想いは、小さな点でしかなかった。だが、それは互いに繋がり、結び合い、可能性という名のラインを描いた。そして、数多のラインは一つに重なり、運命すら変える意志となって具現した。重なり合いカタチとなった、数多の可能性―――その名は、ラインバレル。 |
| :託された意志を、重なり合う可能性を、己が正義を未来に証明せんと、浩一は渾身の一撃をデウスに叩き込む。その一撃を以ってしてもデウスを倒すことは叶わなかったが、機械仕掛けの神は宣告する。その意志で、その正義で、人間で在り続けることを未来に証明してみせろと。 | | :託された意志を、重なり合う可能性を、己が正義を未来に証明せんと、浩一は渾身の一撃をデウスに叩き込む。その一撃を以ってしてもデウスを倒すことは叶わなかったが、機械仕掛けの神は宣告する。その意志で、その正義で、人間で在り続けることを未来に証明してみせろと。 |
− | :一つの未来を勝ち取り、UXは崩壊する空間を脱出する。殿となったラインバレルのコクピットで、浩一は「どんな未来が待っていても、この意志を折りはしない」と決意を固める。 | + | :一つの未来を勝ち取り、UXは崩壊する空間を脱出する。殿となったラインバレルのコクピットで、浩一は「どんな未来が待っていても、この意志を折りはしない」と決意を固める。そして、一人残された「マキナの神」は、浩一の言葉を、その名を噛みしめるように呟く。どこかの世界で共に在ったもう一人の浩一と同じ、その言葉を。 |
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